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コロナ倒産した僕【6話】日本のものづくりの挑戦者魂は最高なんだ

※この物語はコロナの影響を受けて都内6件目の倒産をした老舗風船やさんの実話をもとに再構成した物語です。

1話目はこちら「コロナ倒産した僕が、破産を決意した日のこと

 風船の新規市場を求めてフィリピンへと旅立った僕は、現地人エージェントとしてイルカさんと出会った。イルカさんに現地の販売代理店となってもらい、僕はついに、念願の海外進出の第一歩を踏み出したんだ。

 イルカさんという味方が見つかったとはいえ、販売ルートもなにもなくゼロからのスタートだ。販売するお店への連絡や諸条件の確認、さらに商品供給にかかるコストの計算など、やることは山積みだった。毎日遅くまで仕事をしていたけど、僕はとても充実していた。どうなるかは分からない。でもやるだけやってみたいんだ。何もチャレンジしないまま、あとから後悔するなんてしたくないんだ。

 イルカさんはフィリピン最大の玩具チェーンToy Kingdomへのコンタクトを試みてくれたけど、それでもなかなか担当者が捕まらなかった。

「現地の方でもそうなんですか。思ったより難しいですね」
「そうですね。でも諦めずにいきましょう」
「トイザらスにも合わせて連絡してもらえませんか?」

 トイザらスは日本でも有名な世界的おもちゃメーカーで、フィリピンにも支店があった。次のチャンスに繋がれと祈る思いで仕事をこなし、3か月が過ぎた頃、ついにイルカさんからトイザらスのバイヤーとコンタクトが取れたという連絡を受け取った。

「本当ですか! すぐに現地に向かいます」

 直近でフィリピンに飛べる日程を調べてアポの日程を決め、僕は胸に詰まった期待を、風船みたいぷっくら膨らませて、飛行機に飛び乗った。

 結果だけ見たら、僕のこの数年間に渡るチャレンジはうまくいかなかったかもしれない。でも僕は、日本のものづくりが好きだ。墨田区には町工場がいっぱいあって、チャレンジを歓迎する空気がある。僕のじいちゃんがつくった水玉風船だってその中で生まれた。

 苦労もいっぱいあるし、失敗だってする。でも、日本のものづくりは何度だって立ち上がって、素晴らしいものを世に送り出しつづけてきた。

 日本には支えてくれる人がいっぱいいる。応援してくれる人もいっぱいいる。僕もそういう一人でありたいし、これからもずっとチャレンジしつづけていきたい。

▼フィリピンの詳しい話はこちらから

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このお話は、実在するゴム風船屋さんからお話を伺い、小説風に読みやすく脚色した物語です。

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