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病院薬剤師の活躍を描く『アンサングシンデレラ』動物病院の薬局とは

病院薬剤師の奮闘を描いたヒューマンドラマ『アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり』。石原さとみさんの主演でドラマにもなった人気マンガです。

最新6巻が発売されたばかりですが、なんと動物病院での調剤が登場します。あまり信じられていないですが、一応、元獣医師なので手動分包機とかなつかしく拝読しました。

薬を小分けにするのは地味に楽しいです!

本書に出てくるオーグメンチン、実際によく使ってたんですが、割ると断端が茶色っぽく変わってしまうんですよね。するとお薬の効果が下がってしまうということが説明されていました。

動物専用の薬ってあんまり種類がないんですよね。人間よりも需要が少ないっていうのがあるかもしれないですね。

人間は成人なら1日X錠みたいな感じですが、動物だと薬用量を体重で計算して出すことが多いので、毎回その子の体重に合わせてつくる感じになります。

チワワさんが体重2キロちょっとだとして、ゴールデン・レトリーバーの体重が30キロだとすると、15倍も違うんですよね。そう考えると、人間みたいに成犬1頭で同じ量というわけにはいかないこともわかります。

でも、よく考えたら人間の大人も45キロくらいの人もいれば、75キロくらいの人もいて、けっこう幅広いですよね。市販薬じゃなく病院で処方されるものだと、もっと細かく体重に合わせた処方がされてるのかもしれないですね。

粉剤をつくるときの錠剤粉砕機もあるところにはありますが、3~7日分くらいの動物向けのお薬だと、ぶっちゃけ使わない方がつくるの早いみたいなこともあったりします。量がちょっぴりなので、乳鉢でつくっちゃったほうが早いし洗うのも簡単で、薬のロスも少ないように思います。

心臓病とかで長期に出すことが多い薬の時は錠剤粉砕機使えると便利ですね。めっちゃくちゃ量が少ない場合は、繊維成分のものを混ぜたりしてちょっとかさましすることもあります。

乳鉢で薬を粉砕した後に、茶こしで濾してるシーンがあるんですが、これは、薬の表面のピカピカしてる部分を取り除くためです。錠剤ってテカテカしたコーディングやざらざらしたコーティングがいろいろされてますよね。ピカピカしてるのはだいたい糖衣で、ちょっと甘い感じがすると思います。

コーティングには薬の状態を保つためや成分を安定させて保存できるようにするためなどの目的があります。胃で溶けずに腸で溶けるためにコーティングされているものもあるので、基本的に錠剤は噛まずに飲む方がいいです(苦いしね)。

薬は本書にもあるように、この犬種で使っちゃダメーみたいなのもあります。盲腸が発達して、盲腸の細菌が生きるために大事なウサギさんは、使うと盲腸内の菌が死んでしまい、ウサギさん自体も死んじゃうという抗生剤もあります。

動物の場合だと、そもそも粉薬を飲んでくれない子とかもいるので、薬の形状自体、本人が飲めそうかどうかと相談しながら、みたいなことも多いです。錠剤は口に放り込んでしばらく口を閉じておくと割と飲んでくれますが、薬がたくさんあると大変ですし、後でこっそり出しているようなツワモノもいます。

食事に混ぜる時には猫缶をちょっとあたためると、いい匂いがしてごまかされてくれやすいのでお勧めかもしれません。

本書で「ケタミンが麻薬指定されて使いにくい」って言ってたのは、金庫に保存するとか、どのくらい使ったかの記録が必要だからですね。

自分も使ったことがありますが、プロポフォールという別の麻酔薬に移行してからあまり使わなくなったかもしれません。プロポフォールは牛乳みたいにまっ白な色をしているので、これを静脈注射(血管に直接入れること)しちゃっていいのか、、!と最初はけっこうハラハラしましたよ。

動物病院編がのってる6巻はこちらから!すごく専門的ですが分かりやすく紹介されているので、気になる方はぜひ読んでみてください!


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