まだころしてないだけ


蹴らなかったガードレールはどうせわたしが蹴ったって曲がりも歪みもしないガードレールで、だから蹴らなかったわけじゃないけど、だから蹴らなくてもよかった。


(怒らないで、)
意味のないものを排除したとき、わたしの庭は更地になる、
(焦らないで、)
寝転がって部屋の隅の埃を見つけたとき、死神だけがわたしを抱きしめたがる、
(祈らないで、)
はつ恋のひと以外を信仰したとき、わたしはつまらない罪人になる、
(泣かないで、)
わたし虹なんか見たくない。


安い靴の底に溜まった泥が落ちない、
好きじゃない人の顔が思い浮かぶとき、いつもぼんやりと曖昧なのに体温がある、
怒りでタイヤが回ればいいのに、
妬みでスマホが光ればいいのに、
祈りで花が咲けばいいのに、
涙で、喉が潤えばいいのに。







生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。