【散文】剣呑なねこ舌

匙で揺れる目玉に
練乳を滴らす
苺を匙で摺り潰し
ピンクが油彩の凹凸を塗る

発狂した高偏差値の女が
前頭葉をカットされ河川敷に遺棄される
学歴コンプレックスの男は吐瀉物を避けるように女を避ける

建前にさようならを宣言したお巡りさんは三発発射し頭蓋骨を粉砕した
白濁した脳漿が制服の裾に大量に跳ね付く

「ハラスメント」と老婆が叫ぶ
野次馬の中から野球少年が周囲を気にすることなく金属バットを素振りをしながら登場すると老婆の膝頭をフルスイングで破砕した
金属音と骨粗鬆症で液状化した骨の破裂する音が同時に響く

アレゴリカルなエピソードに顧みる者はなく事件はもぐらの目のように退化し既に誰も関心を向けない

その日の夕刻に為替相場は円の大幅な下落を記録した