見出し画像

夢と生きる。

今日も明日も明後日も休み、この先ずっと何の予定も無い。
僕は布団の中に潜り込み、ついさっき迄も13時間ばかり昼寝をしてしまっていた。
それはもう昼寝とは言えず、もう窓の外は暗くなっていた。
窓を開けた。
外から流れてくる冷気は、僕の寝ぼけた頭を正気にさせる。
僕は睡眠中に寝ていた夢を思い出す。
僕の住むもう一つの街の夢だ。
いつも同じ街の夢。
僕はその街中を案内できる程、その街を知っていた。
見る夢の街はいつも形を変えているのにも、関わらず。
現実の僕の町よりも、夢の中での街の方が、
僕にはリアルに思える。
どちらが夢でどちらが現実か、分からなくなる程、毎日長い眠りに就いていた。
普通は夢の中の自分は、何の不自由も無く夢の中を闊歩する。
それが夢の特権だからだ。
だけど、僕の見る夢の中の僕は、雁字搦めに鎖で繋がれた去勢したドーベルマンのようだ。
僕は黒々とした毛並みのドーベルマンに吠え立てられるのだ。
その犬の名は、決して分からない。
その犬は、僕の夢の中でずっと生きている。
生きていく。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?