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200組以上のアーティストが集まるアートの祭典Independent TOKYOから気に入った作品を紹介するよ

2020年12月19-20日まで、浜松町でギャラリータグボート主催のアートフェアIndependent TOKYOが行われました。

Independentって独立っていう意味ですが、ニューヨーク開催で有名なアートフェア、アーモリーショーのサテライト(同時期に開催される関連展示)がIndependentっていう名前なんですよね。割とイっちゃってる不可解な作品が多いサテライトです。

Independent TOKYOはタグボート取扱い作家と他の作家でブースが分かれていたんですが、この記事では取扱いでない作家さんの作品で、私が個人的に気になった物を紹介させていただきます!(タグボートの取り扱い作家さんの記事は改めてまとめようかなと)

これらの作品が他のより良かったとかいう優劣ではなく、今の自分にとってとても学びが深かったものです。あと、私自身がインスタレーション作家なので、立体物が個人的に大好き、っていう選定基準です。

ナカダマコト

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はんこ屋さんで働いているというナカダマコトさんの作品シリーズ。最初、3Dプリンタとかでつくってるのかなと思ったら、柘(つげ)らしいです。ハンコを彫る機械で削り、自分の手でさらに削ってるみたい。

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電子機器っぽい感じで細かい配線のような模様が削り込まれてるんですが、なんか生物のような親しみがあるんですね。とてもかわいい。

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物体の機能が失われて、形状の美だけ残されたみたいな感じ。「はんこをつくる」っていう前時代的って言われてしまいそうな技術が、自分の居場所を求めているような切なさも感じます。

Keisuke Habe

めちゃくちゃ古めかしく時を超えてきたみたいなペットボトル。

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作者さんとお話できなかったんですが、実際には創られてから100年も経っていないはずなのに、100年くらいの時間をかけて風化したみたいな装いがおもしろかったです。

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圧縮された時間が物体に閉じ込められているみたいな感じがして好きです。

Masayuki Yoshinari / 吉成仁志

スカジャンが盆栽になってる作品です。

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スカジャンっていうものに詳しくなかったんですが、スカジャンって絵柄が派手じゃないですか。スカジャンって日本っぽい柄を描いてアメリカ人がお土産に買う、みたいなギフト的なものなんですって。

防寒、おしゃれ、みたいな用途のほか、旅の思い出のようなギフトの意味がスカジャンのアイデンティティーの1つとしてあって、それがすごく的確に表されているのがとても素敵だなと思いました。

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一枚のスカジャンの絵が、そのままスカジャンの肖像みたいな感じがしたのです。明るい色合いもとても好きです。

Yuta Okuda

絵が目に入った瞬間に「うおっ」ってなる感じなんですが、もうセンスがすごすぎてですね。。

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自分は絶対センスで作品つくっちゃいかんわーって思い知らされます。美への感性という計測の難しいことへの追及みたいな感じがします。可能な限りセンスを使わずに作品をつくることを私は考えますわ、、

Masaru Kozakai

携帯のスクリーンを外して中に絵を描き、再度スクリーンをはめた作品です。携帯はネットでジャンクを探してきたみたいですが、全部誰かが使ったものを使っているようです。

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この昆虫が写ってるやつは、額を標本箱に見立てているそうです。スマホに写った昆虫が採取されているみたいだよね。

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自然の生き物も、世界の裏側の景色も、巨匠の作品も。すべてが携帯で見られるようになりました。携帯枠が作品を囲う「額」のようだって作者さんがおっしゃっていました。

手のひらに世界が丸ごと収まるようになったけど、その世界は個人に最適化されています。携帯は私のアイデンティティーに近く、スマホは動く肖像なのかもしれないですね。

ヒョーゴ コーイチ

炭を使ったアーティストさんの作品なんですが。

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これは、見ただけだと分かりにくいんですが、作家さんがいらっしゃるときに触らせていただけてですね。めちゃくちゃ軽くてさらさらなんです。

なんか、炭が手についちゃうんじゃないかとか思ったんですが、自分が予想する質感とぜんぜん違ったんですね。

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とても繊細な存在だってことが、手触りから感じられて。ヒトは83%くらいを視覚に頼って生きてるんですが、触れることによって伝わる情報の多さを改めて感じた作品でした。

細沼凌史

こちらは夢を食べる装置です。

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宝くじ(はずれたやつ)を食べさせると、下のタンク(白いポリ)にたまってエネルギーになっていくっていうやつですね。

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夢だけでは食って生きていけないってよく言われますが、この作品は夢を食って存在しています。宝くじ一枚を一つの夢だとすると、かなりの量の夢が破れています。この機械を「夢をもっている人」だとすると、夢を食べさせてるのは鑑賞者なんですよね。誰かの夢は周りの人によって支えられていて、同時に、夢はあるだけで周りの人を楽しませることができるんじゃないかなって感じさせる、希望のある作品でした。

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他に、人がぶら下がった合計時間が表示されるトレーニングマシーン。私もちょっとトレーニングに参加したんですが、これまで参加した人のトレーニング時間の集積が上部に表示されます。

みんなの力が元気玉みたいに集まったことが可視化されてるのがなんか好きですね。

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おみくじひける機械。

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公式サイトが見つからなかったので、こちらを参考に。

とても楽しく好きな作品でした!また遊びたい!

神山朝人

SICF21にも参加されてた作家さんです。SICFに出されてた方、多かったですね!みなさんの熱量がほんと素晴らしいなって思います。

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物体全体と比べてスプーン部分の割合ってすごく小さいのに、作品を見ると「これはスプーンだな」って思うんですよね。アイデンティティーは共通認識によって生まれるものなのかなって考えさせられた作品でした。

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尾崎拓磨 OZAKI Takuma

すりガラスの中に切り絵が重なっていて、視覚的グラデーションがおもしろい作品です。写真だと分かりにくいですが、なんかホワッとした感じなんですね。動きながら確度を変えて観察したくなります。

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作品の技術的な見せ方という意味でも、とてもとても勉強になる作品でした。

ゴトウヨシタカ

フィルムカメラで二度撮影することにより、物体に風景を映し出すという作品です。色合いがすごくきれいですよね!物体が歩いてきた道のり、鳥が飛びまわった空を感じさせるようです。

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多重露光っていうやり方を初めて知ったのですが、ものすごくおもしろいですね。こんなに綺麗に撮影するのは難しいと思うのですが、技術的には分かれば誰でもできるって作家さんがおっしゃってました。

フィンランド人アーティストのマルヤ・ピリラさんの作品を思い出したのですが、写真の使い方としても覚えておきたいなと思った作品でした。

JUDA PD

部屋を掃除して現代アートをつくってくれるっていう受注制作作品です。

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掃除して、そのゴミから作品つくる系は韓国のレジデンスでやってた作家さんがやってましたね。他にも廃材から作品をつくる作家さんは多いんですが、この作品を私は「パフォーマンスアート」として捉えていてですね。

オーダーした人と作家の間で、これはゴミですか、捨てていいですか、みたいなやりとりがあって、一つの作品ができあがっていくということは、オーダーした人自身も、アーティストに対するコラボレーターとして創作に関わるっていうことなんですよね。

オーダーした人と作家にしか分からない予測不能の制作過程が、最近考え始めた「プロセスエコノミー」そのものかもしれない、みたいなことを考えましたよ!

とても質の高い作品ばかりで、自分もちゃんと頑張らないといけないなって痛感しまくりました。がんばるぞ!

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