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生成系AIとこれからの現代アートについて考える

JAPAN SHODO SHOW2023、ご来場くださり、ありがとうございました。現代アートとしての書について探求するみなさんの集まりなのですが、すごいのは、ギャラリストさんや美術批評家の方が全員の作品を丁寧に見に来てくれるということなんですね。

見る人が見てくれる場に出し続けることで、覚えてもらえるし、成長過程を見せられる。また、一緒に研鑽を積んでる皆さん同志で切磋琢磨することで、刺激を受け合えるというメリットもあるなぁと思っています。

そんな中、私も今回の新作について話を聞いてみました。AIを使ったアート作品なんですが、自分の予想よりもアート関係者の方はAIに興味津々なのだな、と感じました。

どことなく「流行りにのりやがって」みたいな見え方をされてしまう覚悟で臨んだんですが、自分にとっては嬉しい誤算でした。数年前から流行り始めたNFTも、アート界隈でも話題になってましたし、AI自体も時代の転換点としてはとても重要なものなので、歴史を俯瞰して見る視点のあるギャラリストや批評家が興味をもつのも当然かもしれません。

ギャラリータグボート代表の徳光さんも、AIを使ったアートの可能性について、いくつかコラムを書かれているので、ぜひ気になる方はタグボートのページから読んでみてください。

現在の自分は、毎日そこそこAIを触っており、情報収集もしているので、なんだかそれが常識のようになってきてしまってますが、一般にはAIはまだそこまで情報が浸透してないかと思います。

特に著作権まわりについて。

AIを使ってつくられた画像については、現状では「著作権が認められない」という感じになってたのですが、開発段階でのAI学習については、制作者の許可なく学習するのは、「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用行為」は著作権者の許諾なく利用できる、となっています。

なんだか難しげなので、ちょっと簡単に整理すると

・AIで生成した画像に著作権はないよ(そもそもアプリによるが、生成時の呪文は一般公開されているものも多いので、素敵な画像があれば、呪文ごとサイトからパクれる)
・AI開発に他者の画像を無許可で使うのは、著作物の表現のもとになってるものが勝手に奪われなければOKだよ(海外では勝手に学習データに使われたことが問題になり、訴訟も起きている)。
・AI作成した画像が他者の著作に似てた場合は、元画像を作った人が損害賠償請求できる(有名人ならともかく、世界の誰かの画像に似てても正直分からないので、いきなり損害賠償とかされる世界だとAI画像作成なんてできなくない?)

みたいな感じだと理解しています。

もっと簡単に言うと「人類未踏の世界線到来で、全世界が混乱してるとこだよ」って感じです。

Ouma作品に関しては、AI絵がそのまま見えている部分には「著作権がなく」、トレースしてる部分には「著作権がある、けど誰かに著作権がある絵ではやってはいけない行為」、自分で描いた絵と画像の組み合わせに関しては「著作権あり」、作品コンセプトには「著作権あり」ということで、1つの作品の中に、著作権が混在しています。

そこがこの作品の魅力の一つなのですが、たぶん、AI周りの知見がない限り、作品だけ見てもそこまで絶対に分かりません。

そもそも著作権自体も印刷技術が生まれたことによって生み出された権利。AI時代にも、新しい権利が生まれるはずで、まさにその転換点にあるわけなんですが、議論の場を提供するはずの現代アートの側に、まだまだそういう作品が少ないんです。それも仕方なくて、AI周りについて情報収集してるアート関係者がまだまだ少ないんだと思います。
手で描いている人は、AIを使う必要はないですし、よりコンセプチュアルな作家のほうが、AIについては興味をもつかもしれない。

そんな中で、ギャラリストさんたちから言われたことで興味深かったことと、Chat GPT4に「歴史に残る現代アート」の作り方を聞いてみた、をまとめました。

1)ギャラリストから聞いた「〇〇だったほうがおもしろい」

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