【エッセイ】阿片は阿片で宗教は宗教である

マルクスは『ヘーゲル法哲学批判序説』で「宗教は民衆の阿片である」と言ったらしい。前後の文章と文脈を考慮すれば単なる宗教批判ではないのだが宗教のある種の危険性を秘めている。

ぼくは特定の信仰はないが「信じる」という事柄に関心はある。
しかし「宗教は民衆の阿片である」の部分だけを読めば宗教を批判していると捉えるのが自然だろう。

マルクスが言いたかったのは、阿片は過酷な現実から逃避するための手段である。そして宗教も同じように現実逃避の手段である。変えるべきなのは過酷な現実の方で、この現実を変えうるのは「共産主義社会」を実現させることである。
宗教も阿片も「共産主義社会」が実現すれば克服可能だと言いたかったのだろう。