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【KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV】の想い出と「クリエイターにとって良い職場環境」について思うこと

今回は「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」を試写会で初めて観た時の想い出と、その時に感じた「クリエイターにとって良い職場環境」について思ったことを書きたいと思います。

※注
KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XVの内容や開発中の話はほぼ出てきません。
そして宣伝でもありません(宣伝しろよって感じですがw)


◆KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XVとは

「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」(以下、キングスグレイブ)は、自分が制作していたFF15の隣で作られていた映像作品で、FF15の前日譚を描く物語になっています。(FF15をプレイする際は、是非見てほしい作品です!)
キングスグレイブチームとFF15チームは、別のチームで隣同士で開発してたんですが、世界観や設定などを共有しながらもプロジェクトとしては別物ではあるため、FF15チームで関わっている人はかなり少なかったです。

自分はたまたま、キングスグレイブの舞台であるインソムニアというロケーション担当であり、音楽のプランニング担当(どういう音楽をコンポーザーさんに発注して、ゲームでどう使うかを決める人)だったこともあり、多少絡みがありました。
とはいえ、世界全体の設定やインソムニアの設定を共有しつつ決めたり、同じモチーフの音楽を使いましょうと曲の使い方をすり合わせたりする程度で、当時の第2BD(ビジネスディビジョン)という同じスタジオ中の別チームが作っている作品という感覚はありました。

FF15の開発も終盤の頃、キングスグレイブが完成したので、スタジオのメンバー全員で観よう!ということになり試写会が行われました。


◆試写会での衝撃


試写会では、かなりの衝撃を受けました。
理由としては

・かなりの短期間ですごいクオリティーのものを作ったこと。
・CG映画だとわかっていても、途中なんども実写映画みてたっけ?と脳が錯覚してしまうクオリティーだったこと(実写映画の背景のCGでも、CG映画のクオリティー高いものでも感じられなかった「CGだとわかってみてるのに実写と錯覚する感覚)
・このクオリティーのものを、すぐ横にいた顔なじみのメンバーが作っていたこと。(みんな本当にすごいクリエイター達なんです!)


この衝撃を受けたままスクリーンにエンドロールが流れます。そして、エンドロールが進んでいくと最後の方に「APOCALYPSIS NOCTIS」という曲が流れきます。「APOCALYPSIS NOCTIS」は、FF15を代表する曲であり、当時FF15チームのテーマ曲のようにもなっていました。その曲が、流れたんです。

※このトレーラーの曲です


その瞬間!


「ヤバい……えらいバトンを渡された……!」


と思いました。

その時のFF15の本編チームは、開発もかなり佳境で、毎日
「この期間でこの要素って本当に入るのかな?」
「バグ本当になくなるのかな?」

というかなり追い詰められた状態でした。自分だけかもしれないけど(笑)
そんな中、キングスグレイブがすごいクオリティーで完成し、前日譚ということもあり、エンドロールでここから本編につながります!みたいな演出で「これぞFF15本編」というイメージ曲の「APOCALYPSIS NOCTIS」が流れたんです。

キングスグレイブチームのメンバー達に

「自分たちの仕事は終わったんで、じゃあ、あと頼みましたよ」

と言われた気がして……この先これに見合うゲームを完成させないといけない!というプレッシャーにリアルにゾワーっと鳥肌がたちました。

でも、その時思ったのが

「ここはなんていい職場なんだ!」

ということでした。(ドMなの?って感じですが)


◆クリエイターにとっての良い職場環境

ダウンロード (1)

自分の今までの経験では、特にコンシューマーのゲーム開発では、売上目標や売上本数、メタスコア(海外のゲームの評価機関の点数)何点目指したいといったような目標はあるものの「このゲームより上を目指す!」みたいな感じでライバル設定をすることはあまりなく、直接的なライバルがいないことが多いんです。

自分が試写をみて「なんていい職場なんだ」と思ったのは

「すぐ隣にすごいものを作ってるライバルがいる」

ということでした。

常日頃から社内競争自体が、クリエイティブな職場においてかなり重要というのを痛感していたんですが、ライバルといえる最も刺激的なクリエイターが一番近くにいる!ということで自分のクリエイティブが刺激され、至近距離でぶん殴られる(クリエイティブで)感覚は、かなり貴重だなと思いました。(この時に似たようなことは何度かありましたが、この時は不意打ちだったこともあり想像を超えた体験でした)

例えるなら映画などで名優に刺激を受けて、他のキャストの芝居の質がどんどん向上していくのと同じで、誰もが知っている当たり前のことなんですが、この状況を作り出すには様々な条件をクリアしないといけないので、実際はかなり難しいと思います。(全てのモノ作りにいえると思いますが)


長い間、会社員としてゲーム制作に携わってきて、何作かゲームを作ってきて「いちクリエイター」として最も重要だと思えることの一つは

「作品を作ることで自分のクリエイティブが磨かれていくこと」

だと常々思っています。

自分のクリエイティブが磨かれるためには、良い経験をすること、良い刺激を受けることが大切だと思います。その経験や刺激が最も近くの人から得られる職場というのは、かなりクリエイターの理想の環境に近いですし、モノ作りの醍醐味なのではないかと思います。


あれから数年……
試写をみた時から世界の状況は一変し、在宅勤務も増えたことから

・会社に集まってモノをつくる意義とは?
・会社に所属する意義とは?
・自分自身のクリエイティブとは?
・ニューノーマルな働き方って何?


みたいなことを、ほぼ全てのゲームクリエイターやゲーム会社が考えていると思います。

しかし、どんな時代になろうと、どんな体制になろうと

・刺激的な人と一緒にもの作りができること
・刺激的だと思えるプロジェクトに参加すること


ということの重要性は、ゲームというものが「人」が作るものである以上変わらないと思います。

会社やスタジオはそいう場所や機会を作り、クリエイターはそこに集まって互いに己のクリエイティブをぶつけ合いながら成長していく、という本質や重要性は同じなのではないかと思います。(形はどんどん変わっていくとして)


まとめ


クリエイターにとっての理想の職場環境について話してきましたが、
自分自身も日々刺激的なクリエイターでいられるよう仕事をしていこうと思っています。(思われないかもしれないけどw)
また、刺激的なクリエイター達と今後も一緒に仕事がさせてもらえるよう自分でいられるよう日々精進していきたいと思います。


最後に……

ちなみにそんな理想な職場ってあるの?という疑問が浮かぶと思いますが
そんな理想の職場はそうそうないと思います(笑)
もしかするとですが、それに近い職場ならあるのかも……

信じるか信じないかはアナタ次第ですが、興味がある方は応募してみると良いかもしれません(笑)

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

よろしければサポートを宜しくお願いします。頂きましたサポートは今後の創作活動に使わさせていただきます。決してビール代にはしませんのでご安心ください(笑)