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子どもの持つ『楽観的バイアス』を信じよう!

子どもは”物事を楽観的に捉える力”が備わっているのをご存知ですか?
このことを「楽観的バイアス」と言います。
大人で楽観的な人を、optimism (オプティミズム)とも言いますが、子どもは生来、それが強く出るようになっているのです。
特に、年少児・年中児よりも、年長児の方が、より強くなるんだそうです。

例えば、夢中になって積み上げたブロックを、お友達が倒してしまったとします。
壊れたことにはショックを受けても「わざと壊そうとしたわけじゃない」と判断する傾向が強くなるそうです。

普通、子どもは相手を許すことが苦手ですよね。
それは、グッと感情を抑えて対処する「社会的スキル」がまだ未熟だからです。
ところが、その特性を補うかのように、悪意があったという判断を回避して、いい関係を継続させようとする、社会性の発達に寄与する働きを持つ。
すごいですね❣️

これは、人間にとって「社会性」がいかに大切かがわかるお話です。
警戒したり、過度に相手を責めて、関係を断つのではなく、なんとか折り合いをつけて、なるべくいい関係を継続させたい。
その方が、楽しい経験を増やせるし、生きた社会スキルをどんどん身につけていけるというわけです。

まさに生き延び戦略。
だから、大人が過度に心配をしなくても大丈夫。
当の子ども本人は、お友だちと喧嘩をしたとしても、たとえ傷ついたとしても、それ以上に、お友だちと関わりたいし、そうやって自ずと社会スキルをどんどん身につけていこうとするわけです。
親としては、そのチャレンジを応援してあげなくてはいけません。
でも、こう世の中が不安定だと、余計な心配をしてしまうのも、よくわかります

ほどほどが難しい

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「うちの子、ごめんなさいが言えないんです」
「我慢が苦手で困ってしまうんです」

ママから、よくこんなご相談を受けますが、これもよくわかります。
「まだ幼いのだから、できなくて当然」と、理屈ではわかっているのに、つい大人のような振る舞いを期待してしまう。
これは、ママの安心が不足している証拠。

まだ人生始まったばかりなのだから、いいの、いいの。
今言えなくても、必ず言えるようになるから。
それよりも、本人たちが最も望む体験を存分にさせてあげましょう。
それには、ママ自身が安心に包まれることの方が急務です。

母親の安心感が最重要視されなければいけない

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ウィニコット(イギリス小児科医・精神科医)は、「ほどほどによい母親」が大事だと提唱しています。
優秀な母親を目指さなくていい。
完璧な母親を目指すと、必ず完璧になれない自分とぶつかり、母親自身が常に緊張することになるからです。
それより、少々不完全でも、ゆったりとした安定感の高い母親がいてくれる方が、安定した親子関係を築いていくためにはより重要だ、といいたいのです。

また、幼少期は、母親の心模様に同調する「エントレイメント(引き込み同調現象)」をベースに心の土台を形成していきます。
母親が不安や自己嫌悪に襲われていると、そのまま子どもに投影されてしまうので、まず母親が安心感・安全感に包まれている必要があるのです。

ところが、現実はどうでしょう。
安心感の欠如した母親が多くなっているように感じませんか?

母親を苦しめる「自己責任」の鎖

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なぜ母親は、自分の子育てに厳しい目を向けるのでしょうか。
それは「自己責任」「自助努力」という、息苦しい風潮が世の中に蔓延しているからだと考えられます。
こんなに、母親一人でなんでも背負わなくちゃいけない時代はないです。

「人に頼らず自力でがんばれ!」

そういわれても、出来ないものは出来ない。
弱い立場の人(例えば障害者・高齢者・子どもを育てる母親など)が抱える苦しみは、健康で自由に生きる立場にいる人には、なかなか理解できないものです。

特に、子どもを育てる母親が「周囲に迷惑をかけてはいけない」と思えば、とたんに苦しくなります。
2歳も過ぎれば、自我が芽生え、ところ構わず大泣きをするし、お友だちを叩いたり、ヒヤヒヤさせられることが続くのですから。

本来子どもは、誰かに頼ったり、助けてもらいながら育てていくもの。
頼る先もなく、罪悪感に怯えながら育てる、なんてことがあってはいけないのです。
子どもの傍にいる母親の安心感・幸福感こそが、子どもの安心感の核をつくるのです。

子どもの持つ楽観性を信じていい

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私は子育て中のママたちに「自分の不完全さに怯えなくても大丈夫よ」と伝えたいです。
何しろ「楽観的バイアス」という強力な武器を持っている子どもたちは、年齢が上がるほどその傾向は強くなり、相手のことをポジティブに捉える傾向は9歳ごろまで続くのだそうです。

社会的に未熟な子どもは、他人と上手に関わることが下手くそです。
他人といい関係を築いていくために、物事をポジティブに捉える傾向が強く出るのです。

つまり、母親が多少不安を抱えていても、子どもは母親からの愛情を信じて「自分は愛されているに違いない」と肯定的に捉える傾向を既に持っている、ともいえるのです。
そうすることによって、新しいことに挑戦したり、失敗しても立ち直って、更なる挑戦に挑んでいくという”高い回復力”を支えることになるのです。

だから、怖がらなくても大丈夫。
子どもをもっと信じましょう。
それよりも
あーしちゃダメ!
こうしちゃダメ!
といって、挑戦する気持ちを奪っていないかを、検証しましょう。

失敗は成功のもと

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子どもの傍にいる母親の安定感が、子どもの心育ての重要な鍵となることは周知の通りですが、そのことに過剰に怯える必要はないということがおわかりいただけたでしょうか。

それよりも、子どもの持つ「楽観的バイアス」を信じて、もっと多様な経験をさせるのです。

挑戦するということは、人一倍失敗も経験するということ。
この時、失敗を”学び”に変えるためには、大人の誘いが重要です。
挑戦したことを褒めて、例え失敗しても、決して咎めないこと。

そうやって「励ましてくれた」、いざという時に「守ってくれた」体験は、やがては、自分で自分を守り、励ます力を育てていくことになるのです。

鶯千恭子(おうち きょうこ)






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