3月29日U24について褒めたりする。

先日のアレな試合に続いて、後半戦みたいな感じ。結果は3-0で快勝。色々ニュースでは語られないであろう部分があるので、それをまず語る。

アウェージャッジとアルゼンチンの違い

物凄い不公平ジャッジだった。アルゼンチンに贔屓的であった。アルゼンチンは積極的に手を使い、日本チームの選手を押したり、引きずり倒したりしていたが、全く笛が吹かれない。

そんな感じで、アルゼンチンチームはラフプレーが非常に多かった。一方で、前回の試合のような素晴らしいチームプレーは無く、その意味での「怖さ」を全く感じないチームに変わっていた。

両チームとも、前回の試合から9名を変更したスタメンでの試合ということであったが、アルゼンチンチームは前回の方がはるかに強かった。前回、日本を圧倒した試合巧者っぷりはまったく見せることが無かった。チームワークで徹底するディフェンスも無い。はっきりいって弱かった。

日本のボランチ2名の大活躍

日本の中盤は前回の試合にも出場していた板倉と、川崎フロンターレの田中碧選手。どうも田中は出場停止で前回出られなかったらしい。

本日最大の功労者の2名だと思う。両者ともにボール配球、攻め手、守備、危機管理意識、全ての面で高い安定感を発揮。中盤を完全に掌握しており、結果ディフェンスラインは安定、トップの林が敵の裏を抜くアクションを多くとることが出来たり、サイドの相馬を走らせる機会を多くとれた。

民放ではコンパクトなサッカーとしきりに言っていたが、フィールドの距離的には広くコートを使ってサッカーを組み立てた印象で、サイドチェンジの多さが好印象。右サイドは久保が顔を出す場面が多かったが、彼の特性から中央に寄ることが多く、縦に抉るようなサッカーがあまりできなかった。しかし、両サイドを使って攻撃を繰り返すことが出来た。

守備では板倉の判断力が冴えており、隙が無い。後述する田中が積極的に守備をしている間、彼が隙間を埋めるフォローを行っており、そのおかげで最終ラインが終盤まで安心して守ることが出来ていたように思う。試合を通して1度、決定機を作られたが、それについては後述する。田中碧がわかりやすく称賛されやすいと予想した上で言わせてもらうと、「相方が板倉だからここまで安定した中盤を作れた」と強く言っておきたい。板倉推し。

田中はしつこく積極的な守備で敵の攻撃を遅らせ、後退させるということを最後までやってくれた。特に後半敵チームに交代で出場した10番の選手は、このフィールド上でレベルの違う「巧い」選手であり、「普通に守備についている程度では、苦も無くチャンスボールを蹴られてしまう」ような感じなのだが、田中は距離を詰めて蹴らせないように意識しており、結果的に「彼に仕事をさせない」ことをに成功していた。この辺はあまり見慣れていない人にも良く分かったのではないかと思う。奪うだけ、弾くだけが守備ではないのです。

なんやかやと長くなってしまったが、とにかく素晴らしい。「本番では最終ラインに富安大先生が来てくれるから、後は得点力だな」とか思っていたら、林がしっかり点を決めてくれたので、やはりこの試合で一番に褒めたいのは板倉と田中碧の2名であったと言いたい。

他の褒めたい選手

相馬、林
前半から退場までひたすら走ってくれた人たち。1点目は彼らがしつこく前へ前へと挑んでいた結果、生じたチャンスなのだと思う。相馬は何度も何度もサイドを深く抉っていたし、林もしつこく裏を狙っていた。後述の食野や久保と共に前線での守備を頑張っており、それも影響してのゴールだったかと思う。個人的にこの試合のMVPはボランチの2名なのだが、それと同じくらいの点数を挙げたい素晴らしいパフォーマンスでした。よく頑張りました。

食野
よくがんばってくれたが、もっとうまく使ってあげたかった選手。なんとなく、久保と嚙み合わない印象。ただ、林や久保のいないスペースをよく潰してくれるなどしており、縁の下の力持ちであった。しかし、もっとうまく使ってあげたかった。

久保建英
褒め飽きそうな人。前回もまあ、そうだったのだと思うが、今回は特に「守備でもよく頑張っている」と感じられた。フィジカルではないディフェンスの仕方で、特に妨害という意味でよく守備をしていたように思う。FC東京にいた頃に比べて、遥かに頼もしい選手になっている。

ボール回しでの崩し等は当たり前のように今回もやってくれ、前半は相馬、林、久保の三方向からの攻撃がよく効いていた。ラフプレーの多い敵に対して対抗する、という所謂「ボールさばき」以外の面での「サッカーの巧さ」も見られた。会場で見ればもっとそういう部分が見られただろうと思う。

今後の課題とかなんとか

オーバーエイジ枠の選手は不要では?
今回の試合は(アルゼンチンが弱かったということはあるが)全体的に良い試合が出来ていたように思うので、オーバーエイジ枠の選手は不要なのではないかと思った。オーバーエイジ枠という存在だけでチーム全体に影響があると考えれば、「現在のバランスを崩す恐れ」は慎重に考慮すべきであると思う。個人的に来て欲しい選手が思いつかないという理由もある。

得点力を高めたい
前述したことの繰り返しになるが、この試合、「中盤の安定感がほぼ完璧」だった。最終ラインは富安や橋岡が来ることを考えれば、まずまずの安心感がある。久保建英や両サイドの攻撃力もある。あと足りないのは、得点を決める力であるかと思う。今回の試合も林がキメるとは思っていなかった。後の2点は林が決めてくれたからこそ、決まったともいえるだろう。林はよく決めてくれたと思う。日本代表というか日本人選手は、ああいう時に案外決められない。私はそう思う。

采配次第
以前から感じていたが、とにかく強いチームであると思う。判断力と技術を兼ね備えた素晴らしい選手が複数人いる。これが大きい。今日のようなチームパフォーマンスを発揮できれば、先日の「本来のアルゼンチンチーム」ともそれなりに戦えると思う。問題は「良いチームパフォーマンスを発揮させることが出来るか」である。選手の問題では無く、「どんなチームにするか」という問題である。つまり、監督等の指導者が重要になる問題である。

良い選手が揃った、強いチームだと思うので、大事に育てて欲しい。

余談:「蹴らせない」という意識の重要性

後述とか言っていて、忘れていた。この試合、たった1度だけあった「敵にとっての決定機」。左サイドからキーパーと最終ラインの間にパスを出されたのだが、このボールに対して、敵の選手が「DF2名の間から飛び出した」のである。触っていれば入っていた。

サッカーファンには周知の事実なのだが、このボール、「ゴール前のDF2名に対処しろ」というのは完全に無理筋の話である。

ではどうするのかというと、「この手のパスは蹴られたら最後、『へたくそなパスになる』か『シュートが外れるか』を祈るしかない」ので、「そもそもそんないいパスを蹴らせない」のが対処法である。これは、「出されたら終わり」のパスなのである。

「蹴らせない」にはどうするか。その答えが、この試合での田中碧選手のディフェンスである。ボールを保持した敵選手にぶつかるくらい近くに位置取り、ボールさばきの邪魔をする。

「奪えなくてもいい」のである。その場で足止めできるだけで良い。少し時間を稼げば、味方が対応する時間が生まれる。それが重要である。

反対に、「自分のゴール方面に後退するだけの守備」はダメである。敵の有利な状況があまり変わらない。敵がボールを蹴ることが出来るような「自由」を持っている場合、敵がその場でドリブルを止めたとしても、良い場所にいる敵の仲間にパスをして別のチャンスを作られてしまう恐れがある。だから、効果的な守備では無いのである。「蹴る自由を与えない」のが正解なのである。


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