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オルタナとはなんぞや 〜いちバンドマンとしての個人的解釈〜
定期的に更新しているnoteの記事
「オススメの押し付け」内でIncubusを紹介していた際に、
"オルタナティブロック"という単語が頻発した。
思い返してみれば、オルタナティブロックってどんなジャンルなんだろうか。
このnoteを読んでくれている、
もしくはたどり着いた方々は、
十中八九音楽好きであろう。
今回はそんな皆様と一緒に、定義が紆余曲折に変化し続けているジャンル、
"オルタナティブロック"について考えていこうと思います。
好きなオルタナバンドはRadiohead
ヨサカコーメーです。
まず大前提として、
皆さんはオルタナティブロックがどんな音楽ジャンルか説明できますか?
ある程度説明できて、自分なりの意見をお持ちの方は、
こんな記事なんか読んでないでオルタナバンドを組んでください。
そして音源聞かせてください。
この記事では大きく分けて4つの"オルタナティブロック"について、
私なりの解釈と現状について記述していくことにする。
※出典元や根拠が不十分なものが沢山含まれる
あくまで個人の意見を書いた記事です。
事実と異なる事柄が含まれる場合があるので、
その点ご留意願いたい。
①オルタナの夜明け ~UKオルタナ~
事の始まりは1970年台のイギリス。
この頃のイギリスでは、
若者の反骨精神を象徴していたロックが食いものにされ、
商業音楽化してしまう事態が起こっていた。
また、泥臭さの象徴だったロックは人気を得たことで複雑化し、
高額な機材を使用したハードロックや、
技巧的すぎるプログレなど、
若者にとってどんどん共感しづらいものへと変化していく。
加えて、"ロック"という音楽ジャンルはアメリカ人が生み出したものであり、
同じ英語圏で暮らすイギリスの若者たちには、
ロックに対して強い羨望があったようだ。
英国生まれのロックバンド代表格「ビートルズ」などは、
"ブリティッシュインベンジョン"(英国からの侵略)と呼ばれた
その結果、
1960年代にロックンロールを真似てビートルズやローリングストーンズが生まれたように、
1970年代にはアメリカのガレージロックを真似て、"パンクロック"なるものが誕生した。
かの有名なSex Pistolsである。
Sex Pistolsは当時のイギリスとしては考えられないような歌詞とスタイル(王宮批判、大企業批判、反体制を貫く)で、若者を中心に絶大な人気を誇った。
英国国歌とまんま同じ名前のこの曲。
日本で言うところの「天皇陛下万歳」と言う意味なのに
内容は王室批判というやばい曲
これにより、イギリス国内でパンクロックは大ブームを起こすこととなる。
ブーム自体の寿命は短かったものの、
パンクロックが生み出した「反体制」の精神は、
メインストリームの商業音楽と対を成すもの、
"Alternative"(代わりの、もう一つの)なものであり、
70年代中期~後期のバンドに多大な影響を与える。
上記の流れを汲んで生まれたバンドこそ、
始まりのオルタナ、"UKオルタナティブロック”だ。
UKオルタナティブロックの特徴はこんな感じ。
①70年代後期~80年代前期に活動した
②ダンサブルなビートが特徴
③ギターはコーラスやディレイなど、ウェットなサウンドが多い
④反体制的な歌詞、態度、ファッションスタイル
以下に例となるバンドをいくつか挙げよう。
Sex Pistols解散後にVoが結成したバンド"Public Image Ltd"
ダンサブルなリズムが特徴的。
80年代のUKオルタナ代表"The Smiths"
やはりこうして聴いてみると、後述するUSオルタナに比べてギターの音色がクリアで爽やかだ
そしてやはり"U2"は外せない。
80年後期UKオルタナの名バンドだ。
②オルタナの変化 ~USオルタナ~
こうしてUKオルタナが生まれたわけだが、
ロックの生みの親、アメリカではどうだろう。
1970年台後半のアメリカでも同じように、
ポップミュージックに対する強い反抗心が生まれていた
そんな中、インディー音楽を全米に普及した、
一つのメディアがある。
各大学内で独自に放送されていた、
カレッジラジオだ。
前回記事でも紹介した"R.E.M."
彼らはカレッジラジオによって、一躍有名バンドに成長した
カレッジラジオではUKオルタナもよく放送されていたようで、アメリカの若者たちにも着実に受け入れられていった。
こうしてイギリスで流行したオルタナを元に、
アメリカ特有のノイジーで、轟音的なサウンドが組み合せた、
USオルタナティブロックが誕生する。
USオルタナティブロックの特徴はこんな感じ。
①70年代後期~80年代中期に活動した
②ビート感は弱めで、ベースも歪んでいることが多い
③ギターは歪みまくっており、爆音の壁を作る
④陰惨としていたり、諦観の強い歌詞
⑤メインストリームに対する反骨精神は健在
おそらく大多数の方々が指す「オルタナティブロック」は、70年後期〜80年前期に活動していたUSオルタナバンドがほとんどだろう。
本記事のヘッダーにも使わせてもらった、USオルタナ代表格"Sonic Youth"
ギターのハウリングから始まる、非常にノイジーなサウンドだ
USオルタナの雄"Dinosaur Jr"
これでもかと言うような爆音、メンバー全員爆音だ
こちらはUSオルタナの中でも「ローファイサウンド」と言われる独特なバンド、"Pavement"
上記2バンドに比べると、UKロックからの影響を強く感じる
メインストリームへの対抗心を抱えた、轟音サウンドが特徴なバンド。
これがUSオルタナ最大の特徴なわけだが、
ひとつ気になる問題がある。
「Nirvanaはオルタナに当てはまるのか」問題だ。
Nirvanaの大ヒット曲"Smells Like Teen Spirits"
この曲のリリースは1991年で時期も微妙だ。
サウンドなどの特徴だけで考えるとUSオルタナであり、
彼らはポップミュージックに対して強い対応心を抱いていたが、
「グランジ」と呼ばれる音楽ジャンルのバンドでもある。
私個人の意見でいうと、NIRVANAはUSオルタナではないと思う。
「グランジ」がすでにUSオルタナの精神性と音楽性を引き継ぎ、
進化した新しい音楽ジャンルだと思うからだ。
このあたりの解釈だったり定義が人によってわかれるのが、
オルタナというものを理解しづらくしている気がします。
③オルタナの系譜 ~現代オルタナ~
現代に入っても「オルタナ」と呼ばれるバンドは複数いる。
そのほとんどが70後期~80中期までのUKオルタナや、
USオルタナにサウンドの影響を受けているバンドたちだ。
ヨサカが大好きなバンド"Radiohead"
U2やThe SmithsなどのUKオルタナから強い影響を受け、
独特の進化を遂げたバンドだ。
Radioheadと同年代のバンド"Blur"
USオルタナとUKオルタナをうまく混ぜたようなセルフタイトルアルバムは名盤
2000年世代のバンド"Bloc party"
ブラックミュージック的な歌い方のVoと、
オルタナをデジタル化したようなサウンドが魅力的
オルタナは70~80年代バンドだけが名乗れるものという意見もあるが、
「当時の精神性と音楽性を引き継いだ次世代のバンド」も、
オルタナティブロックバンドだと私は思う。
USとUKの垣根を越えて混ざりあう音楽性が現代オルタナの魅力であり、
今後どんどん新しいバンドが生まれているであろう楽しみにもなっている
現代オルタナの特徴はこんな感じ。
①あまり複雑すぎない、ローファイ過ぎないドラム
②時に轟音、時にエフェクティブな緩急のついたギターサウンド
③他ジャンルの音楽を取り入れ、独自の進化を遂げている
④メインストリームで受け入れられつつも"売れるための"音楽を書いていない
④オルタナ来航 ~日本のオルタナ~
ここまではすべて海外のオルタナバンドについて紹介してきたが、
もちろん日本にもオルタナバンドはたくさんいる。
反骨精神、ローファイ、轟音…
やっぱりこのバンド達は外せないだろう。
日本のオルタナ最前線を今も駆け抜けてくれているバンド"NUMBER GIRL"
再結成の理由が「稼ぎたいから」なのはちょっと笑ったけど。
初見で微妙だな…と思った方は、数か月後にまた聴きに来てほしい。
繰り返すごとに深みが増していくバンド"bloodthirsty butchers"だ
日本のオルタナバンドは、サウンド面でかなりUSオルタナの影響を受けてはいるが、
日本語にはない独特の「叙情」が混ざり合って、
"爆音なのに泣ける"独自のジャンルへと変化していると思う。
そしてその精神は今も、インディーズバンドへ脈々と受け継がれている。
身近なバンドで一番オルタナしているのは間違いなく彼ら、"aoni"
知り合いだからという贔屓目無しで、たまらなくカッコいい。
轟音 is Power.
USオルタナ感満載の"Teenager Kick Ass"
日本のオルタナの特徴はこんな感じ。
①USオルタナに影響を受けた轟音サウンド
②従来オルタナの緩いテンポ以外にも、ハイテンポな曲あり
③他ジャンルの音楽を取り入れ、独自の進化を遂げている
④日本語の恩恵を受けた叙情的な歌詞
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そろそろまとめたい
思ったより長くなってしまったので、最後にまとめと個人的な解釈を。
Ⅰ. オルタナは大まかに分けて、4つに分類できる
Ⅱ. 最初に生まれたのはUKオルタナで、ダンサブルかつクリーン
Ⅲ. アメリカ独自の進化を遂げ、轟音化したのがUSオルタナ
Ⅳ. UKとUS両方のエッセンスを取り入れ、現在オルタナは進化している
Ⅴ. 日本のオルタナバンドだって負けてないし、最高だぞ
この記事を書くにあたってオルタナについて解説しているいろいろな記事を拝見したのだが、やはりどの記事もオルタナに対する熱い愛で溢れていた。
"オルタナティブロック"は結論、
ロックが好きで好きでしょうがない奴らが、
ロックを守るために生み出した文化だと思う。
オルタナを名乗りたければ名乗ればいいし、
批判したければ批判すればいい。
俺たちがオルタナバンドを好きなことは変わらないんだから。
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