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読書日記|産む、産まない、産めない

 甘糟りり子さんの小説を拝読。妊娠や子供にまつわる短編小説が連なって、非常に読みやすかったです。産婦人科の中の事とかは女性にしか分からない事なので、男性にはびっくりする事も多い。


 もしくはうろ覚えの知識でしかない事も、本書を読んで「あぁそういう事か」といくつか腑に落ちました。特に人工授精と体外受精の違いがよく理解できていなくて、全然違うんだと今更認識。


 本の中に流れているテーマは必ずしも妊娠・出産にまつわる事だけでなくて、子供を育てるという事が一つのテーマのように感じました。出産がゴールという訳でも無く、もっと多面的な意味での子供のいる人生。そういう人にスポットを当てた作品だと思う。


 現在進行形で大変な人やこれから大変な人。大変の中にも子供がいる大変さに限らず、子供のいない大変さなど様々。個人的には第2話と第5話と第7話が一好きです。


 大変さの中にある喜びや希望が書かれている作品の数々が、心に響きました。甘糟さんの他にも似たような作品読みたいです。文章の相性もかなり良かったので、あと何冊もすいすい読めそう。


 辛いエピソードもあるけど、それを乗り越えていく女性の強さ逞しさも書かれていて救われました。「子供のいる人生って当たり前じゃないんだよな」とふと考えさせられる作品。


 赤ちゃんに限らず、大きくなっても子供は子供。大人になった登場人物を心配する親も出てきて、親もいつまでたっても親なんだ。そんな当たり前の事にも気づきました。


 きっと親にならなければ分からない事もあるんだろう。子育て中の親御さんたちに、優しい眼差しを向けられるようになりたいです。


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