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ファンの立場からアーティストやクリエイターを支える投資としての応援について考える

オンラインサロンの「アル開発室」では、毎日けんすうさんの投稿が読めるのですが、2021/3/14の投稿で「アーティストやクリエイターとファンの関係をエンジェル投資っぽくできないか」ということが書かれていました。

今日はこれについてちょっと考えてみます。

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現代アートはエンジェル投資っぽい

エンジェル投資っていうのをやったことがないので、イメージが違っているかもしれないんですが、エンジェル投資家には将来性のありそうなスタートアップにアドバイスしつつお金も出して、成功を手助けするみたいなイメージがあります。

現代アート作品は、消費される消耗品と違って、不動産のように値段が上がるかもしれない商品なんですね。中古なのに価値が上がっていくかもしれないモノっていうのは、日常の中ではなかなかおもしろい存在です。だって、家の中を見回して、中古で価値が上がるものってほとんどないと思いませんか。

メルカリで売ろうと思った時には、ほとんどすべてのモノが買った時よりも値段が下がるはずです。未使用の限定キャラカードみたいなものとか、古い雑誌とかならプレミアがつくこともありそうですね。

買ったモノの価値が後から上がる(かもしれない)という意味では、好きな現代アートを買っておくと、後で価値が上がることもあるかもしれません。(※基本的に上がらないことがほとんどなので、現代アートはよく分からないけど投資としてアートを買いたいというのはお勧めできないです)

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応援していると「価値」がリターンとして返ってくる

投資先の価値が高まれば、投資家は株を売って儲けられるわけです。アートも作家の価値が高まれば、コレクターは作品を売って儲けることができます。

でもちょっと気の長い話ですし、バクチ的な要素も大きいですよね。そこで、何かを応援することをダイレクトに自分のプラスにもすることってできないかなっていうのを考えてみました。

たとえばエンジェル投資ではないですが、ゲーム実況ってゲーム提供者とファンが相互に補完しながらメリットを享受してる関係になっていますよね。ゲームが流行れば自分の実況を見てもらえる可能性が高いわけで、そこから広告収益をちょっぴりでももらうことができるかもしれません。

昔だったら、ゲームは遊んで終わりだったり、せいぜい友達との話題にするくらいだったかもしれませんが、好きなゲームを楽しむっていうことで生活できる人が現れたのはけっこうすごい変化です。

5年後くらいに有名になるミュージシャンの初期映像なんかを持っていたら、自分の持っているデータの価値が上がるかもしれない。

リターンを考えるなら、すでに有名な人よりも、無名な人を見つけるほうが(何もならない可能性も高いですが)リターンが大きくなる可能性は高いです。たとえば、相手に知ってもらえることでいいことが起こるかもしれない確率が上がりますよね。まだ全然知られてない時に推してもらってたとしたら、相手への感謝も絶対感じてるはずですし。

出版社も音楽レーベルもギャラリーもそうですが、いい新人がいたらなるべく自分のところから推したいし、早く見つけたいと思って動いていますよね。それって、早く見つけられて確保できた時のリターンが大きいからだと思うのです。

この「早く見つけられるとリターンが大きい」は、今だと一般人でも成り立つかもしれないとちょっと思っています。というのも、PVやフォロワーみたいな感じでリターンを貯められるようになったし、「注目」や「信頼」を贈ることができるようになったからです。あるいは「情報」もありかもしれない。

投資っていうとお金が返ってくるイメージですが、「価値」が返ってくると考えると、ファンとして自分の応援を「消費」していなければ、価値を受け取ることは、けっこうできそうな気がします。

あるいはそれは、応援した本人から返ってこなくてもいいかもしれないです。コミュニティの中で貢献してる人だなと分かれば、それが信頼になって、別の人から「価値」が返ってくるかもしれない。

ポイントは、自分の何かを好きな気持ちを消費行動で終わらせないことかなと思っています。

マンガを読む→おもしろかった

で終わると消費行動なんですよね。

マンガを読む→おもしろかった→他の人に紹介する→自分もその作品を通じて知られる

これができると、自分だけの消費に終わらず、作品との協力関係ができます。何か好きなものがあって、どちらにしろそれのために時間やお金を使うのであれば、自分にリターンが戻ってくるまでを設計して行動するという意識をもてたら、応援が消費にならず、小さな価値の配当が得られる投資になるかもしれません。

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投資的に応援してもらえると応援が継続しやすい

好きなものを応援することで、自分に対して明らかな「メリット」があると、そもそも応援が持続しやすいと思うのです。

マンガを読むだけ、音楽を聴くだけ、だとすると、完結したり興味がなくなったりすれば、クリエイターとファンの関係も途切れてしまいやすいんじゃないかなと。

でも、マンガを読んで紹介することでnoteのフォロワーが増えたり、音楽を紹介することでYouTubeの登録者数が増えたりすると、ファンも関わることをやめないですよね。

ボランティアで応援しつづけるといつか苦しくなってしまうけど、応援によってリターンが得られる状態をファン自ら設計できたら、クリエイターにもファンにもいい関係なんじゃないかと思いました。

このリターン設計をファンがすべきなのか、という意味では、ファンがやったほうがいいと私は思っています。というのも、クリエイター側からしたら、そのファンができることが分からないからですね。ファン自身のほうが、自分はテキストが得意だぞ、私はビジュアルがいいわ、僕は声でやろう、とか自分で決めやすいですよね。

あと、クリエイターがファンのリターン設計まで考えるとすると、自身のクリエイティブ活動に割く時間と思考が減るので、作品のクオリティが下がってしまう可能性もあります。そうなるとファンのリターンも減るので、結果的に全員が損しちゃうんですね。

特に、何かとても好きなものがあって、いつも買っちゃう、いつも時間を割いちゃうものがあるなら、それを消費で終わらせずに、応援している自分になにかしらの価値が返ってくるにはどうしたらいいかを考えるだけで、好きなものを通じて、自分にも予想外のメリットがやってくるかもしれないなと思いました。

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クリエイターはクリエイティブの生産者であり消費者でもある

アートと投資が同時に語られることが好まれないこともありますが、私は現代アートの価値が上がっていくシステムはとても好きです。

初期の頃なんて、作品の良さよりも応援のつもりで買ってくれた人のほうが多いですし、今だって「がんばってるから」っていうのが私の作品の購入理由になってる人も多いと思うのです。

そういう作家として一番大変な時を支えてくれた人たちに、後から大きな価値としてちゃんと恩返しできるのが投資だからです。

5000円で買ってくれた作品が10年後に5万円になるかもしれない。実現できたら銀行の利子よりよっぽど多いですよね。買ってくれた人が売らなくても、作品を持ってるだけで一緒に誇らしい気持ちになってくれると思うのです。

特にクリエイターはクリエイティブの生産者でもあるけど、消費者でもある人がほとんどだと思うのですね。マンガが嫌いで全く読んだことないのにマンガ家になる人ってほとんどいないんじゃないかなと。

ということは、クリエイターは創作側でありながら、同時に誰かのファンでもあるってことです。誰かを応援したい、まだほとんど知られてないけど、自分はこういうの好きだなっていう応援の気持ちを、自分のクリエイティブ活動への注目に変えることだってできるかもしれない。

好きなものがあったら、応援してることで自分にリターンが戻るにはどうしたらいいかなっていうのを考えてみたら、早めにいいことあるかもしれませんよ!

全然関係ないけど、もうすぐ日本橋界隈でアートイベント始まるので、お時間があればぜひ見に来てください!アートいっぱい見られるよ!

日程 2021.3.19 (金) - 2021.5.9 (日)
会場 三越前~馬喰町~人形町に続く日本橋周辺


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