日本最大級のオンラインギャラリー代表に「売り込みする時のプレゼンのコツ」について聞いてみた
「アートで食べていけるアーティストの数を増やす」ことを掲げ、17年つづくオンラインギャラリータグボート。徳光さんが代表になったのは12年前です。現在でも積極的に新規取り扱いアーティストの発掘を行っているタグボート代表の徳光さんに、アートにまつわるウラ話を伺って来ました。
今回のテーマは「売り込みする時のプレゼンのコツ」です。
OumaのデザインSWATCHを身に着けて、徳光さんに強気のポーズを取っていただきました!
Ouma(以下、O)「前回、売り込みをするならオープニングになるべく通って、みたいな話をされてたんですが」
徳光さん「はい」
O「売り込みのコツと、こういう人に売り込みされても困るなぁみたいな人がいたら、その辺も聞きたいなと」
徳光さん「困る人? 変な人!」
O「うっそだー、変な人好きじゃないですか?」
徳光さん「いやさ、変な人っていうか、キャラが合わない人かな。オタクみたいな人はぜんぜん歓迎なのよ。ってかむしろオタク好きだから」
O「キャラが合わない人ですか?」
徳光さん「そう、キャラクターの合う合わないはあるんだよね。しょっちゅうオープニングも来てくれてありがたいなって思うんだけど、タグボートの傾向じゃないから惜しいなぁっていう人とか」
O「でもタグボートって、あんまり作家の傾向はなくないですか? けっこういろんなジャンル扱ってるというか」
徳光さん「うん。タグボートは自分の好みを出すんじゃなくて、なるべくいろんなジャンルのアーティストにチャンスが増えるようにって考えてる。そのほうが、日本のアート業界全体の未来を考えた時に、絶対強いはずなんだよ」
O「たしかに、平面の作家しか育たない土壌だったら、トレンドが変わったぞって時に全滅しちゃうかも。強い生態系をつくるみたいな感じですかね」
徳光さん「そうそう。いろんなジャンルが育つ土壌が日本にあれば、アーティストは自分たちでちゃんと刺激し合うからね」
O「タグボートはオンラインをやってきた強みがあるし、取り扱いを増やせる分、そこらへんはカバーできそう。それでもキャラクターの相性はあるんですね」
徳光さん「そうだね。ジャンルで言うなら、写実はタグボートではあんまり扱わない。あと、古いタイプの超絶技巧とかね」
O「なるほど」
徳光さん「だからって写実とか超絶技巧が作品としてダメってわけじゃないよ。そういうのを扱いたいギャラリーもあるだろうから。あくまで、ギャラリーと合う合わないの問題。相性はどこのギャラリーでもあるから、一つのところに断られたくらいで諦めちゃダメだし、売り込むならそのギャラリーの傾向も見たほうがいいよ」
O「オーナーの鶴の一声で取扱いが決まるってよく聞きますしね」
徳光さん「うん。逆に、オーナーの好みとずれてる場合は100%取り扱われない。でもそれは相性だからさ。そこで諦めるんじゃなくて、合うところを探して欲しいなって思うよ」
O「そういう意味では、タグボートが主催してるアートフェアIndependent(インディペンデント)とかは、ギャラリー関係者30人くらいを招待してるから、一度に出会える数は多そうですね」
徳光さん「インディペンデントは、なるべくいろんなジャンルのギャラリストに来てもらって、アーティストとギャラリストが出会うチャンスが増えるようにって思ってやってるんだ」
O「実際にそういうのに出してギャラリストが来た時、一瞬でギャラリストの心を掴むコツみたいなのってありますか? 作品の力は必要だとして、プレゼンで」
徳光さん「プレゼンはね、1分で作品の良さを伝えること。ほんとは30秒。5分かかっちゃダメ」
O「早さだ」
徳光さん「使う言葉も、小学校6年生でも分かる言葉で話すのを意識して。タグボートでも作家の言葉を誰でも分かるようにリライトしてるんだけど、パッと分からない言葉ってカッコイイなって思ったとしても、記憶に残すの難しいでしょ?」
O「確かに」
徳光さん「作品の良さはもちろん。それに加えて、良さを引き出すプレゼンを短く分かりやすくできること。言葉の扱い方ってすごく重要で、30秒で分かる作品って、買う方も納得して買いやすいんだよ」
O「やばい、なんか目が泳ぎ始めちゃいますね。自分もがんばらないと。でも作品以外に、自作を短く分かりやすく伝える訓練をしておくっていうのは、これからアーティストを目指す人はやったほうがいいですね。つい、作品をつくることばっかりに目がいってしまいがちですけど」
徳光さん「そうそう。最初から意識しておくだけで、チャンスを掴みやすくなると思うよ!」
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