桜串 あや (小説)

小説を書いています noteではさくっと読める短編小説を中心に投稿いたします 公式サイ…

桜串 あや (小説)

小説を書いています noteではさくっと読める短編小説を中心に投稿いたします 公式サイトはこちら → https://www.ougushiaya.jp/ FF外から失礼します

最近の記事

  • 固定された記事

自己紹介&今後はnoteにもちゃんと浮上しますよ宣言 *202409版

いつもたくさんのスキ・フォローなど応援ありがとうございます。 小説を書いて公募に出したり自費出版したりしています、 桜串 あや(おうぐし あや)と申します。 2023年4月にnoteを始め、その際に自己紹介の文章を掲載しましたが、 内容が古くなってしまったため新しくしようと思い立ちました。 はじめましての方も、いつもの方(?)も、よろしければお読みいただけますと幸いです。 ■桜串 あや (おうぐし・あや)  ■1997年福岡県生まれ  大学卒業まで福岡市内で生活し、就職

    • 【短編小説】 rance

      日曜日の夕方の駅ビルで、右手に靴、左手にタブレットPCの袋を持った僕は、空いていた椅子に腰掛けた。 僕は何をしているのだろう。 【蘭世さん、結婚したよ。知らなかった?】 蘭世さんと出会ったのは僕が大学1年生で彼女が大学3年生の夏、うどん研究サークルの合同発表会だった。発表が上手で、優しくて、美人で、一瞬で心が奪われていった。彼女も打ち上げに行くと聞いたので、発表会の会場を出てすぐに彼女のもとにすっ飛んで行き、その日は一日中隣をキープした。話をすると、出身や観戦しているス

      • 【短編小説】 いなかの鉄道

        「先輩、こんなところに本当に駅なんてあるんですか?」 炎天下の中、お客様の工場を出てもう40分が経とうとしていた。隣県と繋がるバイパスの上。車がまばらに横を通り過ぎていく。 「行き止まりです!」 続けて私はわーっと大きな声を出しそうになったが、間一髪のところで止めた。 私本当に、今日中に帰れるのかな…。 「左。扉ある」 後ろから冷たい先輩の声がした。 歩道は突然行き止まりになっていたが、左側には古い野球場にあるような、錆びた緑の扉があった。扉の先が見えなくて、開けるのを

        • 【短編小説】 路地裏には夢が

          「ほんっとに、あたし悪くないのにさ、偉いから、謝ったけど」 「ごめん。彼帰ってきたから、電話切るね」 「あ、うん。遅くまでごめん」 ユリカとの電話を切り、でっかいため息をついた。今日は久しぶりにお客さんに怒られた。あたし悪くないのに。でも大人だから謝った。偉い。 幸い今日は金曜日、明日は休み。少し遠回りをして体力を消耗させて、早く寝て忘れよう。 それにしても。家からほんの少し離れたところで、こんな素敵な夜景が見れるなんて知らなかったなあ。 車は速度を出してビュンビュン

        • 固定された記事

        自己紹介&今後はnoteにもちゃんと浮上しますよ宣言 *202409版

          【短編小説】 エレベータ

          「お疲れさまでしたー」 「お疲れさま、気をつけて」 先輩と同期と別れ、2回左に曲がり、さっきまで飲んでいた店のちょうど裏に着いた。呼んでおいたタクシーに乗り込む。 金曜日といえどもてっぺんを過ぎたというのに煌々と明るいこの街は、端的に言ってどうかしていると思う。遊ぶには適した街だが、ここに居を構えるのはゴメンだ。 タクシーは20分で自宅マンションまで送り届けてくれた。エントランス横のコンビニは夜には閉まっていてもはやコンビニではないが、彼らだって営利企業なのだから儲けのない時

          【短編小説】 エレベータ