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お金を挟むほど実現が遅くなる #これからの仕事術

働いて対価をもらい、それで家賃を払ったり生活費を賄ったりするのが、これまでの働き方だったんじゃないかと思います。

でもそれが、だいぶ変わってきたような気がしています。簡単に言うと、これまでは

仕事 → お金 → 生活

だったのが、

仕事+生活

になってきたというか。

お金を挟まない分、「→」が減って実現が早くなるんじゃないかと考えています。

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2014年の初夏くらいに、私は家を出ないといけない事態になって、新しい家を探していました。光がいっぱい入ってアトリエのあるおうちがいいなぁと思ってたら、家賃0円でクリエイターを住まわせるというプロジェクトに受かって、それが実現しました。

普通だったらたぶん、10~12万円くらい払わないといけなさそうなおうちにタダで住めたのは大きかった。住む場所があると、生活不安が一気になくなるなってことも。稼ぐお金のほとんどって家賃のためなとこありますよね。・・・今はアトリエ付きで病院のようなホテル暮らししたいです(神さまおねがい)。

住んでた土地がとてもよくて、日本のものづくりが根付いた町だったので、ライターをしながら日本のものづくりの凄さを実感できました。ものを創るって素晴らしいことですよ!

次に「海外でアート活動制作する」という夢。これ、実際にやれるようになるには、作品が100万円くらいでバンバン売れてるようなアーティストじゃないと無理じゃないかなーって思ってたんです。

2013年くらいに初めてアーティスト・イン・レジデンスっていう制作滞在するアートプログラムが世界中にあることを知りました。とりあえず見つけたところに即応募したんですが、あっさりと落ちました。まぁ、当然のことながら、受かるとしても実績があってすごい人だけだろうなと思っていました。自分としては記念受験くらいの気持ちです。

ところが、2014年に奨励賞をいただいたアートの賞で、大賞を獲った方が「レジデンスも田舎のほうなら結構受かりますよ」って教えてくれたんですね。

そこから希望を持って調べまくって応募しまくり、2016年に初めてバルセロナのレジデンスに3か月参加できました。それまでは実際に受かった人が周りにいなかったし、自分が参加できるイメージもぜんぜん湧きませんでしたが、そのアーティストさんが希望をくださったおかげでチャレンジしようって思えたなぁと思っています。希望、だいじ。

あちこちに行くようになってから、小説も書くようになりました。物語を読むのが大好きだった幼少期を経て、つくるのが大好きだった学生時代、九州を旅しながら思ったのが「こうして出会った土地をモデルにした物語をつくり、その土地のことを伝えていきたい」でした。

それがヒットして自分は次々いろんな土地に招待され、その土地の魅力を堪能しながらまたそこで物語を書くっていうのが夢でした(ぜんぜん叶ってない)。

ちゃんと小説が商業出版できるようになったら、ライター系のレジデンスにも応募できるんですが、今は趣味レベルを越えていないので、アート頼みでいろんなところに行っています。

売っているアート作品は数千円から。売れてるかと言われたらぜんぜん売れてないです。でも、海外渡航もレジデンス先が宿泊先を用意してくれたり、渡航費や制作費を出してくれたりしているので、家賃0円で暮らしてた時と似ていて、「お金を稼いでなくてもやりたいことが実現している」状態になっていました。

受かったレジデンスを実績にして次々と応募を繰り返し、徐々に条件のいいところにも受かるようになってきました。

私が受かったレジデンスの中だと、SWATCHは上海やフランス、DAWはデンマーク、TEMIやHongtiは韓国でかなり有名だそうです(現地の口コミなんですが、日本だと知らないですよね)。

↓ くわしいCVはこちら

確かに一緒に参加するアーティストさんたちの学歴とキャリアはかなりすごかった(みんな海外で美術系の修士を取ってる感じでした)です。でも、そういうのに参加して国際的に評価されるようになったっぽくなってきても、作品が売れたり価格が上がったりするわけじゃないらしいっていうのは、ここ数年で学んだことです。

この事実で私が思い出したのは、杉本博司さんです。現在は1億円以上で取引される写真家さんですが、この方は最初の歩みがすごくて、完全に無名の時にMoMAに作品ポートフォリオを送って作品がコレクションされてるんですね。

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ふつうだったら下のほうから始めて、徐々にレベルアップして、一流ギャラリーへって流れを考えそうなんですが、杉本さんは売り込むときに、上から下がっていこうと思ったらしいんですよね。で、いきなりMoMAにコレクションされた。この逆転の発想がすでにアーティストだなぁという気がしています。(最初の発想が違いすぎるよ)

でもその後すぐに売れるようになったわけじゃなくて確か10~20年くらいかかって日の目を見たと思います。自伝のどこかに詳細書かれていたので、気になる方は探してみてください。

たぶん、今は時代が違うので、MoMAにコレクションされてたらネットで叫べばあっという間に注目集まったんじゃないかなと思います。

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実績を積めば、なんかもっと将来性とか期待値とかで買ってくれるようになるのかと思ってたんですが、買う人にとってはやっぱり「作品」が重要なんだという当たり前のことに気づかされました。

ただ、タグボート経由で買ってくれた人は、プロフィールをかなり丁寧に見てくださってるようなので、期待値買いもしてくれてそうな予感はしています。(推してくれるギャラリーにせめてPVで恩返ししたい)

海外で現地の人とアートをつくったり、病気とアートを結び付けたり、みたいなことをするために、もっと作品価格が上がらないとって考え、売れるような作品をつくらなきゃって考えていたんですが、そもそも売れたことがないから売れる作品がなんだか分かりませんでした。

そうしてるうちに、なるべく戦わずに勝てる道を選んできた自分が、いつの間にかレッドオーシャンに踏み込んでいることに気づきました。(最初の戦い方は、日本人であることとほのかな英語で勝負することでした。もはやアートじゃない)

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自分のやりたいことがお金を稼がずに実現するなら、そっちのほうが早いし楽です。2011年に仕事でタンザニアに行ってから、現地の人とアートっぽいのがつくれたら、歴史的建造物がない町でも、人を呼ぶ観光資源をつくれるんじゃないかって考えていました。アートは人がつくれる資源で、UAEはオイルマネーで世界中の高額アートを集め、オイルが枯渇した日に備えている気がします。

私はもともと、お金を払ってつくってもらえるようになりたかったのです。(自分でつくらないほうが絶対、クオリティが高い)

そしたら仕事をつくれますから。2019年から本当に小さくですが、お金を払って仕事を依頼するというのをやるようになりました。誰かに仕事を頼むって難しいんだなってことも実感しましたが、この金額をちゃんと大きくしたいととも考えています。そのために作品が売れるようにならないとって思ってましたが、向かう方向が違いました。

ものづくりの町に住んでたおかげで、すでにどこに頼めばだいたいつくってくれそうかのアテはあります。企画を立てて予算を引っ張ってきて、誰かにつくってもらえば、手作業だった思考範囲を超えて大きなものがちゃんとつくれるようになる。もともとずっと、そういうことがしたかったし、その方向でできることを大きくしたかったんでした。

でも、手作業でやってきた時間も無駄ではなかったです。ひとつひとつつくること、考えることの大変さを実感しているし、誰かのそれを軽んじることはないと思うからです。

noteで毎日、記事を上げ続けている人たちをすごいなと思います。つづけている人たちが、これからも続けられる生活であったらいいと思っています。もちろん自分も。

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家賃0円のアトリエ付き住居も、海外での滞在制作発表も、お金をほとんど稼がなくてもできたおかげで、お金を稼ぐ時間を他のことに使えました

お金は稼ぐと基本的にお金にしかなりませんが、プロジェクトは単に「家賃」以上の価値をいっぱい持ってきてくれました。家賃0円のおうちでは何度もTV取材をしてもらえたし、海外での発表もあちこちにプロモーションしてもらえました。自分のお金でやってたら、軽く年収になりそうなほど頑張ってもらえたんですね。

価値を稼ぐという意識

お金って強力な刷り込みなので、ついそっちに囚われてしまうのですが、価値が多様化してきて、お金はたくさんある「価値」の一つになってきましたよね。お金は多くの人に分かりやすい価値なので、とても汎用性があります。でも、お金って使うとなくなるんですよね。

自分の体験だったり、出会ってきた人とのつながりは、なくならないです。数値化された人気だとか言われるフォロワー数とかもそうですよね。たくさんおもしろいことがある中で、フォロワーさんは私のことに少しでも耳を傾けようとしてくれている人たちです。作品を買ってくれた人も同じく。

お金でいろんなことができるのも確かです。

でも、お金を稼がなくても同じくらいのことができそうな気がしています。そして、お金を稼がずに実現できた時のほうが、実現できた時に得られる価値の総量が大きいと思うのです。

「お金」という目に見える形になっていないと忘れがちですが、プロモーションだってお金がかかることだし、有名な人にアドバイスをもらうのも普通はお金がかかることです。

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お金を稼ごうとする人とは、お金の切れ目が縁の切れ目になりそうです。でも、価値を稼ぎ、総量を増やそうとする人たちとは、違う働き方ができるかもしれません。

もともと、お金は何かを実現させるための道具でした。

その「実現させたいこと」は、意外とお金を介さなくてもできてしまうかもしれない。お金を挟まず、自分の得意を活かしてやりたいことを実現させるにはどうしたらいいか?を考えたら、これまでとは違った答えにたどり着けるかもしれません。それにはちょっと勇気がいると思うのですが。

お金を流して、価値を稼ぐ。

これが現代の「仕事」の根本的な考え方かなと思ってますよ!

同時に、このサイクルを社会として加速するためには、「自分にとって不要なものを必要な人にまわす」という意識が浸透することだなと思っています。

20年後くらいになったら、お金というよりも、価値を流してより大きな価値を稼ぐ、という考え方が浸透して、みんなのしたいことが実現しやすくなるために、これまで行われなかったいろんな「交換」が起こるんじゃないかなとも思っています。楽しみですね!

私は「遊びに行ける病院をつくる」を目標に、今の自分が想像つく範囲の小さなステップを積み重ねていこうと思います!

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