ホットウォーター・フェノメノン


快晴、
玄関先の花が枯れていることに気づかないで迎える朝の空腹、
を永遠に満たせない空白のコップ。


味がしないと思ってたの、水とか、お湯とか。
慣れた白湯の味で反芻する昨日見た夢、わたしはたったいちどしか死ねなくて、だからたったいちどしか愛せなくて、それだけが哀しくて怖ろしいね、
柔らかい肌の向こうから聴こえる産声を争う猫の鳴き声と間違えた日にだけ電話をするね、出ないでね、
代わりのいない猫達、代わりのいないわたし達、が、出発時間を知らせる時計の長針と短針に挟まれてつぶされて死んでいく、
その現象に名前をつける未来の賢いひとが、
名前をつけることの、名前を呼ばれることの温さを知っていることを願っている。


ねぇたったいちどだけ死ねる、そのたったいちどの、たったいちどを、あげるね。











生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。