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あの夜の月。

目が覚めたら、僕は幸せになっているだろうか。

そう思いながら、毎晩僕は眠る。

明日もきっと大切な人々に囲まれて、幸せな一日を過ごせますように、と祈りながら眠りに就く。

夜中に目を覚ます。

トイレに起きたが、それから眠れずにいた。

窓のカーテンを引くと、窓越しの夜空には、月がぽっかりと浮かんでいた。

僕はもっと近くで月を見たくなって、家の外に出た。

外は、まだ春と呼ぶには早すぎ、夜風は少し冷たかった。

月は部屋の中から見た月よりも、その存在を確かに思えるように、澄んだ空気の中にクッキリと見せていた。

彼女も今、同じ月を見ているだろうか。

いや、こんな夜中には、彼女はもう眠っているだろう。

そんな事を考えながら、あ、これ前にもあったと自分の思った事と頭上に見える月を見上げながら、デジャブした。

丁度、その時、彼女も偶然目を覚まし、月を見ていた事を、僕は知る由も無かったが、僕と彼女はその時、確かに同じ月を見ているのだった。

 

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