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民間療法や代替医療など気になる人へ・・・

卵巣がんと向き合っていて、家族や知人から民間療法や代替医療を勧められたら気になるのはわかります。
がんを治したい思いが強ければ強いほど、身近な人に勧められた治療が“私”にとっていいのか主治医に尋ねたくなりますよね。
それが自分にとって良いものならやりたい。
その気持ちよく分かります。

1つ提案なのですが、みなさんは自分が受けている(受けていた)治療は
●どんな臨床試験で
●どんな結果が出て
●あなたにとってそれが最善と思われたのはどういう理由(検討)があって

主治医が提案している(治療した)か知ってますか?
病院のカンファレンスでどんな検討がされた上であなたに治療が実施されたのでしょう。

医師はきちんと目の前の患者さんにとってどうすることが最善か調べたり、カンファレンスで意見求めたりして提案(治療)をしています。

ではあなたの家族や友人が持ってきた情報はどうでしょうか?
医師と同じレベルまであなたに良いと調べて検討して責任も持つ形で教えてくれたのでしょうか?

主治医が一生懸命患者さんにとっての最善を検討して治療に当たっていても、当の患者さんは自分に行われている(行われた)治療の本当のところを質問をせず、●●さんから聞いた情報ばかりを尋ねてきたら、どう思うでしょう。

抗がん剤打ってるのにその抗がん剤の名前ちゃんといえますか?

抗がん剤がどんな効果を期待されて(これまでに効果を示してきて)いるかや、体内に入る抗がん剤の成分を知らないのに、「砂糖は食べちゃダメ?」と聞かれたらどう思うでしょう。

患者さんは副作用が怖いとか、再発が怖いとかいうのに、抗がん剤がなんの成分でできているのかとか、治療の実際のところを質問してくる方は患者会の相談でもほとんどいません。

それなのに医療者でもない人の勧めには興味を持ち熱心に質問をされると、自分のこと信じてくれないのかなぁって悲しくなっちゃうかも。

もちろん主治医も伝える努力が必要です。
でも患者さんもまずは自分に行われている(行われた)治療を知って、そのうえで他になにかないかと考えるべきなんじゃないかなぁと思います。

最近患者会(この投稿をしている人)にも、ご自身の治療については薬剤名すら間違えてしまい、正確に治療の説明ができないのに「入院中に同室の患者さんに教えてもらったんだけど」「インスタグラムでこんなん見たけど」と言って科学性もへったくれもないようなことを毎日1問1答のように尋ねて来られる患者さんがいます。それは1人ではありません。

承認される医薬品についてガイドラインをもとに説明をしてもなかなか理解をいただけません。

私が「あなたが入手した●●療法は科学的根拠はないインチキですね」というとあっさりそれを受け入れられます。
私はインチキリトマス試験紙ではありません。
そんな患者会に否定されたらあっさり引き下がるべきものをなぜ尋ねてるのでしょう?
自分の命のことなのに変だと思いませんか?

本人は不安でしょうがないのだと思います。
だからこそ自分の治療がどんな歴史を持って、どんな検討をされどんな理由で自分に行われてるか知って欲しいです。
そうすることで周囲やネットで持ち込まれる情報がどれだけ安直で検討もされてない無責任なものか気付けるかもしれません。

逆にあなたに治療を提案や行うにあたり、どんな検討をしたかとか、最善と思ったのか答えられない主治医なら「もっと勉強せえ」って言って再度説明を求めていいと思います。
私たちの命は、私たちのために最善を尽くしてくれる医師にお願いするべきですので。

要はLancet やNature やThe New England Journal of Medicine などの世界的な論文に書かれてることより、Instagramや病室で偶然会った患者さんの話の方がなぜ信用できんの?って話なんです。

私たちは抗がん剤治療で髪の毛が抜けたり、吐き気がしたり手が痺れたり関節がいたくなったりいろんな副作用を経験します。
がんをやっつけるために、いや不確実性がありやっつけられないかもしれない場合さえあるのに、とても辛い経験をするのです。

なんでその治療を自分が受けるんでしょう。
それはどうして自分に行われるんでしょう。
そこには理由があります。
その理由をまずは知るべきことじゃないのかなぁと思います。

もちろん正しく知ることは怖いデータも入ってくるかもしれません。
でもそこから目を背けて、他の患者やネットで優しい情報拾って医師に尋ねる(自己判断でやってしまう)って本当にいいことなのかな。
いのちを大切にってそういうことなのかな。
今一度考えるきっかけになれば嬉しいなと思います。

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