レプリカ・ナイトメア

 
布団から這い出して、くらいキッチンの蛇口をひねってひとり水を飲む瞬間以外、いきている、と、思えなかった。
午前4時、深夜ですか、もう朝ですか、きっと朝だと呼ぶひとにホットミルクを差し出してもらえば悪夢を見ることもないのかもしれません。それでもあの水の音とのどを通るつめたさに洗い流してもらわないと、わたし、ひとり昨日の亡き骸になってしまうのです。
 
 
ブルーライトはおとぎ話をうたってくれる
(時計、止まらないけど、のぼる太陽よりもあかるく)
カフェオレがはみがきをてつだってくれる
(処方された、スプーン二杯分の、砂糖)
 
金縛りにあったのはあたまとからだがケンカしてるからで
(だって、からだ、突き放さないと、一緒にだめになっちゃうでしょ)
気を失うみたいに眠りにつかなきゃにわとりは鳴かない
(ほんとうは、広い庭に、放してあげたかった)
 
 
カーテン、閉めきった午前4時、明け方なんて呼ばないひとの隣で眠りたい、陳腐なリンシタイケンを共有したい、わたしより先に起き上がって蛇口をひねってほしい。
ホットミルクいれてあげるから、つまんない顔で飲み干そう、ふたり昨日の亡霊のまま、毎晩今日を呪いころそう。







生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。