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脳科学活用術!感情は揺らされて作られる

心の構成要素は感情です。
感情はどこで生まれるのかというと、大脳の表面を占める大脳皮質の内側にある、大脳辺縁系の中の「扁桃体」。

人間にとって思考を司る「大脳皮質」が重要だと思われがちですが、私はとんでもない!感情を作り出している、大脳辺縁系であり扁桃体がとっても重要だと感じています。

思考すら操作する威力を持つのは「感情」です。
怒りに震えて一線を超えてしまったり、喜びに湧いて意欲が漲ってきたり、私たちの人生は感情によって彩られているのです。

感情を制することができないことで、多くの人が悩み苦しんでいるし、感情によってこの上ない幸福感に満ち、どんな困難も超えて行こうと意欲が湧いてくる。
今回は、そんな感情の不思議に迫ってみたいと思います。

快・不快が複雑に分化した人間の感情

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人間が、複雑に進化した生きものの頂点に君臨する存在であるならば、人間の持つ感情もまた、最も複雑に分化させたカタチといえます。

そもそも感情は、生き延びのために生まれ、発達させました。

<不快感情>
危険に近づかない
危険を感じたらすぐに離れるか身構える

<快感情>
もっと近づいていい
信頼して緊張を解き、心を寄せていい

このように、感情は生き死にに関わるとても重要な判断の要となる役割を担うようになったのです。
大脳辺縁系は哺乳類から一気に占める面積が増え、感情を武器に生き延びにかけることで進化を遂げてきたことがわかります。

動物が好きな人ならお分かりかと思いますが、犬や猫にも感情があります。
嬉しい時はからだをすり寄せて、スリスリしてきますからね。(可愛い♡)
そして、恐怖を感じると毛を逆立てて威嚇してきます。

そして人間の感情は、どの動物よりも格段に複雑に進化させました。
切ない、嫉妬、安らぎ、信頼・・・
細やかに細やかに分化させることで、大勢と深く心をつなげ、生き延びることを可能にしたのです。

無防備と引き換えに安心・信頼を武器にした!

手

感情を複雑に進化させた結果、生存率は驚くほど高まりました。
人間は鋭い牙をなくし
素早く走れる筋肉も失い
全身を覆う厚い毛もなくしたのに、です。

中でも皮膚の進化は目覚ましいです。

木の上で果実を食べて生きていた時代から、地上に降りて生きる時代へと進化を遂げた時から、それまで持つことのなかった汗腺(汗をかく配線)をつくり、体温を一定に保たせました。
更には「心地よい」と感じさせる触感と感情をリンクさせるC触覚繊維を全身に張り巡らせ、無防備になる代償として、人とくっつくことで安心を引き出すプログラムを手に入れたのです。
(正確には生毛が生えている部分に張り巡らせたんですけどね♪)

信頼とは思い込みだけど、信頼に勝る武器はない!

パパ

他人を警戒するのではなく近づこうとするプログラム。
これは命がけのすごい技。
だって「信頼」は、ほとんど思い込みですからね。

信頼される側は、信頼を裏切りたくないという感情を湧き起こらせ、更に信頼で返そうとする。
そうやってお互いの信頼を強めることで、集団で生き延びる道を選択していったわけです。

強い信頼で繋がれる関係を持てる人は、不安が襲ってもすぐに安心を引き出すことが出来て、何よりも強い存在となり、生存に有利になります。
それは、思い込みの世界を素直に受け入れられる度量を持つ人ともいえます。
実際に、私の周りを見渡してみても、信頼関係を築ける人の強さはお見事です!

だから、裏切られることがあっても、人間はもう一度信頼することに挑むべきなんですね。何度でも。
痛みを学んだ人は、信頼とは何かを深く知ることになる。
信頼を寄せる価値の高さを、身をもって知るわけです。
そういう人こそ、信頼にあたる人とはどういう人のことをいうのか、感度が磨かれるわけですから、培った力を使って、これまでにない深い信頼関係を築くことに挑まなくちゃもったいないのです。

感情は素早さが勝負!

笑顔女の子

そして、もう一つ。
感情は理屈が通らないスピードが勝負の特徴を持つということを知っておくといいです。

刺激情報が入力された瞬間に、間髪入れずにビュン!と感情が流れる。
これが感情の得意技。

中でも、過去の記憶の中に強烈な痛い体験があると、危険アラートが瞬時に鳴り響き、警戒モードにスイッチをONさせます。
それが適切に稼働するわけではなく、不必要に警戒心を強めてしまうこともあるのです。
怖がりな人とは、そういうことがよく起こるんだということを知っておいた方がいいです。
いわゆる「不安」というやつです。

不安は厄介です。
得体の知れない、情報が乏しいものに敏感に反応して「不安」をかき立てるように仕組まれているので、人の行動を止めてしまうのです。
その結果、学習する機会が人一倍失われてしまう。
もったいない話です。

感情が大きく動く時は、同時に深呼吸をして「本当にそうか?」と確かめに行く手順を習慣づけること。
そうすれば、感情に振り回されず、自分が手綱を持つことができるようになりますからね。

感情の発達には人が必要

とびきりの笑顔

こんな大切な「感情」を、豊かに発達させるためにはどうすればいいのでしょう。
親としてできることを整理しておきますね。

まず、感情に注目して成長を追ってみますよ。

生まれたての赤ちゃんは「オギャー」と泣きますよね。
これは感情を持っている証拠。
なぜ泣くかというと不快だからです。

長い間お湯の中に浸かっていたため、乾燥した環境は初めて。
しかも目からは光が差し込み、眩しくてたまりません。
「まぶしいよー」
「寒いよー」
といって泣くのです。

やがて生後3ヶ月も経つと、よく笑うようになりますね。
人の顔を見て、話しかけられると声を立てて笑い、たまらなく可愛い時期に入ります。
明らかに快・不快の感情が育っていることがわかります。

やがて
不快→嫌悪・怒り・悲しみ・不安・・・
快→喜び・楽しさ・愛情・嬉しさ・・・
と分化を始め、感情が豊かになっていきます。

この過程で大切なのは、誰かと感情を共有すること
いわゆる共感です。

喜びを分かち合うと喜びは倍増するし、悲しみを分かち合うと痛みが半減していきます。
感情を豊かに育むためには、共感してくれる「人」が必要不可欠。
感情は一緒に揺らしてくれる人がいることで育まれていくのです。

子どもと関わる大人は、子どもの感情発達に重要な影響を与える人であることを心して、子どもと関わるようにしましょう。
放っておいても、多様な人と感情交流できる環境ではなくなりました。
今の時代は、感情を育てる土壌がとても貧弱だということです。

笑い合って
喜び合って
一緒に泣いて
抱き合って
安心をつくってくださいね。

鶯千恭子(おうち きょうこ)






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