廃遊園地でフューネラル


メリーゴーランド、この世にいない、うつくしくない動物のからだに擦り傷ができて、薄むらさきの腹がまだらにしろくなっている、メリーゴーランド、世の中のものは、みんなおなじだと幼少期に知らされる、この世に足りない、すべてを、持っているのに大事にされない、ままゆっくりほろびていくア、ミューズ、メント。
 
 
にんげんはいつ翼を失ったのかを知るために本を読んでいるらしい、いつ翼が生えたのかを学ぶために言葉を紡ぐらしい、ぼくに翼がないことを、かつてのぼくにもほんとうは翼なんてなかったことを、受け入れてあきらめさせるために、観覧車はまろやかにまろやかに回転する、頂上の景色は決まって夜で、
 
 
あ、おおきなながれぼし。
   


メリーゴーランド、この世にいない、うつくしくない動物のかたいからだは、ぼくをどこにも運びやしない、メリーゴーランド、ここを離れない、だから安心する、この世に足りない、すべてを、持っているきみを連れて訪れる、たび順番に翼を生やすア、ミューズ、メント。

 
 
   
 
 
 
 
 
 
 

生活になるし、だからそのうち詩になります。ありがとうございます。