なんだろうなぁ

初日は散々だった。
教室での挨拶なしにいきなり始業式で校庭に並ばされた。
見たことのない奴がクラスの列に侵入してきたのだから敵意剥き出しの視線の集中砲火も当然のことだ。

速攻、膝カックンを喰らった。立ち上がり際に後ろから両肩を掴まれ仰向けに倒された。
そのまま抵抗せずに目を上げると、仁王立ちの女子が見下ろしていた。
一瞬の間があり、大勢の生徒の笑い声が弾けた。そして儀式的に軽く殴られた。
その日の内にぼくは仲間と認められたようだ。

その女子はクラスのリーダー的な存在だった。勉強もスポーツも得意で全生徒の憧れの的だった。

そんな彼女が死んだ。

校舎の屋上から飛び降りてピンクに変色した脳漿をぶち撒けて死んでいた。
まさかの事態に学校は大騒ぎになった。先生も生徒も親たちも動揺した。
最も自殺とは縁遠いと思われる生徒の死は狂乱の末に動機を求めた。
当然のように事件性が疑われ、興味本位の揣摩臆測は人間の想像力の恐ろしさを露呈するまでに広がっていった。

その一ヶ月後、彼女の担任教師だった男がが同じ場所で死んでいた。
男は遺書を残して死んでいた。