Youtubeをいつも1

Youtubeをいつも1.5倍速で見ている僕が、最適視聴速度を徹底的に調べてみた。

ハイライト
・1.4倍速再生がコンテンツを1番楽しめる!?
・1.8倍速までは記憶定着率を維持できるかも!?
・人間の限界値は6.6倍速・・・?

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動画は1.5倍速で見る時代・・・?🎥

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YoutubeやNetflixなど、動画サービスが隆盛し、TV業界を一気に追い抜く時代となりました。国内・国外あらゆる動画が無料、もしくは定額で見放題となった現代。普通の速度でそれらを全部見る時間なんてありません。

Youtubeには1.25、1.5倍速など倍速機能が標準装備されています。

また、ブラウザ上での視聴では”Video Speed Controller”のように、動画を自分の好きな速度で再生できるツールも登場し、再生速度を自由自在にコントロールできます。私はこれを常用しています。便利すぎるので。

これを使えば、Netflixなど倍速再生に公式対応していない動画すら、自由にスピードをコントロールできるのです。


そこでいくつかのの疑問が生じました。

動画を高速再生したら・・・

「 本当にコンテンツを楽しめるのだろうか・・・? 」
「 記憶に残るのだろうか・・・? 」
「 倍速再生の限界はあるのだろうか・・・? 」

今回は、3つのギモンを徹底調査!

コンテンツに合った再生速度を検証します。


コンテンツの満足度は1.4倍速が最高⁉✨

ノースカロライナ大学のチームが行った2008年の研究では、183人の参加者を集め、動画によるプレゼン1.0倍速、1.4倍速、1.8倍速で聴いてもらう実験を行いました。

この実験に参加した人は平均年齢21歳。記憶能力や情緒に関して何の問題もない人達です。

コンテンツの満足度

プレゼンを1.0倍速、1.4倍速、1.8倍速で聴いてもらった結果、大きく差は無いものの、『最も満足度が高いのは1.4倍速』でした。



つまり、TEDのようなプレゼン動画や、Youtubeの学習・教養コンテンツ等は1.4倍速で聴くのが一番面白いと感じるのです。

あくまでプレゼン動画ですから、Netflixや他のドラマに100%適応できるかはわかりません。しかしこの研究は、倍速視聴の興味深い可能性を示しています。


コンテンツの学習は、1.8倍速まで問題なし?⚡

先ほど紹介したノースカロライナ大学の研究には続きがあります。この研究では、プレゼン内容のテストを行いました。内容が頭に入っているかどうかまで調査されたのです。

記憶定着率

その結果、1.0倍速、1.4倍速、1.8倍速では大きく変化がないものの、『1.8倍速が最も良い成績』であることが示されました。

2010年にSlippery Rock大学で行われた別の研究では、『1.25倍速の音声が学習効果を上げる』ことが示されており、1.25倍速学習が推奨されています。


したがって、

・1.0~1.8倍速の記憶定着率は大きく差があるわけではない
・一方、1.25倍、1.8倍速には学習効果の高さを示す証拠がある
・学習にかかる時間を節約できる倍速学習には期待大!

という結論を出すことができます。特に学習系コンテンツは面白さよりも、頭に入るかどうかが重要ですから、選択するべきは高速視聴でしょう。

高速視聴の場合、より集中して音声を聞き取ろうとする注意が働きます。聞き逃しよりも集中による記憶定着効果が高いため、記憶に残りやすいのではないか?というのが研究チームの結論です。


んじゃー、聞き取れるだけ早い方が時間コスト考えてもお得じゃない?

と思ったのですが、世の中そんなに甘くはないようです。


さすがに2.0倍はやりすぎ。でも希望も・・・??👂

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倍速音声の識別に関する研究はかなり昔からされています。Emersonらが行った研究では、倍速再生は都合が良いことばかりじゃないことをリスニングテストにて示しています。

研究の結果、1.0~2.0倍速においてはリスニングテストの理解度はあまり変わらなかったのですが、『2.0倍速以上になると急激に理解度が悪化』したのです。

言われてみれば当然ですね。どうやら、”早口すぎて理解できない”の境界線は2.0倍速付近にあるようです。常人はこれ以上の速度でコンテンツを視聴しても意味がありません。

しかし、希望が無いわけではありません。

視力が極端に落ちたドイツ人6人に協力してもらった実験では、参加者に6か月のトレーニングを行いました。その結果、6倍速の音声を正確に聞き取ることができるようになったのです。

常人とは使える脳の領域が違う視力低下者の実験ですが、トレーニング次第でもっと早いスピードの音声を聞き取れるようになる・・・かもしれません。


注意すべきはイッキ見だ!💣💣💣

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2017年に行われた研究では、Netflixなどの動画コンテンツのイッキ見によって、コンテンツの満足度や記憶への定着率が変わるかどうかを調査。

その結果、イッキ見のネガティブ効果が明らかになります。

イッキ見は1日おき、1週おきに見るよりコンテンツを楽しめない。
イッキ見は、140日後には記憶が半分くらい飛んでいる。

したがって、コンテンツを”楽しむ”ことが目的なら、イッキ見は決して良い手段ではないと言えます。イッキ見は、まさに”消費”という言葉がぴったり

当日の記憶定着率はイッキ見の方が高いので、その日だけ楽しめばいい!次の日はまた別のコンテンツをみる!というヒトにはとても良いアプローチなのかもしれません。。。


まとめ

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私のオススメ視聴スピードは以下の通りです。

■学習コンテンツ:1.8倍速まで
■ストーリーコンテンツ:1.0~1.4倍速

学習コンテンツは、頭に入ることが一番の目的です。時間を最小化できる最大のスピードとして、1.8倍速までを推奨します。

もちろん、コンテンツによってはもともと早口だったり、情報量の多いものも存在します。その場合は適宜遅く設定をしてみましょう!

一方、ストーリーコンテンツは1.4倍速までは十分面白さや満足度を高められるスピードなのでアリ。

しかし、制作側としてはストーリーに存在する”間”も計算している場合が多いですもの。隅から隅まで楽しみたい名作については1.0倍速がオススメです。




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引用

Ritzhaupt, Albert D., Neil D. Gomes, and Ann E. Barron. "The effects of time-compressed audio and verbal redundancy on learner performance and satisfaction." Computers in human behavior 24.5 (2008): 2434-2445.

Foulke, Emerson. "Listening comprehension as a function of word rate." Journal of Communication 18.3 (1968): 198-206.

Dietrich, Susanne, Ingo Hertrich, and Hermann Ackermann. "Training of ultra-fast speech comprehension induces functional reorganization of the central-visual system in late-blind humans." Frontiers in human neuroscience 7 (2013): 701.

Horvath, Jared C., et al. "The impact of binge watching on memory and perceived comprehension." First Monday 22.9 (2017).

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