他人のことを思うとき、僕らはいつもより、クリエイティブになる。
ハイライト
・自分よりも、ほかの人のことを思うとクリエイティブになれる
・身近な人より、見知らぬ誰かの為だとさらにクリエイティブに
・自分よりも、ほかの人の問題解決が上手な私たち
・与えること=損という間違い
他人の得が許せない人々が急増しているけど...
自分が不利益を被るわけではないのにもかかわらず、他人が利益をつかむことを不快に思う人たちがいるようです。元記事では、不況で急増してきたという話の流れですが、実際はインターネットやSNSの普及により、今まで見えなかった声が”見える化”されただけでしょう。
”ルサンチマン”や”嫉妬”と呼ばれる感情は、残念ながら私たち人間の標準装備です。
↑このnoteでも書いた通り、嫉妬は私たちを幸せにしません。蹴落とし合いの果てに幸せはありません。当たり前です。
他人の得を排除しても、私たちが幸せにならないことは、少し考えればわかることですが、そもそも私たちは、なぜ他人の得に対してこんなに敏感になってしまうのでしょう・・・?
原因の一つは、私たちは”他人のためを考える=ムダ”と思いがちな構図にあるのではないでしょうか?しかし、それは間違いです。他人のことを考える事はムダではありません。
今回は、他人のことを考えるだけで自分のクリエイティブ性が上がることを題材にして、ヒトの為を考えることは、決して”損”ではない!ということを示していこうと思います。
自分だけを考える VS 他人のことを考える👽
自分の利益を考えるときと、ヒトの利益を考えるとき。どちらがクリエイティブになれるでしょうか?
心理学領域では、クリエイティブ性を測る際、エイリアンを書いてもらう。ということをよくやります。エイリアンには手の数や頭の数、体の形など、工夫する場所がたくさんあります。したがって、参加者の持つクリエイティブ性が存分に発揮されるのです。
人は、石や火、さまざまな金属を工夫することで生き残ってきました。クリエイティブ性とは、生き残るために必要な能力なのです。
ヒトが”自分の為”に生きているなら、自分の為にこそクリエイティブであるべきですが、”他人と共存して”生きているのなら、他人の為にこそクリエイティブになれるはずです。
他人のために描いたエイリアンは、どこか優しい。
研究チームは262人の大学生を集め、ある実験を行いました。
・7分の間にできるだけ多くのエイリアンを書いてもらう
・Aグループには自分の物語に登場させるために書いてもらう
・Bグループには他人の物語に登場させるために書いてもらう
クリエイティブ性は、エイリアンが地球上の生物にない特徴を持っている数で判断されました。(例えば、目が3つあるなど)
すると、
他人のことを考えたBグループは、Aグループの1.49倍もクリエイティブな特徴を書き出すことができたのです。
この結果は、他人のことを考えるだけでクリエイティブ性を上昇させることができることを示しています。
では、”他人”とは誰のことを言うのでしょうか?身近なヒト?それとも、赤の他人?親密度によって、私たちのクリエイティブ性はどれだけ変化するのでしょうか?
身近なヒトのためなら、クリエイティブになれる??
親密な誰かの為のアイデアと、見知らぬだれかのためのアイデア。どちらがクリエイティブだと思いますか?
その人のことをより知っている、恋人や家族のためのアイデアはたくさんのバリエーションを産みそうですよね!
親密度によるクリエイティブ性の変化を見るために、
581人の参加者と協力して研究チームが行った実験がコチラです。
・参加者には、時間内にできるだけたくさんのプレゼントのアイデアを考えてもらいます。
・Aグループは自分の為のプレゼント
・Bグループは親密な人の為のプレゼント
・Cグループは見知らぬだれかの為のプレゼント
それぞれ考えてもらった結果、
Aグループに比べて、
・BグループはAグループとほとんど変化なし
・CグループはAグループより12%くらいクリエイティブに
・Cグループの情報を与えても、効果は変わらなかった
したがって、見知らぬだれかの為のプレゼントほどクリエイティブになり、親密な人のプレゼントはあまりクリエイティブにならないということが示されました。
見知らぬ人の情報を知っていたら、クリエイティブ性は低くなりそうですが、情報を与えても、クリエイティブ性は高い状態が維持されました。つまり、”親密ではない”という事実だけがクリエイティブ性に関連していたのです。
なぜ、他人のことを考えるとクリエイティブになれるのか?
研究チームの結論は2つです。
1つ目は、他人のことを考えるとき、自分や親密なヒトほど責任を感じることが少ないことです。これは、責任を持たないから意味のないアイデアが出る。という意味ではなく、プレッシャーを与えられたヒトのクリエイティブ性が著しく下がってしまうことを示しています。
2つ目は、第3者の視点は様々な認知バイアスに邪魔されることなく、客観的な判断を下せることにあります。”こうに違いない”という考えは、アイデアの多様性を著しく損ないます。
* ↑ 認知バイアス研究の最大貢献者:ダニエルカーネマンの著書
他人の得について文句を言うヒトは、逆にクリエイティブ?
これらの研究結果から、私たちは自分と関わりが少ない人のことを考えるとき、最もクリエイティブになれることがわかります。
他人の得について文句を言うのって、イチャモンに近いと思うのですが、無から有を生み出す力はまさにクリエイティブですよね!(笑)
その高くなったクリエイティブ性をネガティブな方向に使うこともできますが、その力はポジティブな力へと変換することができます。
実験結果にもあったように、他人へのプレゼントのバリエーションを考えたり、他人のためのアイデアを与えたり、問題解決の手助けをしたりすることができます。
与えることは損ではありません。
与えたものが100%必ず返ってくるワケではありません。
でも、120%になって返ってくることもあるんです。
これらのことが同時に起こるから、とっても複雑で、理解が難しい。だから、ヒトに構う必要はない。そう考えるのは、損な生き方です。
幸せに生きたヒトに話を聞くと、お金を持っていなかったとしても、良い人間関係を持って、人生を面白おかしく生きていることが、数々の研究結果により明らかになっています。
・人はギバーでもテイカーでもマッチャーでもある。そしてすぐに変化できる。
・ギバーがいると、その周辺のマッチャーもギバーに合わせた振る舞いをするので、コミュニティの質が変容していく
・ギバーは自分が大切な人の利益を代表していると考えるとき、自己主張もしっかりできる
与えるだけの人生なんて、いかにも損に思いますよね?そんなヒトにこそこの本を読んでほしいと思います。
一番失敗しやすいのも、一番成功しやすいのもギバーだから!
自分と周りを幸せに導く、成功するギバーになれたら、うれしくないですか??
オススメ記事
----- おしまい -----
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引用
Polman, Evan, and Kyle J. Emich. "Decisions for others are more creative than decisions for the self." Personality and Social Psychology Bulletin 37.4 (2011): 492-501.
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