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台湾の保健・栄養食品市場について

コロナ以前、訪日台湾人観光客にとって日本のダイエット食品やサプリメントは最も人気のある商品の一つでした。安心、安全というイメージが強いこともあり、日本製の健康食品に対するニーズは非常に高く、同分野の日本企業にとって、台湾は有望な市場の一つと言えるでしょう。

今回は、台湾・経済部が公表した産業経済統計「台湾の保健・栄養食品市場に関するレポート」をご紹介します。

高齢化と健康意識の高まり 保健・栄養食品の生産額が5年連続で過去最高を更新

ポイント

  • 台湾の保健・栄養食品市場は拡大傾向にある。

  • 主な要因は「平均所得の向上」「健康意識の高まり」「栄養補助という概念の普及」「高齢化人口の増加」

  • 輸入額全体の70%以上を米国・EUが占めており、同分野全体でみると日本企業の存在は高いとは言えない状況。

台湾において、保健・栄養食品の生産額が増加を続けている。一人あたりの平均所得の向上、健康意識と栄養補助という概念の普及、高齢化人口の増加などに伴い、保健・栄養食品に対する需要は増加している。
また、保健・栄養食品関連の台湾企業による海外市場の開拓も相まって、保健・栄養食品の生産額が着実に成長しており、2021年には前年比10.3%増、4年連続で最高額を更新し、初めて200億台湾ドル(約910億円)を超え、215億台湾ドル(約930億円)に達した。
2022年1月から11月までの実績では、メーカー各社による販路拡大、EC販売の強化、および新製品の発売と感染予防の需要増加などによって、生産額は前年比17.4%増の226億元(約978億円)に達し、すでに前年1年間の金額を超えている。

【輸入状況】

台湾の保健・栄養食品の需要は大部分が国内であり、主な輸入元は米国とEUである。台湾メーカーが生産する保健・栄養食品の80%以上が国内で消費されている。同分野は長らく輸入超過の状態であったが、台湾人の保健・栄養食品に対するニーズの高まりを受けて、自給率は年々上昇している。
税関の輸出入統計によると、2022年の輸入額は前年比5.5%増で過去最大の2億7,966万米ドル(約368億円)である。主な輸入元は米国とEUであり、2022年の米国からの輸入は輸入額全体の41.5%で前年比19.8%増、次いでEU(同35.8%)で、前年比9.9%増であった。米国とEUを合わせると、輸入額全体の70%以上を占めている。2022年の輸入品目は、「患者向け食品」が最多の43.2%を占め、主に米国から輸入された。次いで「乳児用調合乳および年長の乳児用補助食品」が34.8%を占め、主にEUから輸入された。

【輸出状況】

台湾の保健・栄養食品の主要な輸出先はASEANであり、品目は「その他の保健・栄養食品」(注:この項目には、主にプロテインなどのタンパク質を含む栄養補助食品が含まれる)が最大である。近年、台湾メーカーは海外市場を積極的に開拓しており、2019年には健康・栄養食品の輸出額が3,155万米ドル(約41億円)に達した。COVID-19の流行による海運、人流への影響により、世界の輸送および消費が大幅に減少したことで、2020年と2021年は2 年連続でマイナス成長となったものの、2022年には2,252万米ドル(約30億円)まで回復した。
中でもASEANは最大の輸出先(輸出額全体の51.9%)であり、前年比24.3%増となっている。一方で、中国本土や香港向けの輸出は新生児数減少の影響を受け、2019年は輸出額全体の49.3%を占めていたものの、2022 年には、同21.8%に大きく減少している。
輸出品目でみると、「その他の保健・栄養食品」が84.7%と最も多く、主にASEAN向けに輸出されている。「乳児用調合乳および年長の乳児用補助食品」は13.1%を占め、主に中国本土、香港に向けて輸出されている。

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