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Sharp-Purser Test:頸部不安定性の検査

Sharp-Purser Testは聞きなれないテストだと思います。頸部の不安定性を評価するテストです。頸部の不安定性は神経症状などにも影響してきますので、しっかり評価できるといいですね。


結果からなにが考えられるのか?

頸部不安定性の検査

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

検査方法

1 患者を座位。
2 患者の頸部を軽度前屈位とし、検者は患者の安静時の症状を確認する。
3 検者は一側の手掌を患者の前頭部に、他方の母指・示指を軸椎の棘突起上に置く。
4 検者は,前頭部に背側への力を軽く加える

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

いまいちこれだけ読んでもよくわかりませんね。前提として頸部の前屈位で症状が出現することが必要です。前頭部に当てた手が後方への圧力を加えることで、環椎が環椎に対して後方へ移動するように誘導しています。

陽性時の所見

頸部の屈曲により症状が誘発され、背側への力を加えた際に症状が、軽減する。その場合、上位頸椎の不安定性を疑う。

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

前傾することで上位の頚椎が不安定となり、それを後方へ移動させることで症状が緩和されましたっ的な感じですね。

注意点

前頭部に加える背側への力は,頸部の前屈角度に垂直となるようにする。

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

環椎が後方へ移動することが目的ですので、力の方向には注意しましょう。また、軸椎の正確な評価が必要となりますので、実施する前に確認しておきましょう。

評価の精度

感度44-69%
特異度96-98%
陽性尤度比17.25-22
陰性尤度比0.32-0.57

松村 将司, 三木 貴弘. 適切な判断を導くための整形外科徒手検査法.メジカルビュー

診断精度に関してはこちら

特異度が高く、確定診断になりそうですね。

関連する文献

Sharp-Purser Testに関連した文献を探してみました。

Cody J Mansfield, et al. Systematic review of the diagnostic accuracy, reliability, and safety of the sharp-purser test. J Man Manip Ther. 2020 May;28(2):72-81.doi: 10.1080/10669817.2019.1667045.Epub 2019 Sep 17.

「シャープパーサーテストの診断精度、信頼性、安全性の体系的レビュー」という論文です。
リウマチ患者などにも使用されるSharp-Purser Testですが、その安全性などはどうであるかのシステマティックレビューです。結論からは、妥当性や検者間信頼性の低さから危害を引き起こす可能性があるため、使用には不適切である可能性があるとのことです。実施には患者様の既往なども考慮し、正確な手技が必要ですね。やはり頸部を含め脊柱へのストレスには注意が必要だと思いますので、臨床でもリスク管理には徹底しましょうか。
しかし、この論文に対しレターが出ていました。

Rob Landel. Letter to the editor Re: Mansfield et al. Systematic review of the diagnostic accuracy, reliability, and safety of the Sharp–Purser test. JMMT 2020, VOL. 28, NO. 2, 72–81.

レターとは

  • 論文に対するコメントや意見を述べる

  • 自らの研究を短く報告する

  • 論文に対し、自分の研究をもって批判する

などあります。残念なことに今回のレターは中身を見れませんでしたので、どのような内容かはよくわかりませんが、様々な研究に対して意見を共有できることはすごい有益だとは思います。

ではでは。

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