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危機感のない組織 ・ 戦略ミスが招くもの

もし読んでいない方がいましたら、必読です
「圧」強めですが、「V字回復の経営−2年で会社を変えられますか」

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都市経営プロフェッショナルスクールでも毎年必修課題とされています。

著者が「実在するダメ組織」を改革してきた実話に基づくサクセスストーリーです。

大まかな構成は
・ダメ組織が抱える症状 
・賛成する人・反対する人のタイプ分析
・改革のチームづくり・成功のプロセス

今回は、都市経営の視点から、特に共有したいことを一部抜粋。

ダメ組織が抱える症状

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まず、多くの赤字会社に共通している特徴ってどんなものがあるか

著者が見てきたダメ組織の一例

・業績の悪い組織ほど、社内の危機感が薄い
・誰がどこの部署!? 人事異動が一大イベント
・いつも「どこか」「誰か」のせいにしている
・正しいかどうかより、政治的な判断、妥協を重視する風土
・やたらと出席者の多い会議(ダメの典型)
よってたかって仕事を複雑にしている
・「赤字に鈍感な個人が集合体になっている
・全部やりきれないのに戦略が多すぎて、どれも大して進まない
現場のニーズに鈍感で「何がよいサービスか」気づいていない
・目先の対処療法で組織変更や人事異動。社員が改革疲れ
変革を起こす社員がいなくなっている
・会社の「狭い世間」で過ごすうちに、創造的な戦略ができなくなる
・企画部署の考えが、現場の末端まで繋がっていない

思い当たることは、ありそうでしょうか。
まず現実を直視することがスタートとのこと。

書籍では、この課題を打破し、赤字を脱するため改革チームをつくります。

成否を分けるのは「ヒト」

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こうした改革には人事異動でなんとなく配属ではなく、どんなメンバーを選ぶかが、プロジェクトの成否を分けます

改革のプロジェクトに対してどんな人材を選ぶのか、どんな人物が反対してくるのかタイプ別に分析されています。ざっと

A:改革の先導者(過激改革型・積極行動型など)
B:改革のフォロワー(心情は賛成型、中立型、心情は反対型)
C:改革の抵抗者
D:人事更迭者
E:傍観者

こんな感じで分布されていて、「B」タイプが一番多い。
まずAの中で、本気で改革できるメンバーを見極めなければいけません。
また、必ずCの抵抗もあります。それをどうやってくぐり抜けるか。

何より改革は「スピード」「熱意」「組織トップの姿勢」がとにかく重要。
選ばれたメンバーが戦っていくためには、これらの要素が不可欠です。

でも意外とメンバーを疎かにしていることが多いと思います。

組織をいじり回すだけの会社が多いようですが、「組織のリセット」と「戦略の見直し」はワンセットで検討することが不可欠とされています。

戦略のミスが招くもの

さあ、メンバーがそろったら戦略を立てて実行に移ります。
が、ここでも落とし穴。例えば次の施策はどうでしょうか。

都市の課題
・人口減少
・空き家・空き店舗の増
・廃校増加
・自治体合併
解決策 ⇒人口を増やすため、移住した人に交付金。目標は50人増!

地方創生推進交付金を使った自治体で、見たことあると思います。
でもこの課題に対してとった戦略は残念ながら、墓標パターン。


「人口減少」という結果に対して、根本の原因までの分析が甘く、解決策になっていません。

課題設定や戦略を誤ると、失敗します。
お店で、「売上が下がった」から「チラシをいっぱい配る」という戦略をとった場合、それは成功するでしょうか。

例えば、人口が減っている(若者や女性が少ない)ことには原因があります。その原因は何なのか。まちに何が足りないのか。

若者がいない ⇒魅力のある学校がない。働きたい民間企業がない。
女性がいない ⇒子育ての環境が悪い。ムラ社会の名残がひどい。
行政では予算がなくて施設やサービスを確保できない。 などなど

課題と原因を追求すると、その地域だけの問題がきっとあるはずです。
公・民が連携し、絡みあった複数の課題を同時に解決することが、公民連携の本質であると教わりました。

行政に実践できるのか

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大阪府の大東市さんの「元気でまっせ体操」
高齢者の方が健康体操できる場所を、公・民が提供し、みんなで健康になることで、年3億円の介護給付費を削減しています。

高齢者が健康になる、介護給付費の削減、民間施設にも人が集まる。など見事に複数の課題にアプローチしています。

でも、この事例をただ真似しても、成功するわけではありません。

成功のプロセスを学び、尊重し、真似することは大切ですが、まず
地域の課題や原因を深く見極めない施策は、きっと失敗するのでしょう。

これまで見ていただくと、自治体は非常に反省が多いように思います。
まずは危機感を感じることが、はじめの一歩。

次に実践できるかが、今後の自治体の分かれ道ではないでしょうか。
こうした課題を解決できるのは、経営感覚のある変革者です。

今回、わたしが印象的だったのは、

エリートとは「選ばれた者」ではなく「集団への責任を自覚した者たち」

組織の危機に気づいた人には、もう責任があるのですね。
このあと、成功に導いたエリートたちの戦いは痺れます!ぜひご覧ください。



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