子供がプレゼントは「ゲームの課金に」と言ったら
クリスマスプレゼントや誕生日プレゼントなどは、普段子供に買い与えていたものより高めな値段のものにしようかと思う親は少なくありません。
私はゲーム会社に勤めていて主にテレビゲーム(※)を開発しています。テレビゲームは、普段ゲームを遊ばない家庭の中で「年には1度は買ってもいいと思う家庭」もターゲットにしています。
(※テレビゲームの事をゲーム業界ではコンソールゲームと呼びます)
私の知人のお子様が「プレゼントはゲームの課金がいい」と言っていると聞きました。
私は驚きました。仕事ではそのような話を聞いた事や想定した事がありません。他の人はわかりませんが、少なくとも私はそうでした。
また、私の勤めている会社では「低年齢層をターゲットにしているテレビゲーム」には漢字にふりがなをつけますが、スマートフォンのゲームではふりがなをつけていません。つまり課金が必要なゲームは低年齢層をターゲットにしていません。
しかし「プレゼントはゲームの課金がいい」と言う子供がいる事も、小学生がスマートフォンのゲームを遊んでいる事も事実です。
ゲームの課金とは
スマートフォン(以降、スマホ)のゲームの全てが「課金が必要なゲーム」ではありません。
テレビゲームのように一度購入すれば追加で支払わなくても良いゲームもあります。最初にダウンロードする時に有料なものがこれにあたります。
初回ダウンロード無料のゲームは、ほぼ「課金が必要なゲーム」と思って良いでしょう。このようなゲームを「基本プレイ無料」や「基本無料」といいます。
基本無料のゲームは、テレビゲームや有料のゲームに劣っている訳ではありません。テレビゲーム同様に楽しく遊べるゲームです。
違いは、ゲームを遊び続けていると課金したくなる事です。
「ガチャをしたい」
「(ゲームの中の)何かを購入したい」
このふたつのどちらかの気持ちになり、課金をしたくなってきます。
ゲームの「ガチャ」とは
本物の「ガチャガチャ」は色々なところに置いてあります。
(「ガチャポン」や「ガシャポン」などな呼び方もあります)
いわゆる、ガチャっと回して、カプセルがポンとでてきて、中におもちゃなどが入っている機械です。
何がでてくるのか少しドキドキして、回すのも少し楽しく、カプセルを開けるのも楽しいですね。
デパートなどのおもちゃ売り場やイオンモールなどの大型な店舗には必ずと言っていいほど置いてあり、スーパーマーケットや回転ずしでも見かけます。
これのデジタル版が、ゲームの中に入っています。
ゲームの中での見た目は「ガチャガチャ」ではありませんが、課金してタップすると何かを入手できます。
ゲームの「ガチャガチャ」の事を「ガチャ」と言い、ゲームの中で「ガチャをタップする事(実行する事)」を「ガチャをひく」と言います。
ゲームでは、無料でガチャをひけるものもあります。だいたい1日に1回は無料でひけます。ゲーム内のチケットやゲーム内の貨幣を持っていれば、それを消費してガチャをひくこともできます。
それとは別に
「無料では手に入らないものをひけるガチャ」や
「無料よりいいものが手に入る可能性のあるガチャ」
があります。
つまり、課金をすればいいものを入手しやすいのです。
それと、本物の「ガチャガチャ」とゲームの「ガチャ」には大きく違う点があります。
本物の「ガチャガチャ」の機械に入っているおもちゃは、6種類や多くても20種類位です。そして、カプセルは40個~120個位入っています。
大人が、全種類を入手しようと思ってガチャガチャをした場合の総額は、一ヵ月の給料に至らずにすみそうです。
一方、ゲームの「ガチャ」はデータですので、種類がとても豊富です。また一度ガチャをひいた時に出るものは確率で決まります。
大人が、全種類を入手しようと思ってガチャを引いた場合の総額は、確率での想定額でしか言えません。確率ですので、金額が低い場合もありますし、とても高い場合もあります。
また、海外では「ガチャ」がギャンブルに値するのではないかという議論が行われており、日本よりも問題視されています。
(英語ではLoot box(ルートボックス)と言います)
ゲームの「〇〇を購入したい」とは
スマホのゲームの中で購入できる「もの」には色々なものがあります。
・武器や防具などキャラクターを強くするもの
・衣装
・ガチャをひくチケット
・プレイが便利になるもの
・ゲーム内の貨幣
など
このようなものがあり「ゲーム内アイテム」や「ゲーム内通貨」と呼びます。
それぞれに「無料で入手できるもの」や「課金でのみ入手できるもの」があります。
前者は、課金する事で無料の時よりも短時間で多く入手できます。
後者は、課金する事で特別なものや特別な状況や特別な手段などを入手できます。
どちらも課金して得られるものは「特別感」や「満足度」です。
無料で遊んでいるだけでは手に入らない「特別感」や「満足度」を課金で得る事ができます。
ゲームの中の事なので「所詮はデータ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ゲームは体験するものであり物体ではありません。
最近ではテレビゲームもパッケージされた実物ではなく、ダウンロードして購入される方が非常に増えてきました。実物でもダウンロードしたものでも遊ぶ内容に違いはありません。
それと、データに課金するという行為とモチベーションは、LINEのスタンプを購入する事に似ている点もあると思います。
データに課金するイメージを掴んでいただけると、このテーマの問題解決に近づけると思います。
子供が欲しいものを知りましょう
子供が「プレゼントはゲームの課金がいい」と言った時に、それが「ガチャ」なのか「ゲーム内通貨」なのか「ゲーム内アイテム」なのかを知る事が重要です。
「ガチャ」の場合
例えば、子供に「5000円分のガチャをひいていいよ」と言い、子供が数秒間スマホの画面をタップしてガチャをひいた結果、子供が欲しいものは何も手に入らない事もありえます。
そのような結果の後、子供が5000円分の満足を得られるでしょうか?
「ゲーム内通貨」の場合
手に入れた通貨でガチャをひきたいのか、アイテムが欲しいのかがポイントになります。ガチャをひきたいのであれば「ガチャ」と同じです。
「ゲーム内アイテム」の場合
欲しいアイテムががどのようなものなのかを知る事が重要です。
欲しいものが「ガチャをひくチケット」であれば、確実にガチャをひくために欲しいので、それは「ガチャ」と同じです。
ガチャに結びつかない「ゲーム内アイテム」であれば「特別感」や「満足度」を得られる可能性は非常に高いです。欲しいものがこれであれば、プレゼントにしても良いのではないでしょうか。
子供が「プレゼントはゲームの課金がいい」と言った時は、子供が欲しいものは何なのかを知り、それをプレゼントにするかどうかを決める事をおすすめします。
それでも「やっぱり所詮はデータだしどうしよう」と思われる方は、その欲しいものがどれだけの価値がありそうなのかを探ってみるのはいかがでしょうか?
(本テーマは以上となります。次の節は補足です)
補足:クレジットカード決済は危ない
もし子供が親のスマホを使ってゲームを遊んでいる場合は、課金をするのは危険です。
そのスマホとクレジットカードが紐づいていないのであれば、大丈夫だとは思いますが、紐づいていると非常に危険です。
理由は、多くのゲームでは、ゲーム内で一度課金をしてしまうと「いつでも課金ができる状態」になる為です。
もし子供が親のスマホを使っている場合は、一度クレジットカードの紐づけを外し、コンビニなどで売られているプリペイドカードなどを使って課金するのが良いです。
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