真冬のサイダー・メモリーズ

 
ぱち
ぱち
ぱちん
 
もう音しないね
 
 
気のぬけたサイダー
ぼくら時々なにもかもどうでもよくなるから
晴れの日 倒したグラス
一滴もこぼれない みずいろ
夏のあいだに飲み干してもらえなかった
飽きられたサイダー
もうさみしくなるくらい寒くなって
凍ってしまったらしい
赤いストローの先端
百円のライターで火をつけたら
アロマキャンドルみたいに
ゆっくり溶けていったりしないだろうか
あの夏のにおいが部屋を飾って
そうしたら
さめざめ泣けたりしないだろうか
 
 
ぱち
ぱち
ぱちん

あの日 倒れたグラス
一滴もこぼれない みずいろ







生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。