見出し画像

けんかは解決方法を教えるためのもの

けんかはいけないものだと思っていませんか?
その場合、けんかは関係を壊すものだと思っているのかもしれません。

感情が暴走して、相手をひどく傷つける言葉を吐いて、こんな人とはもうごめんだ!と思い、関係が終わる。こんな嫌な経験をすれば、誰だってけんかはいけないものだと思ってしまいます。

そうなれば「けんかをしないように」ということが、何よりも大切だと考えるようになります。極端な話、たとえ大切なものを守ったり、深い信頼を築けなくても、自分を押し殺して、けんかをしない…となります。どちらかといえば私もこのタイプ。

ウサギ

けんか上手な人

ところが、一方で「時にはけんかも大事だ」という人がいます。よく話を聞いてみると、けんかを単なる攻撃と捉えるのではなく、何か別の価値を見出していて、その価値を手に入れるための一過程だと捉えている節があるのです。

だから、けんかは避ける。
避けるんだけれど、どうしてもけんかに至ってしまったら、単なる不快な出来事で終わらせないという、堂に入るというか、どっしりとした安定感を感じさせます。

けんかを避けるスキルも、けんかの後の対処スキルも、なかなか高度なものを持ち合わせているなと感心させられるのです。こういう人は、けんかが何たるかを知っている、引き出しの多い、本物の「けんか上手」なのかもしれないなと思うのです。

「子どものけんかに親は口を出さない」といいますが、確かに、けんかの解決方法を知らない、けんか下手な大人は、口を出すのは危険です。なぜなら、勝ち負けにこだわるだけで、問題解決につながる方法を教えることはできないからです。

「けんかをしてもいい。ただし、解決方法を磨くために、けんかはするんだよ」
そう言って、いくつも解決方法の引き出しを持っている大人がいたら、大いに口を出してもらいたいと思います。

殴り合いをする子どもを放っておくのは、いいことだとは思いません。暴力を問題解決の手段として、奨励してはいけないと思うからです。でも、けんかに怯え、軋轢を超えて信頼を築くことができないのももったいない。

では、子どもが殴り合うような激しいけんかをしていたら、どうすればいいのでしょう。けんか下手な私は、知りたくて仕方がありません。

押し付けるのではなく、解決する力を身につけることができたらとおも思います。そんな方法はないか考えてみました。

子どものけんかのおさめ方

けんかのおさめ方

冷静にさせる
激しい殴り合いや言い争いが起こったら、両者の間に入ります。
そして、理由を聞く前に、冷静に話し合える状態かを尋ねます。
感情が荒立っていたら、落ち着くまで二人を離します。

けんかの原因となった出来事と感情を聞く
落ち着いて話せる状態になったことを確認して、何が原因でけんかになったのか、きっかけとなった「出来事」と、その時に感じた「感情」について、分けながら丁寧に聞いていきます。

交代で話させ、丁寧に聞く
話す時は、同時に話させないことは大切です。一方が話している時は、話しが終わるまで口を挟まず、共感を示すために、頷きます。そうやって「聞く」に徹することを、見本となりながら教えていきます。

やってしまったことをはっきりとさせる
どんな問題を起こしてしまったのか、その問題を起こしたのは誰か、はっきりとさせ、問題を起こした当事者が誰であるかを認識させます。この時、「なぜしたのか!」「君のせいでひどいことになった!」など、責めてはいけません。

問題を解決するための選択肢を見せて選ばせる
「問題は解決するもの」だということを教えます。この時、提示された方法のほかに、いいアイデアがあれば、選択肢の中に入れていきます。大切なのは、自分で選ばせるということです。

感情の問題の解決方法

仲直り

けんかになる本当の要因は、「傷ついた」という感情の問題が中心となります。
大人のけんかを思い出してみると分かりやすいですね。

「事前に一言いってくれればよかったのに」だとか、「配慮がない」だとか、「そんな言い方をしなくてもいいのに」だとか。これらは全て「傷ついた」という感情の問題を言っているのです。

だから、感情が暴走している時は、相手を傷つけるだけなので、話し合いはできません。まずはクールダウンして、冷静に、声を荒立てずに話せる状態を作ります。

そして、傷ついた感情について、言葉で冷静に伝えます。感情に良し悪しはありません。どの感情も正しいのです。

大切なのは「そうだったんだね」と受け止めてもらうこと。そうすることで、自分は尊重されたと感じ、自分もまた相手を尊重しようと行動するようになるのです。

人を大切にできない人は、大切に扱われてこなかった人です。だから、大切にする方法がわからない。けんか上手な人は、表面的な関係に終始せず、本当に大切にしたいと思う相手とは、深い信頼関係を築くことを目指しているという点が違うようです。

人間同士が、関わり合いながら生きていくということは、問題は起こるのです。
大切なのは、問題が起こったときの解決策を、引き出しの中にいくつも作っておくということ。

引き出しの少ない人は、いつもワンパターンになっているはずです。そういう人が、子どものけんかを取り扱っても、うまくいかないことが多いです。

まずは大人。
大人が実践しながら、解決方法の引き出しを増やしていくこと。このことを肝に銘じたいなと思います。

鶯千恭子(おうち きょうこ)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?