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真面目に遊んだハサミ

こんにちは。
oun Lab. シミズタカユキです。

紙などを切る道具と言えばハサミを思い浮かべる人が多いかと思います。
僕は仕事柄、ハサミよりもカッターの方が使用頻度が高いのですが、やはりモノづくりの道具としてハサミにも拘りがあります。

今回は「 J.A. HENCKELS INTERNATIONAL」「レイメイ藤井」社の共同開発によって誕生した「HI Scissors」をご紹介します。

1. 意匠

本製品はドイツの刃物の街、ゾーリンゲンで1731年に創業されたヘンケルス社と日本のオフィスサプライやステーショナリーを取り扱うレイメイ藤井社の共同開発によって生まれました。

ドイツらしい質実剛健な造形に惹かれて購入したのですが、実はヘンケルス社のブランドロゴをモチーフにしているらしく、遊び心を取り入れた意匠となっています。

幾何学的な造形を主とした副産物として、指穴からグリップ・刃先までが一体で造られており、ハサミ本体の面と裏は同じパーツで構成されています。
そこに指穴用のエラストマー製のグリップが取り付けられた非常にシンプルな構成となっており、意匠と製造コストの両面を考え抜かれた設計です。

2. 機能

本製品は全長が140 / 160 / 180mmの3種類の展開があり、用途に併せたサイズを選ぶ事ができます。(僕は140mmと160mmを所有しています)
流石キッチンを始め、美容や家庭用まで様々な刃物をつくっているヘンケルス社製。
素材にはハイカーボンステンレス鋼が使用されており、工作用途としての切れ味は抜群です。

何かの要因で破損して廃棄する際に金属パーツと樹脂パーツを完全に分ける事ができる仕様となっており、リサイクルの観点からも良く考えられた設計です。

3. 使い勝手

指穴の部分は一般的なハサミと違い完全な正円となっている為、一本ずつしか指が入りません。

ですが、意外とコレが悪くない。

例えるなら、美容師さんのハサミに近い使い勝手に近いでしょうか。
親指と薬指を指穴に入れ、薬指側は他の指で固定しつつ親指側だけを動かすイメージで切り進めると、安定したカットが行えます。

4. コスパ

価格は140mm/¥880、160mm/¥1,100、180mm/¥1,320と、一般的な事務用ハサミと価格差はありません。

細かい作業が多い僕としては小回りの利く140mmサイズの使用頻度が高いですが、4~5年使い続けても特に刃こぼれや経年劣化も無く、今後も長く愛用していきたい道具の一つです。

5. oun view

「刃物の街で生まれ、300年近い歴史を持つメーカーのハサミ」とだけ聞けばクラシックながらも道具としての品質は確かなモノを想起させます。

そんなバックボーンに目を付け、同社のロゴをモチーフにしつつもモダンな意匠に仕上げたレイメイ藤井社のディレクションにまんまとやられました。

実際に使ってみても納得の品質。
意匠良し、品質良し、価格良しで非の打ち所がない道具ではないでしょうか。

6. まとめ

本製品の購入動機は潔い意匠に惹かれた、いわゆる「ジャケ買い」のような感じでした。
ですが実際に手にとってみると、伝統に裏付けられた技術力をベースに少しの遊び心を加えた道具には確かな品質と「ジャケ買い」させられるだけの魅力が共存していました。

大人が真面目に遊んだからこそ、意匠・品質・価格において高い次元で成立させられた好例ではないでしょうか。

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