-1212℃の体育館で

すれ違った高校生から嗅いだことのある香水の匂いがした、
わたしも文化祭でバンドを組んで歌いたかった、100人に1人くらいは知ってるような曲を歌って、イントロが鳴った瞬間に顔を上げた数人のひとのこと、仲良くはならないまま特別にしたかった、
特別だと思ってほしかった。
わたしのしたかったは全部、後悔でも憧憬でもなくて渇望です、
冬の空気に触れた肌の感想なんかよりずっと、ずっと、喉が乾いています。
 
 
最近は年明けのお引っ越しのためになんとか生活をしています、
荷造りは全然進んでないのに詩のことを考えもしないまま気づいたら眠ってしまったりしていて、こうやって枯れていってしまうのかと思うとゾッとするよね。
まだ咲いてもないのに枯れるわけにはいかないから、どこにいたって何をしてたって書くしかないのだけれど。

せっかく出会えたここの人たちもわたしが歌いはじめたら顔くらいは上げてくれるだろうか、
いつだって忘れないでいてほしいとこんなに思う理由は今日も分からないけど、生きるってことをそういうことだと思っていないとこのままここで倒れて動けなくなってしまうから許してね。
 
 
新しい家電や家具を選んでいるあいだ昔のことはひとつも思い出さなくて、トンネルから出たあとの景色のことしか想像していなくて、ずっとこうやって生活ができたらいいなと思う、難しいけど、
わたしも、君も、もちろんあなたも、
とりあえず今日もあたたかくして眠れますように。






生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。