地方Fラン文系大学を語る王騎

地方Fランク文系大学多過ぎ問題。こういう話になると「Fラン大なんて行っても意味ない」「少子化だからまずFラン大を潰せ」という類の展開になりがちですが、そう安易に片付けられる話ではありませんよォ?特に"Fラン大の教育自体がFランとは限らない"ので、その点は注意が必要です。
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Fランと言われる大学。実際はそのような学力の子向けに必要な実務型の教育を、少人数制で丁寧に行っている熱量の高い大学も少なくないのです。問題なのは、集まる学生のレベルに見合わぬ研究者育成等を志向してしまったり、人集めばかりに躍起になり、教育そのものを諦めてしまったような大学でしょう。最低限、その違いの見極めは必要です。

この問題、大袈裟ではなくこの国の未来、その根幹に関わる大事ですから、もう少し掘り下げて考えてみましょう。

まず現在のFラン大学=不要とは一概に言えないということ。そして、今後日本の大学はリンク記載の通り少数のG型と、圧倒的多数のL型に分かれるということです。どちらが上という意味ではありません。学生の7割が文系で、その大半が院に進まず就職する状況が続いていたにも関わらず、実務教育をロクにやってこなかった今までの大学が世界的にもおかし過ぎたのです。

昔は就職してから企業内で社会人基礎教育を受けるのが当たり前でした。それが終身雇用・年功序列・新卒至上主義に代表される日本型雇用の真髄だったからです。しかし皆さんもご存じの通り、今やそんな教育に時間や資金を回す余裕のある日本企業などほとんどありません。その結果、大企業が表面だけ欧米型を取り入れて、こぞって即戦力採用などと言い出した辺りから徐々に状況がおかしくなっていきます。

時代の流れから、その変化は就職氷河期とほぼ同時期に起こっていたと考えるべきでしょうねェ。学生の間に、実務教育を一切受けずに卒業していった普通の文系学生。それなりの企業に入ればそれなりの教育を受けられるものだと思っていたと。ところが入ってみると「会社は学校じゃねぇんだよ」と来た。意味が解らないでしょォ?

これをやられて"自己責任"だと言われては堪りません。可哀想なのは当時も今も、社会人基礎力を学ばずに卒業していった学生達です。氷河期世代に限らず、これが今日まで続いてきた日本の大学(特に文系)の実態なんですよ。言ってしまえば実務教育の空洞化が、30年以上も続いてきたという訳です。これでは国力も落ちて当然でしょォ?

大学をはじめとした高等教育機関が真に必要な教育を行わず、企業が社員教育にかける負担が軽減されなければ、その分国際競争力も落ちるに決まっています。残念ながら、国と大学の怠慢と言わざるを得ません。

別に極論でも何でもなく、今の日本の実情を加味すれば、MARCH関関同立レベル以下は全部L型大学でも良いとすら思いますよ。もちろんこれはアカデミアの否定ではありませんし、実務教育重視の大学とは、専門学校化を意味しません。社会で相応の実績を持った実務家であれば十分に理解できることです。

またしつこいようですが、研究重視型大学との上下を決めるものでもありません。ハーバード・ビジネス・スクール(経営大学院)のレベルが低いと思う方はほとんどいないでしょォ?これまで企業に押し付けてきた社会人基礎教育の一部を、より科学的な知見で、今こそ大学が請け負うべき時なのかも知れません。

企業や業界特有の文化慣習に左右されず、どこに就職しても役立つ経営組織論やアントレプレナーシップ教育。そして個人的には「営業」を大学で教えるべきだと思っています。新卒社員の実に5割近くが営業及び営業関連職に配属されるというデータもある中で、ほとんどの学生が営業を知らずに卒業する今の状況は、学生にとっても企業側にとっても就職ミスマッチの温床であり、リスクでしかありませんからねェ…。

子育てにおいて親が果たすべき最も重要な役目は「子供の将来の進路を、親の勝手で狭めぬこと」だと思います。大学全入時代だからこそ、大卒以上しか採らないというような判断をする企業も少なくない中で、Fラン大は行っても意味ないと断ずるのは、今や単なる暴論でしかないので要注意ですよ…ココココ

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