予防線は少食アピール

私のトラウマと現在進行形で困っている話。

私は家で食べる分には問題ないのだが、お店で人とご飯を食べることに強烈な不安がある。所謂「外食(会食)恐怖症」ってやつ。大して珍しい話でもないだろう。

他の人の原因がどこにあるのかは分からないけど、私は思い当たることが明確にあって、
「外食恐怖症」と同時に「嘔吐恐怖症」(要は吐くのが恐ろしくて堪らないということ。)にも悩まされるようになった。

○トラウマの始まり

それは私が中学生の頃。
大きいショッピングモールへ家族で外食に行った先が、ビュッフェ形式の食べ放題だった。
昔から痩せっぽちで食が太い方ではなかったので、特に無理はせず食べられるだけ食べて、制限時間いっぱいになったのでお会計を済ませて店の外へ出た。

直後私はその店の前で、床目掛けて食べたものをそのまま吐き散らしてしまった。(ショッピングモールの方にも、店の方にも、往来に沢山居たお客様にも大変申し訳ないことをした。)

唐突に吐き気がやってきて、トイレへ移動したり、袋を用意してほしい、と家族へ助けを求める暇も無かった。吐いたらすぐにスッキリして完全に健康体なもんだから、余計に羞恥心と罪悪感でいっぱいになって、母に連れられるまま逃げるようにトイレに駆け込んで、汚れた服を拭き、口を濯いだ。
吐いた時と、汚れた姿でトイレへ駆け込んだあの時の周囲の視線が痛かった。
急に嘔吐したらびっくりするに決まっている。汚いし、気分が最悪だろう。どう考えても目を向けてしまう。当たり前だ。

吐く前に見た、店から見下ろした先の広場の子ども向けキャラクターショーの景色がなぜか忘れられない。

○その後

さて、そうして私は「食べ放題直後に吐いた間抜けな人間」になった。「食べ過ぎたから吐いた」ということは無いはずで、家族の中で食べた量が1番少なかったくらいだし、じゃあ具合でも悪かったのでは?と家族の中では結論付けられたが、そんなことはなかったつもりなので、私は納得していないまま。

この出来事以来、私は外食のたびに吐いてしまった想像が頭を過ぎり、次第に「食べきれないかも」という不安にシフトしていった。不安と緊張でいっぱいいっぱいになって、外での食事は上手く喉を通らない。

自分の満腹中枢が(食べ過ぎが原因だった場合)信じられないから、自分がどの量が限界でどこが満腹なのか分からず、もしかしたらあと少し食べたところが限界点で、今度は友人の目の前で吐いてしまうかも。そんなことになったら最悪だ。酔っ払って吐くなら許されるハプニングにしろ、食事していただけで突然吐く人間なんてタチの悪いドッキリだ。

そんなわけで食べる量は出来るだけ少ないものにする。外食の際に最重要なのは「美味しそうであるか」「ここでしか食べられないものか」などではなく、「いかに量が少なそうか」だ。(そもそも食に関心があった方ではないが、それが更に加速した。)
「うどん(単品)」が1番安心なメニュー。病人でも食べられるような優しさだし、汁があるから残してしまっても見栄えが多少マシに思える。

定食は地獄。見た目でまず品数が多くてお腹いっぱいになるし、大体ご飯の量が多い。品数が多ければ多いほど、食べられないかもしれないというプレッシャーが重くのし掛かる。一人前と区切られたお盆は、私にとって可視化されたノルマでしかない。

残すと「勿体無い」「食べちゃえばいいのに」と言われることが多く、それがまた「残せない」「残すのは悪い」「普通は食べられる」というプレッシャーになって、余計に緊張で食べられなくなる悪循環になる。

「無理しないでね」と言ってくれる人もいるが、どうしたって「出されたものは残さず食べる」それが一番なことに変わりはないのだ。いっぱい食べる君が好き。

○困ること

具体的に挙げ始めるとキリがないので、箇条書きにする。
・食べ慣れていない味は具合が悪くなりそうで怖い
・コース料理は味が分からない(プレッシャーが半端ではない。店員さんが見張っている、食事のスピードも周りと合わせる必要がある)
・社会人になってから社長の奢りでコースに行くことになった際は、本当に恐怖でいっぱいで、スマホで「コース料理 残し方」「コース料理 食べきれない」などで検索していたらお昼休みが終わっていた
・チェーン店以外だと食事を残した時の申し訳なさが更に増すので行きたくない
・残せないので奢ってもらう食事は心底つらい

・回転寿司は量の調節が出来るので大好き
・友人と行く居酒屋はご飯をシェアするので自分が食べた量がバレなくて一番楽

食事は基本的に食べ終わったら終了だから、食べきれない場合は自己申告が必要になる。私がギブアップするまで食事は終わらない。毎回見守られながらご飯を食べている状況で、申し訳ない。
友人と出掛けて「ご飯どうする?」という流れになったら「あんまり空いてないかな〜」と言って軽いもので済ませ、会社では「あまり量が食べられなくて」と日頃から予防線を張る。
ボリュームを売りにした飲食店は多く見るのに、ボリュームが控えめなことを売りにした飲食店は無い。糖質を抑えるなら量を抑えてほしい、と勝手なことを考えている。

○終わりに

ここまで食事への苦痛を書き連ねているけれど、好きな食べ物くらいあるし、1人での外食なら人の目が無くて楽だ。自分の家で食べるご飯であれば自分で量を調節できるし、量が多くても時間をかけて少しずつ食べても問題ない。最悪明日に残しておける。吐きそうになっても水場もゴミ箱も近いし(原因となった一件以来、食事後に吐くなんてことは起きていないけれど)。

友人との食事が嫌いなわけではなく、誘ってもらえるのは嬉しい。緊張するのは私の問題であって、友人には何の関係もない。場数を踏んで行けば少しは慣れるかもしれない。もともと食事量だって標準よりちょっと少ないだけで、ぜったいに気持ちの問題なのだ。それなのになかなか上手くいかない。

いつか「ご飯どうする?」と聞かれて

「めちゃくちゃお腹空いたからいっぱい食べたい!!!」なんて返せる日が来ると良い。

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