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準備はできているか?

今週は、このショート動画を何度も繰り返し観ていました。

誇張なく100回以上は再生したと思います。

素晴らしいノンバーバル・パフォーマンスを前にして、冗長な言葉を綴るのは野暮だと思いつつ、今回はこの動画から感じたことを書いてみます。

レコメンドを通した偶発的な出会い

この動画は「Red Bull Dance Your Style World Final 2022」というダンスバトルの世界大会の1シーンを編集したものです。

2022年12月に南アフリカのヨハネスブルクでワールドファイナルが開催され、前述のショート動画に登場する、19歳の日本人ダンサーTHE D SoraKiが初出場で優勝しました。

Red Bull Dance Your Styleは、歴代のヒットソングに合わせて1on1で即興ダンスを披露し、会場の観客を盛り上げた方のダンサーが勝つという、ユニークなルールのイベントです。

Red Bull公式チャンネルで、本編を視聴することができます。

普段ダンスバトルという分野にはアンテナを張っていないのですが、公開されてから1ヶ月ぐらいの期間を経て、YouTubeからお薦めされました。

稀にこのような偶然の発見を提供してくれるので、レコメンド機能は侮れません。さながらボトルメールのようなロマンさえ感じます。

数々の偶然が重なった末に生まれたダンス

帰国後に行われたSoraKiへの単独インタビューを読むと、この名シーンは数々の偶然が重なった末に生まれていたことが分かります。

実は補欠だった

南アフリカへ行く予定にはなっていたものの、大会への出場が決まったのは開催の1週間前だったそうです。フランスのダンサーPOPPIN C が辞退されたことによって、繰り上げで出場が決まったとのこと。

失敗体験からの学びがあった

SoraKiは過去にジャパンファイナルの予選に出場されており、その際に楽曲やアーティストに合わせたダンスを披露してしまい、うまく立ち回れなかったという苦い記憶を持っていました。その経験から、今回は流されずに自分のスタイルを貫くという決意を持って大会に臨んだそうです。

次に掛かる曲は知らされていなかった

この大会のルールでは、流れ始めた曲に合わせて即興でダンスを披露する必要があります。何の曲が流れるのかは一切知らされていないので、ダンサーは事前に予習をすることができません。

幸運を受け取る準備ができていた

順調に勝ち進んで迎えた準決勝。Diana Rossの「I’m Coming Out」が流れ始めた瞬間に、SoraKiは「勝った」と思ったそうです。

「I’m Coming Out」は、イントロがとても印象的な楽曲です。切れの良いカッティング・ギターに、Tony Thompsonの力強いドラム・ブレイクが差し込まれ、1分近く焦らしに焦らしてようやく本編に入るという構成です。

「曲を知ってたし、最初のパートを踊りたかったので、先攻で良かった」というコメントから、知っている曲の踊りたいパートが、たまたま自分のターンに巡ってきたという、幾重もの偶然が重なっていたことが分かります。

セミファイナルの1曲目というタイミングも絶妙です。1戦目からバトルを見てきた観客は「次はどんなダンスを見せてくれるんだろう?」と、期待値が高まった状態でSoraKiを待ち構えていたのだと思います。

このように、数々の偶然が重なってお膳立てが揃ったベストなタイミングに、往年の名曲に合わせてビルドアップしていくダンスが見事にハマって、オーディエンスの盛り上がりは最高潮。

ブレイクで会場全体がひとつになりました。

What a vibe!!!

この偶然の連続を「運が良かった」と片付けるのは簡単ですが、SoraKiはその運を味方にする準備ができていたのだと思います。

4歳でダンスを始め、ジャンルを横断してさまざまなスタイルのダンスを習得。1日4時間のトレーニングを行い、2020年からInstagramに自身の即興ダンスを毎日のように投稿。こうした日々の積み重ねがあったからこそ、絶好のタイミングで巡ってきたチャンスを活かすことができたのでしょう。

準備はできているか?

フランスの細菌学者ルイ・パスツールは「幸運は用意された心のみに宿る」という言葉を残しました。

偶然は誰の元にも起きるし、運もまた等しく巡ってきます。しかし、それを活かせるか否かは、自分自身の準備ができているかどうかに掛かっているのだと思います。

せっかくの大きなチャンスも、自分の器が小さければ受け入れることはできません。そのチャンスに気づくことすらできず、見過ごしてしまうこともあるでしょう。

自分のターンにチャンスが巡ってくる日に備えて、小さな成功体験を積み重ねながら準備をしていきましょう。

では。


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