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アジアのコーヒー生産 -農園編-

 今回は、ベトナムの農園におけるコーヒー生産のはなしを書いていこうと思います。

 収穫からコーヒーカップまでのフローを綴りたいのですが、ちょっと長くなると思いますので、「農園 編」「精製所 編」「消費  編」の3回に分けたいと思います。

写真とともにお話しします。

大のお気に入り、フィルムの写真を撮り貯めてきたよ^^ (ダラットで現像&データ化すると、日本の約1/8で出来てしまうという驚き…この話はまた別のnoteで。

ではまず、「農園編」から!

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1. Harvest Base Camp 

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 ベトナム社会主義共和国ラムドン省ラックズオン県、ランビアン山の中腹に立地するコーヒー農園。
 人びとが暮らす村から行くには、トレッキング道とも言える舗装のない道をバイクもしくは徒歩で向かうしかありません。農家の方々は2人で1台のバイクに乗り、11月下旬から12月下旬の収穫最盛期には毎日山の農園に行きます。

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 中央に見える小屋はそんな山の農地のベースキャンプともいえる場所。小さなキッチンとベッドがあり、昼食を作って食べたり、大人2人までなら泊まり込みで作業も可能。収穫期は乾季なので、雨の心配もありません。

 山の気持ちの良い景色を眺め、生き生きした植物に囲まれての収穫作業は、忙しい時間の中で癒しを与えてくれます。


2. The Variety of "Catimor"

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 ランビアン山の農園に多く植っている品種は、カティモールと呼ばれるもの。これは、風味豊かで繊細な味わいのアラビカ種と、病気や気候変動に強いロブスタ種がハイブリッドする というかなり珍しい交配により生まれた品種です。1960年代、カトゥーラ種とティモールハイブリッドの人工交配により生まれました。

他の品種よりも耐病性が強く、密集して結実するために収量が多いといったメリットがあり、リスク管理がしやすいことが特徴です。そのため、政府はアラビカ種を栽培するコーヒー農家にこのカティモール種を生産することを奨励しました。この土地には元来、ティピカ種、レッドブルボン種、イエローブルボン種が育てられていました。
 風味と味はアラビカ種のもつ豊かで芳醇なアロマで、アフターテイストにどっしりとした丸みを感じます。他の純粋な品種と比べると風味や繊細さは劣りますが、そこは精製のクオリティでカバーできます。

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 ↑カティモール(Catimor)は現地語で「やせっぽっちの女のひと」というニックネームで呼ばれており、それはこの種のしなやかで細い線の木への印象から来るものです。手脚がすらっと長く、スレンダーなモデル体系のコーヒーの木です。


3. Harvest by hand picking

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 収穫は全て手摘みで、丁寧に行われます。赤い大きなチェリーバッグにフルで詰めると、1袋で約60〜70kgになります。とても重い。
 熟度の揃った収穫によるコーヒーチェリーは、ライチやマンゴーのような甘さのある、美味しいコーヒーになります。

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まだ青い果実は摘まずに木に残し、熟すのを待ちます。この後の工程に大きく影響するピッキングは、スキルフルなコホ族の若者たちが中心となり行っているのです。

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ピッキングはベトナム語で "hái cà phê(ハイカフェ)"。 農園では "hái cà phê nữa!(ハイカフェ ヌァ!)…もっと摘んで!"という元気な声が飛び交います。

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4. Down hill

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 ランビアン山の農園から、麓の村にある大きな精製所へコーヒーチェリーのバッグを運ぶにはバイク。大人2人とチェリーバッグひとつを乗せたその総重量は150kg以上…落とさないように丁寧に運びます。


5. Measure coffee cherries bags

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 山の農園からバイクで運ばれたチェリーバッグは、大きな道路へ出るとトラクターに積まれます。そしてまとめられると、精製所へと運ばれます。
 次の作業へ移る前に、重量の計測がなされます。これは、周辺のコーヒー農家からもチェリーを購入しているため。重量で支払う額が決まります。

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 50〜70kgの大きなバッグも、彼らにとっては持ち運ぶのもなんのその。60(kg)はコホの言葉で"pro jet"。pro jetを運べる男児は一人前として認められます。…よく持ち上げられるなぁ…

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「農園編」のストーリーはここまで。

次回、精製のおはなしをします。


収穫期の農園はとても忙しいけれど、楽しいこともたくさんあります。

一年に一度しかない収穫を、最大限に楽しみながら、クオリティを上げることを考えながら、毎日の移ろいゆく景色を感じながら生産に携わることができてよかった。


次回以降もお楽しみに!

Instagramはこちら(農園写真オフショット有)


ばいばいっ!

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