思い出せない花の蜜の味

 
ひらく
 
とじる
 

心臓のあまいかおりがする
血液のにがいかおりがする
 
記憶は血管を流れるから
怪我をするたび
さらさら滲み出ていく
どうでもいいことから順番に
どうでもいいことは
わたしのことがどうでもよくて
忘れたいことは
わたしのことをくるしめたいから
わたしが記憶をしまうとき
罰として
窓のない部屋に放り込んだから
 
 
 
ひらく
 
とじる
   
 
心臓は
帰り道に千切ったはなびらに似ている
花占いをはじめたひとは
きっとその日 いやなことがあった






生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。