1017号室と1019号室の交換日記

 
ことしも誕生日をむかえました、注射を打った腕がほんのりいたいまま、こいびとが電話をくれました、大海明日香としてもたくさんのひとが祝ってくれて、幸福だねと思います、さみしいだのくるしいだの叫んでいても結局のところわたしは恵まれていて、でもこれが、すこしくらいは自分が精一杯生きてきたおかげもあるのだと思いたいのです、
誕生日を祝うことは存在を無条件に肯定されることだと何かで言っていたし、わたしはいつだって無条件にわたしのすべてを愛してくれるひとを探してもとめていたけれど、最近は少し、わたしというひとのひねくれた、怠惰な、でもわたしになんとかできる不器用な生を、好きだと言ってくれるひとの尊さがまぶしいような気がします、
要するに、わたしの全部で書いた詩を、愛してくださいねってことです。きっとずっと心地よくさみしいのにかわりはないから、さみしいまんまで、愛し合いましょうってことです。
 
 
おだやかな白い部屋に、やわらかな布張りのオレンジ色のソファに青いクッションを置くのにあこがれている、朝みたいな家で、ずっと夜みたいな暮らしがしたい、
句読点は今日も踊っていて、音楽を鳴らしてやらなきゃと思うのに、歌いたいうたがなくって泣きそうになる。
髪を切ることを決めた日の気持ちでいつもいたいのに、美容院の予約も流暢にとれないような自分ばかりが鏡にうつる、
あなたの幸せを祈るぶんだけわたしはだれかに幸せを祈られたくて、謙虚でも優しくもない嘘つきだけれどそれ全部どうでもいいくらいかわいいでしょう、
来年の約束を当たり前にしましょう、わたしが詩をやめないみたいに、あなたが、わたしを、やめられなくなってしまえば、の、夜です。
 
 
 
 
 
   
 
 
  
 
 



生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。