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整形外科的テスト

整形外科テストは症状部位や原因の特定を目的に行われる評価です。
自分も日々の臨床の中でよく行なっています。
少し掘り下げてみましょう。


そもそもなぜ行う必要があるのか

そもそも、この整形外科的テストをなぜ行う必要があるのでしょうか。
特に、診断がくだっていれば必要ないような気もします。
以下が自分が整形外科的テストを行なっている理由です。

自分が診断を100%信じていない

これは、決して診断する先生を信じていないなどの話ではありません。診断された疾患が、必ずしも患者さんの症状とマッチするとは限らないということです。

例えば、肩関節で言えば特に痛みなどの症状が無い肩でも、検査をしてみると腱板に異常を認めた方は、70代で28%、80代で56%であったとういう報告があります。

Teun Teunis, et al. A systematic review and pooled analysis of the prevalence of rotator cuff disease with increasing age. J Shoulder Elbow Surg. 2014
DOI:https://doi.org/10.1016/j.jse.2014.08.001

これは、逆に考えれば画像所見で異常などを認めても、実際に症状などにつながるかというとそうではなさそうなのがわかります。そこで、整形外科的テストから、実際の症状の原因を絞っていくことが必要です。
目の前の患者さんが訴える症状が果たしてどういった部位のどのようなことが原因で起きているかを特定することが、質の高い治療につながると考えています。

では、画像所見や診断をガン無視しているかというと決してそうではありません。症状の解釈には、それらの情報は非常に有用です。実際に損傷を認めていれば、その部位は損傷しているわけです。それらの情報を統合して、治療に活かしていく必要があります。

患者さんに丁寧な説明ができる

2020年、国際疼痛学会(IASP)が41年ぶりに痛みの定義を改変しました。

An unpleasant sensory and emotional experience associated with, or resembling that associated with, actual or potential tissue damage.

実際の組織損傷もしくは組織損傷が起こりうる状態に付随する、あるいはそれに似た、感覚かつ情動の不快な体験


https://www.iasp-pain.org/PublicationsNews/NewsDetail.aspx?ItemNumber=10475

痛みは、感覚的なものだけでなく、情動的なものも含まれるます的な内容だと個人的には解釈しています。症状が強い方や慢性的な症状が続いている方などは、不安になることが多いかと思います。それらの不安を少しでも解消していくには、丁寧な説明が必要であると考えています。そのための、一つの材料として、整形外科的テストは有用だと思います。個人個人に合った介入にはまずは、個人個人の症状を特定し、説明し、介入する。これが、個人的に重要だと考えています。「この療法士さんは、よくみてくれている」そう感じていただけると、双方の信頼関係にもつながるのでは無いでしょうか。

ざっとこんな感じが、個人的に整形外科的テストを行う理由です。
整形外科的テストは患者さんの症状や状態を正確に把握するために重要です。これを通じて、患者さんの早期回復につなげることを願っています。
「パッとみてその症状が起きている理由がわからなければ、ひたすらその関節の評価をするしか無いんじゃない?」
これは、尊敬する人に言われた言葉です。ボトムアップやトップダウンという言葉をよく耳にします。どっちが良いかとか、自分はどっちとかよくわかっていませんが、症状の原因を徹底的に評価していける人間でありたいと思います。

ではでは。



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