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私が生まれてきた訳は・・・

今週、応援部の後輩と飲む機会があった。彼女はまだ23歳と若く聡明才弁であり(ながらも)、人格高潔な、私が尊敬する女性である。
人生論を孫のような異性と語り合うことができる幸せを感じながら一献を傾けた。

お互いの東大受験の話になった。彼女は、「早慶はそれぞれの大学の傾向と対策をしなければならないが、東大は違う」と言う。東大受験は高校で学ぶことをしっかり学んでおれば合格はできるのだと。彼女は特に東大受験の勉強をしなかったのだと言うのだ。今時そんな学生がいるのか。
昨今の東大の合格者は私立の中高一貫校卒の学生が多い。だから、ある意味、東大は、北大のような"北の大地に憧れて"受験する全国区の大学ではないのだ。ちょっと金太郎飴でつまらない。
私が大学を受験した時代は、地方には東大向けの予備校がない時代だった。地方の公立高校生が"青春の志を持って"、東大を受験した、まだいい時代だった。
私は、東大向けだと言われて、高校の古文の授業でも使用した「岩波文庫の大鏡」を熟読したくらいだ。

果たして、彼女はどうだったのだろうと思って聞いてみた。「私は岩波文庫の大鏡を読んだが、あなたはどうだった?」
彼女からの返答は、「私も読んで勉強しました。東大の試験には大鏡がよく出ると聞いたもので。それくらいの傾向と対策はしました」と。
ちょっと嬉しくなった。孫のような女性が、東大受験で私と同じように、特に東大の受験対策は大鏡だけだったとは。ますます彼女を気に入った。

大鏡には、二人の老人が登場する。その老人たちが、平安時代390年の歴史を語り合うという歴史物語だ。人聞きや書物で学んだ歴史ではない。自らが生きて経験した歴史を語る設定なのだ。彼ら二人の年齢はとっくに100歳を超えている。200歳近くだったろうか。
さて、私が大鏡を読んで感じたことは、"決して死ぬことができない、死にたくとも死ぬことができないということは、人間にとって最大の罰ではないか"ということだった。全く大鏡の歴史書で言わんとしていることではない。
彼女にそんなことを話した。「先輩、それは人生論ですね。哲学ですね。"人間の幸せって何だ"ということを考えさせられます。
私は、長く生きたい、死にたくないと思いますが、それより"如何に生きるかに心を尽くす"ことですね」と彼女は言う。

松下幸之助さんも稲盛和夫さんもカリスマ経営者であり、そして彼らは哲人経営者でもあった。
"生きるとは何か。人間何を成すために生まれてきたか"を突き詰めて、生きて生き抜いて、経営をなさった哲人だ。

さだまさしさんに「いのちの理由」という歌がある(さだまさしさんも人生の哲学者であろう)。

作詞:さだまさし
作曲:さだまさし

私が生まれてきた訳は
父と母に出会うため
私が生まれてきた訳は
きょうだいたちに出会うため
私が生まれてきた訳は
友達みんなに出会うため
私が生まれてきた訳は
愛しいあなたに出会うため

春来れば 花自ずから咲くように
秋来れば 葉は自ずから散るように
しあわせになるために 誰もが生まれてきたんだよ
悲しみの花の後からは 喜びの実がなるように

私が生まれてきた訳は
何処かの誰かを傷つけて
私が生まれてきた訳は
何処かの誰かに傷ついて
私が生まれてきた訳は
何処かの誰かに救われて
私が生まれてきた訳は
何処かの誰かを救うため

夜が来て 闇自ずから染みるよう
朝が来て 光自ずから照らすよう
しあわせになるために 誰もが生きているんだよ
悲しみの海の向こうから 喜びが満ちて来るように

私が生まれてきた訳は
愛しいあなたに出会うため
私が生まれてきた訳は
愛しいあなたを護るため

私が生まれてきたわけを考える。私が生まれてきた原点を考える。
その原点に立ち戻って、全てを考え、見つめ直すと、ブレない自分になることができる。
その原点の原点は、"私がしあわせになる"ためなのだ。
私がしあわせになるために、私は生きている。そのために、私の原点に返る。そして、人のために尽くす。私がしあわせになるために、私は人のために尽くす。

生命は有限である。有限であるからこそ、生命を惜しみ、精一杯長生きして人のために尽くそうとする。
人に尽くすことが、私がしあわせになるためであるのだから。

死を意識して生きることは、よりよい生を生きることである。
私がしあわせになることを目的として生きることだ。
そのために、私が天から授けられたミッションがある。そのために、私に与えられた得手がある。

最上位のミッションの他に、そのミッションを果たすためのミッションがある。それらミッションは、目的であり、またそれは手段でもある。

私が行なう全てのことが、私に関わる全ての人をしあわせにする。そんな人生を送りたい。そんな良い、善い循環を私の周りでつくっていきたいと思う。

不動院重陽博愛居士
(俗名  小林 博重)

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