日本最大級のオンラインギャラリー代表に「売りにくいアート作品で生き残るには」について聞いてみた
「アートで食べていけるアーティストの数を増やす」ことを掲げ、17年つづくオンラインギャラリータグボート。徳光さんが代表になったのは12年前です。現在でも積極的に新規取り扱いアーティストの発掘を行っているタグボート代表の徳光さんに、アートにまつわるウラ話を伺って来ました。
今回のテーマは「売りにくいアート作品で生き残るには」です。
徳光さんに、アイドルっぽくみじんこと対話していただきました。
Ouma(以下、O)「私自身がメインではインスタレーションをつくっているんですが、インスタレーションってすごく売りにくいジャンルですよね」
徳光さん「そうだね、難しいよね」
O「パフォーマンスなんかもそうですが、単体で売るのが難しいアーティストの生き残り方を教えていただきたいです」
徳光さん「まず一つ、ダミアン・ハースト型の生き残り方があるよね」
O「ダミアン・ハースト型?」
※ダミアン・ハーストはイギリスの現代アーティストで、YBS(ヤング・ブリティッシュ・アーティスト)の中心人物です。有名なのはサメのホルマリン漬けとか。
徳光さん「うん。サメのぶつ切りを見せておいて、売るのはスポットペインティングとか買う人が買いやすいやつ。ダミアンは今では巨大なのも売れちゃってるけど、インパクトを出す作品と売る作品を別で考える感じだね」
O「なるほど。ダミアン以外のアーティストの例はありますか?」
徳光さん「ほかにはクリストとか」
O「ああ、最近亡くなってしまいましたが、凱旋門を包むとか、とにかく包みまくってた作家さんですね」
徳光さん「クリストはプロジェクトのドローイングを売って制作費をつくってたよね。そうすると、こういうインスタレーションをやってる作家のものなら欲しいって感じになるから」
O「なるほど。今から始めて売れるまでなるかなぁ」
徳光さん「もちろんバクチではあるけど、アートを選ぶっていうのは人生を賭けたバクチみたいなもんだからね」
O「今はアートじゃなくても、一生安泰って言い切れることってなくなりましたしね」
徳光「うん。うちはそれでもアートを選ぼうとする人たちの支えになりたいと思ってやってるけど」
O「タグボートはオンラインから始まってるのに、最近はリアルのイベントを積極的にやり始めてますよね」
徳光さん「アーティストとしても発表できたほうが嬉しいでしょう?」
O「もちろん! 2020年9月~10月に、ホテル雅叙園東京の木造建築『百段階段』でのイベントがありましたけど、あれとかすごかったですよね。伊藤咲穂さんの作品が映えてました」
※ぜひ、伊藤咲穂さんの作品もご覧ください ↑
O「今おっしゃってたみたいに、インスタレーション作家がドローイングを売るにしても、実績となるポートフォリオが必要で。だから、こういう機会があると写真や動画に記録しておけるのですごく助かりますね」
徳光さん「伊藤咲穂さんは、旭化成さんとの仕事もしてるしね。あと、伊藤さんはコミュニケーション能力がすごく高いから、そこは強み」
O「企業案件受けられるのいいなぁ」
徳光さん「インスタレーションは、おもしろければ声がかかってくるから。いろんな機会を活かしてがんばっていこう」
O「はい。そういえば、チームラボみたいなのもこれから出てくる感じですかね。あちこちから声もかかってるし」
徳光さん「確かに、チームラボの小品が10万円くらいであったら買いたいよね。ただ、チームラボみたいにやっていくなら会社にしないといけなくなる」
O「個人で今からやるにはとても太刀打ちができなそう…」
徳光さん「作家の武器っていろいろあるから、オーマさんなら文章と合わせてっていうのもアリだと思うよ。日本で作家もできるアーティストってあんまりいないし」
O「そうですね。海外だったら誰かいたような」
徳光さん「海外ならね。文章力があれば、強みの組み合わせで新しい作品が生まれるかもしれないし。
インスタレーションだけっていうのは誰であってもきついから、鉄板になる作品を並行して持っておくのはおすすめだよ。プロとしてやっていくなら、自分が創りたいものと自作の中で売れるものについて考えながらやることも大事だから」
O「自分の創りたい作品ぜんぶの中で、この辺りがいつも売れるんだなって分かっておく感じですね」
徳光さん「そうそう。最初から売れるものをつくるとデザインになっちゃうけど、起点は自分の創りたいものから。その中でバリエーションを創ってるうちに、周りにはこれがウケるんだ、みたいなのが分かってくるんじゃないかな」
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チームラボのような大型作品をつくる作家の入場料の考え方がこちらに掲載されています。
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