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DESIGN : MiMC '20 ホリデーコフレ


MiMC(エムアイエムシー)は、日本生まれのオーガニックコスメブランド。
自然の力を最大限に生かす、植物オイル、植物エキス、ミネラルといった、肌への負担を考え、ケアしてくれる自然素材を使い、トレンド感溢れる美しいカラーリングやテクスチャーのプロダクトを開発しています。

OUWNでは、2019A/W - 2020ホリデーコフレのクリエイティブディレクションを担当しました。
コスメブランドならではのビジュアル制作のポイントや、インタビュー越しにも伝わるMiMCのブランドへの愛情。今回は、アートディレクション&デザインを担当した出井が話します。

'19A/W  〜  '20A/W制作

出井 : MiMCは、昨年のA/Wからアートディレクションを担当させていただきました。シーズンビジュアルと一緒にリーフレットも作っていて、今はちょうどホリデーコフレが出ています。

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ー コンセプトやデザインについて、各シーズンごとに聞かせてください。

出井 : シーズンごとにコンセプトとテーマがあって、最初にMiMCの代表である北島寿さんと、メイクアップアーティストのMICHIRUさんからオリエンテーションをしてもらいました。実際にリーフレットに載る商品を手に取ったりしながらお話を聞かせてもらい、ブランドとシーズンコンセプトへの理解を深めます。
最初に担当した2019A/Wのときのテーマは「Shining my way」

ー 毎シーズン、コンセプトの文章が素敵ですね。その想いを伝えるために、グラフィックを作っていく。

出井 : はい。MICHIRUさんが書いたコンセプトからイメージを膨らまし、どうやってビジュアルで表現するか考えます。思ってることをしっかり共有できるようにして、ビジュアル制作に挑む感じですね。

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2019 A/Wでは、大地や自然だったり自由なイメージを、秋冬感が感じられる風景や素材をトリミングして表現しています。モデルの写真は目元や口元の寄りをビジュアルに入れることで、メイクがより際立つように。

あと、このときはリーフレットの紙の質感を変えてみました。
表紙のある外側はツルツルしていて、中面はマットなものを使っています。私自身も使ったことのない紙だったので、少しチャレンジではあったのですが、外側と内側でリーフレットの内容が大きく違ったので、紙でも差をつけると面白いかもと思い提案させて頂きました。

グラフィックはもちろん、モデルのヘアーやネイルの色などはこちらも提案しつつ、表現したいことを共有しながら作っていきます。カメラマンやスタイリストも基本的に同じ方達とチームでやっているので、回数を重ねるごとに、より意思疎通ができるようになっていきました。

ー 2020 S/S、A/Wは?

出井 : S/Sは「ENLIGHTENMENT HARMONY」というテーマのもと、2019A/Wのブロックのあしらいを引き続き取り入れつつ、ナチュラルなトーンで柔らかさがあるように作っています。春らしさ、軽さや透明感を意識してデザインしました。

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ー 爽やかでとっても綺麗です!スクエアのグラデーションは、データ上で作ったもの? 何かの素材ですか?

出井 : これは写真を加工したものなんです。
特殊なシートみたいなものを使っているんですが、ちょっとうねらせて、反射させて虹を作っています。グラデのイメージをカメラマンさんにご相談したところ、「こんな素材で作れると思う」と提案してくれて。
引き目で撮って、虹ができた部分をトリミングして使っています。

ー 言われなきゃ、写真じゃなくデジタルで作ったものだと思っちゃうかも…。でもきっとこの絶妙な質感は、データ上だけでは作れないんですよね。

出井 : そうですね。データで作ったグラデだとどこか嘘っぽいものになってしまう気がして。MiMCは特に自然由来のものを使っているコスメブランドなので、人工的にはしたくなくて。写真で表現できて良かったです。

そして、今年のA/Wは「ARTISAN SPIRITS」というテーマです。ARTISANは職人という意味で、丁寧に自分と向き合って美しく磨き上げる、というコンセプト。一本のアイラインを丁寧に引いたり、鏡の前の自分と対話するようなイメージです。

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この「一本のライン」というのがキーワードだったので、どんな線で、ビジュアル上に何本入っていて、どこに入れるのか、様々なパターンを検証していきました。背景は暗い方がより緊張感があるんじゃないか、でも重すぎるのは良くない、とか…… 要素としてはあまり多くはないけれど、コンセプトを表現するためにはどうしたら一番良いのか。微調整を繰り返し、MiMCの方と決めていきます。

ー MiMCのブランドへのこだわりをすごく感じます。

出井 : みなさん本当に熱量があってすごいんです。商品やメッセージが誤って伝わらないようにしたいし、より多くの方に手に取ってもらいたい。ブランドへの思いをすごく感じます。
リーフレットの文字の色も、よく見るとS/SとA/Wで違う色にしているんですが、見る人はそこまで分からないかもしれない。だけど、その絶妙なニュアンスが印象に変わると思っています。

ー ビジュアルの商品の撮り方はこちらで提案するんですか?

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出井 : 構成はこちらで決めさせてもらっています。
サイズ感や細かいバランスは商品をお貸りして実際に置いてみて、どれも魅力的に見えるような構図を探します。それを元に、カメラマンに光のイメージなどを相談し、本番に挑むといった流れになります。

ー リーフレットは他の案件でも制作することがあると思いますが、化粧品ならではの大変な部分ってありますか?

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出井 : 一番は写真の色味ですね。撮影後、私たちも立ち会いながらカメラマンさんにレタッチしてもらって、本物と同じ色味を見せられるように調整します。
そのあとに紙の上での調整になるのですが、写真の他に載せるスウォッチの色も含めて4回くらいは色校してますね。ここが最も大事な部分なので……
洋服などもそうですが、化粧品って特にちょっとの差で「欲しい」、「かわいい」って気持ちが変わると思うので、シビアに見ています。

あとは、リーフレットの中で余白をしっかり取るようにしていて。自信を持ってオススメできる商品だからこそ、成分について話したいこともたくさんあると思うのですが、見る人が分かりやすいよう、視覚的な美しさはやっぱり大切にしたいですね。
スペースも限られているので、情報量はご相談しています。もっと詳しく知りたくなったらWebに飛んでもらうようにしたりとか。そのツールの中でよく見せられるように、心がけています。

ホリデーコフレ「IN THE MOONLIGHT」

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ー そして今回のホリデーコフレ。「IN THE MOONLIGHT」、テーマからときめきますね!

出井 : 私も今回のものが一番好きかもしれないです!
打ち合わせでは、2019 A/Wのときみたいに写真を分割している案や、ムーンライトなので月をイメージするようなグラフィックなどを提案しました。

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モデルとグラフィックの正円は少しだけ重ねていて、重なった部分は透けさせてるんです。正円は何個にして、透け感はどれくらいにするのか議論を重ね、何パターンも出して先方に見てもらいました。すごく熱量のある方達なので、私たちもその想いに応えられるように。
ちなみに、今回のリーフレットの紙は「ワンダルアート」です。少し青みがかっていて、発色が綺麗に出ていますね。

ー モデル選びはどのようにするんですか?

出井 : モデルはMICHIRUさんが何人かピックアップしてくれるので、オーディションを通して二名ほど候補をあげさせていただき、一人を選んでもらうような流れです。選ぶ基準としては、肌が綺麗なことは第一ですが、MiMCっぽさを考えてます。すごく大人っぽい顔立ちというよりも、かわいさや、少女っぽさが残るような。ただやっぱりメイクすると印象も変化するので、選ぶのは難しいです…!

ー 今回のホリデーコフレは、実際に見てみてどうでしたか?

出井 : アイシャドウのミネラルカラーパウダー(224.ムーングロウ)が、すごくキラキラしていて可愛かったです。撮影のときもモデルさんの目元が輝いていて、まさしくムーンライト!と思いました。

出井的MiMC愛用コスメ

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ー 普段もMiMCのコスメは使ってますか?

出井 : 使ってます!お気に入りはベース系で、BBバームとミネラルイレイザーバーム カラーズを愛用してます。自然とトーンアップされて、毛穴が消える。BBバームは今年のホリデーコフレにも限定パッケージで入ってますね。(もうオンラインでは単品は売り切れみたいですが…)
石けんでオフできるので、そこがすごく好きです。それでいてアイシャドウなどのポイントメイクの発色も良くて、リーフレットのビジュアル通り、本当にそのまま色づく印象です。

ー 約二年間のビジュアル制作を経て、今の気持ちを教えてください。

出井 : 今回のコフレまででバトンタッチとなりますが、コスメブランドのビジュアルは初めてだったので、個人的にもすごく良い経験になりました。
ブランド側の方の気持ちを深く知ることができて、製品に対しての想いがこんなにもあるんだなと。そういう人柄を感じられたことでよりブランドへの信頼感が増して、そんな方々と一緒にこだわりを持って作れたことが嬉しかったです。
これからどんなビジュアルになっていくのかも、ブランドの一ファンとして私自身楽しみにしています!

CL : MIMC Co. Ltd. / @mimc_natural
MA+BEAUTY DIR : MICHIRU / @barbiemichiru
PH : TAKESHI HANZAWA / @hanzawatt
DIR : KANA TAKEUCHI / @Kana Takeuchi
HA : TOMO TAMURA / @tomo8hair
CD : ATSUSHI ISHIGURO(OUWN) / @ai_ouwn
AD + D : YUMI IDEI(OUWN) / @ideiyumi

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聞き手 ・ 執筆 : 星成美


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