“好きだった”を思って

一年の終わりが見えてきた12月。
この時期は、やけに断捨離したくなる。

私はいわゆるミニマリストとは程遠い。
雑誌・漫画・CD・グッズなど、オタクにしては(あくまで主観)かなり控えめに購入しているつもりでも、つい嵩張ってしまう。


数ヶ月前、あるファンクラブの更新をやめた。
4年前に人生で初めて入ったファンクラブ。たくさんイベントに行って、ひとつひとつの曲や言葉を噛み締めて、とても楽しい時間だった。けれど、いつの間にかコンテンツは追わなくなって、お金も使わなくなって、優先順位が下がっていった。気付いたら関係が切れていた友人のよう。よくある自然消滅ってやつ。

あーあ、ずっと好きでいるって、本気で思っていたのにな。

あんなに好きだったのに、薄情だよね。私は一度も恋をしたことがないけれど、なんとなく別れ話を想像した。切ない恋愛ソングにも感情移入できちゃうかも。自己完結しているファンの思いだから、ただの独りよがりだけども。


それで、とにかく自然消滅したこの思いの遺物を、整理しようと思うのだ。

嫌いになったわけじゃない。今でもその人には笑顔で元気に笑っていて欲しいと願っている。大事であることに変わりはないから、残ったものをただゴミ袋に詰め込んだり、紐で縛ったりなんて出来ない。

生憎譲り渡す友人もいないし。やっぱり中古ショップに持って行くことになるのかな。ああでも、近所に全然店が無い。この量を持って行くとなれば、かなり骨が折れる。
ならばフリマアプリ。そっちの方がよっぽど確実に、欲しい人に届く。


フリマアプリ、大変そうだな。
明るい場所と綺麗めな背景で写真を撮って、相場を確認して価格を決める。説明文を書く。誰かが購入してくれるのを待つ。購入されたら購入者とやり取り。よく分からない配送方法を決めてきちんと梱包して、郵便局に出しに行って......あ〜〜......私の苦手な工程ぜんぶ乗せの欲張りセット。無理かもしれない。国からの簡単な書類ひとつが億劫で、開封まで数ヶ月かける私では。


手放すときのことなんて、昔の私は考えていなかった。

今は誰かを知るときも、何を買うときも、手放す瞬間のことを同時に考える。始まる前から終わりを考えるの、やめたら?と思うんだけど。

好きの気持ちが落ち着いた後のことまで考えられるようになったのは、大人になったと言えるのかな。


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