鎮静剤あり 胃カメラの備忘録

「口の中が酸っぱい」という感覚を高校生くらいからずっと、定期的に感じていた。

逆流性食道炎の典型的な症状だったので、5年前に地元のかかりつけ医を訪ねた。おじいちゃん先生は「その若さで逆流性食道炎はないと思うんだけど、お守り程度に持っておくと良いよ。酸っぱくなったら飲んでみて」とカプセルを処方してくれた。

カプセルを飲むと割とすぐ、口の酸っぱさも喉の違和感も消えてくれたけど、あっという間に薬は底を尽きたし、胃カメラが怖くて通院はやめた。

口の中が酸っぱくても死ぬわけじゃないし。

キスする相手でもいれば気にしたのかもしれない。これって相手の味覚でもやっぱり酸味があるのかな?胃酸だもんな。そりゃ酸っぱいのかな。

私は呑酸を感じると「リトマス試験紙を口に含んでみたい」という衝動によく駆られる。酸性だと赤になるんだったか、青になるんだったかもよく覚えてないけど。


そんなこんなで酸っぱかったり酸っぱくなかったりする日を繰り返していたら5年経っていたわけだけど、最近毎日酸っぱいな、と思ったので結局胃カメラをすることになった。

とんとん拍子で初診を終え、人生初の胃カメラの日程が決まる。


前日の20時以降から食事は禁止、到着すると胃の泡を消す甘苦い薬(薄めのポカリスエットみたいな)を紙コップ一杯分飲まされて、処置室に移されてからはカップの中でぐちゃぐちゃに混ぜたプリンみたいな感触の麻酔を飲み込んで、めちゃくちゃ苦い麻酔薬を口の中に噴射された(のどぬ〜るスプレーみたいなやつ)。

左腕に血圧計、右腕に鎮静剤のための針を刺され、体を横向きにする。

看護師さんの「鎮静剤入れますね〜目を閉じて深呼吸してください」という優しい声が聞こえる。

目を閉じる。

先生らしき人が部屋に入ってきたような気がした。

意識の遠くで凄く気持ち悪い感覚がある。

逃げたくて身をよじった気がした。

(今思うと、すごい速度感で意識を失っている。
医療すごい)

気がつくとカーテンで仕切られた部屋に居た。今は何時なんだろう。看護師さんが何度か話しかけてきて、ついでにやることになっていたピロリ菌の検査のため、一度体を起こされる。

私はだいぶ意識がフラフラだったようで、諦めた看護師さんにもう一度寝かされる。

昼休憩の時間になったのか、掃除機の音と、女性が雑談している声が聞こえる(おそらく看護師さん)。

かなり体が重たく、意識がぼんやりとしている感じだった。

結局2時間ほど休ませて貰っていた。意識が6割くらい戻ってきた段階でピロリ菌検査も済ませた。

検査を終えて先生に会うと、どうやら嘔吐反射が強かったらしく、鎮静剤をかなり追加されたらしかった。多分本当に暴れていたのかもしれない。

この時点で既に夢だったのでは...と少し思っていたし、書いている今ではもうほとんど覚えていない。鎮静剤なしでやることもあると思うとゾッとする。

結果は問題なし。「逆流はしているけど胃は元気そのものですね。元気に逆流してます!」みたいなことを言われて終わった。


帰りにケンタッキーを買って帰った。


翌日、目を覚ますとお腹と腕と、特に顎が筋肉痛だった。

夢の中の私は、結構がんばって苦しみに耐えていたのかもしれない。




追伸

ピロリ菌検査も問題無かったです。


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