2021.07.20 13:15 「つけばならう」

夢を見た。

私は嘘をついて誤魔化してばかりで、真っ当に生きませんでした。
いったい何をしていたの?と言われても、ひとつも答えることはできませんでした。

嘘をつきすぎたのか、そのうち身体が真っ黒に固まって動けなくなりました。
石のようになった私は、気づけば神社かお寺の神仏像の前に置かれていました。
少し遠くに私のことが見えていないように、視線の合わない両親がいました。

身体が大きくて分厚いあたたかいひとが出てきて、これはあなたの両親からもらったもの。これは祖父母から。あなたは大事にされている、そういうしるし、助けてほしいと願うお供物のようなもの、と、ひとつひとつ紹介して、私の左隣に立ちました。

説明を受けましたが、雑音で聞き取れませんでした。隣でお経を唱えるように何かを言い出したので、復唱するのかと思い、何度も繰り返していたら困ったように笑ってもう一度説明されました。
これからわたしが言うことの意味を考えて答えるんだよ、と。

つけばならう。その人が言いました。
嘘をつけば悪いことが自分に返ってくるってことかな、うそをついて何がダメだったか習うってことかな、と私は言いました。何度も嘘をつきました。自分のために。自分を誤魔化すために、見栄のために。その人にならすべて言えると思って、悔いを繰り返しました。
その人は、なるほど、そうかもね。と穏やかに話を聞いてくれました。わたしも昔は知名度がなかったから、と話し始めたので、かみさまにも知名度があるのが不思議で、つい笑ってしまいました。
大泣きして、息が苦しくて、しゃくりあげて声が出しづらくても、私は確かに笑っていました。

息が苦しい。涙がなまぬるい。
意識が浮上する。いやだと思っても目が覚めてしまった。

続く言葉はなんだったのか。
再び目を瞑っても、もう戻れる予感はありませんでした。




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