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強い猜疑心と恨みを持つ人「妄想性人格」

人格の偏りは、幼少期の体験に根を張り、現れ方は生まれ持つ気質によって、様々な特徴を見せます。
例えば、いつも批判されて育った人がいたとしましょう。
その場合、常に警戒心を持ち、小さな危険を見逃さず、相手を攻撃することで対処する人もいれば、極端に人と距離を持ち、傷つかないように保身に走ることで対処する人もいるなど人それぞれです。
つまり、偏りとは、その人が生き延びるために身につけた<サバイバルスタイル>で、考え方や振る舞い方の癖として、すでに馴染んでいるものなのです。

この癖の偏りが強くなると、対人関係に軋轢が生じ、困ったさんになります。
偏りが修正されれば、個性が輝きを増し、大変魅力的な存在になります。

困ったさんの生き方の癖を紐解きながら、少しでも生きやすくなるお手伝いができたらと思います。

パーソナリティーのパターンは、全部で10タイプに分けられ、いくつものタイプを併せ持つこともよくあります。
今回は「妄想性パーソナリティー(妄想性P)」について解説したいと思います。

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強い猜疑心を持ち徹底的に支配しようとする

妄想性Pの強い偏りを持つ人は、誰も信じることができない強い猜疑心を持つことを特徴とします。
人一倍傷つきやすく、傷つけられたことに対して執念深く、いつまでも根に持ち、徹底的に相手を支配しようとします。
相手が家族や配偶者であっても、信じることができず、携帯電話をチェックしたり、行動を逐一把握しようとし始めます。
特徴をまとめてみますね。

人は裏切るに違いないから信用できない

人はいずれ裏切るに違いないという信念を持っています。
他人は、隙あらばすぐに自分を責めてくると思っており、親しい人さえも、心を許して信じ切ることができません。

親密な距離に踏み込んだ瞬間から猜疑心のスイッチがON

相手が少々堅苦しく、真面目で礼儀正しいと感じて、何気なく親しくなり、親密な距離に踏み込んだ瞬間から、猜疑心のスイッチが入ります。

相手のあら探しをして、結局関係が壊れていく

人を信用できず、裏切りの証拠を探そうとしたり、些細なことで逆上することをくり返すうちに、関係がギクシャクし、想定していた通りの結果を自分で招いていきます。

傷つきやすく恨みの感情にとらわれていく

傷つけられることに極端に敏感で、些細な言葉にも、自分への否定や嘲笑の意味が込められていると感じ、屈辱と怒りがこみ上げてきます。
そして、いつ、どこで、何を言われたかを細かく記憶し、恨みを抱き続けます。
このことがパートナーへのDVにつながることもあります。

仲間に憧れるけど仲間を築けない

友情や愛情も信じられません。
会って話しているときは猜疑心を見せないこともありますが、目の前からいなくなった途端、疑い始めます。

秘密主義で打ち明けると心のバランスを失う

心を許して打ち明けた相手には、依存したい気持ちと、裏切られるのではないかという心の揺れが生じ、心のバランスを失いやすくなります。

疑り深く素行チェックが止まらない

非常に嫉妬深く、また疑い深いため、相手が陰でどんな行動をしているのかメールをチェックしたり、素行調査を行います。

世間の目を過剰に気にし、人付き合いを避ける

人不信から人付き合いを避け、引きこもりがちになります。
人が自分をどう評価するかを過剰に意識するので、ウチと外では身なりも含めて別人のように変わります。

約束や決め事にこだわるので規則や契約に敏感

人が信じられないので、法や規則、契約を重視する傾向が強いです。
約束したことや一貫性にとても敏感で、状況によって言い方が変わるといった柔軟な考え方は受け入れられません。

このような特徴を持つ妄想性Pの偏りの強い人は、どのような環境によって育まれてきたのでしょうか。

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すぐに非難されるというネガティブ体験

非難し責め立てる親に育てられている

この傷つきやすさと過敏さは、幼い頃からのネガティブ体験からくるといわれています。
すぐに非難し、責め立てる親(父親に多い)に育てられていて、きょうだいの間でも、いつ自分に矛先が向くか、いつおとしめられるか、警戒しながらビクビクした日々を送っており、その体験が、警戒心の強さや疑り深さを生んでいるといわれています。

自分の基準に合わないと頭ごなしに怒鳴られる

親も同じ妄想性Pの偏りを持っており、自分の基準に少しでも合わないと、鉄拳が飛んできたり、頭ごなしに怒鳴られることを頻繁に経験しています。
お説教ばかりで、子どもの気持ちは汲み取らない。
自分のしたことより、されたことばかりにこだわり、すぐに批判してくる、という経験を嫌と言うほど積んできているのです。

偏りが修正されると光る個性

ところが、妄想性Pの偏りも修正されれば良さが光り出し、周りから感謝される人へと変わる可能性を十分に秘めているのです。

妄想性Pの人は、秩序や約束事を大事にする律儀さを持ちますから、人から信用を得ることが多く、それでいていろんなことに気がつくので、気配りが見事です。
人間洞察に優れているので、人を上手に操作する独特な勘を持つともいわれていますので、リーダーであれば大変人望が厚い人物になります。
用心深さは、最悪を想定して行動する冷静さとして生かされ、相手を許すという寛大さも持ち合わせるようになれば、ますます尊敬されるようになります。
慎重で、正義感が強く、反骨精神も旺盛。
包容力があり、頼り甲斐のある人として、皆からの信頼を集めるようになるのです。
そうなったら素敵ですよね。
どうすれば偏りを魅力に変えられるのでしょう。

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本人の気づきと意思が大事

妄想性Pの場合は、周りの関わり方によって変化が生まれるというより、自らの気づきによって、大きく生まれ変わるのではないかと思います。
まずは、一般的にいわれている関わる際の注意点について先に解説します。

親しく成り過ぎず中立が何より大事

どの本にも「最も重要なことは、不用意に親密になり過ぎたり、気持ちを入れ込み過ぎないことだ」と書かれています。
あくまでも中立の立場を崩さないことが大事なんだそうです。

深入りせず安全な距離を保つ

親しくなりすぎると、過大な期待を膨らませて、自分の考えを押し付けたり、独占しようとしてきます。
それを拒むと、裏切られたと怒りがこみ上げ、攻撃を始めるようになるので、深入りは禁物で、安全な距離を保つことが何より重要なんだそうです。

親密な関係になる場合は、支配され、縛りつけられることを覚悟する

親しい関係になるなら、それ相応の覚悟が必要だと書かれています。
支配され、縛り付けられる関係になることは避けられないからです。

身近にいる人ほど疑い深くなるので、愛情や友情より、契約や利害の関係がわかりやすく安定する

どうしても関わる必要がある場合は、契約書を交し、利害が明確になる関係に留めておくことだそうです。

では、妄想性Pの人が、自らの特性に気づいて変えていこうとするなら、どのような点に心がければいいのでしょう。

被害者意識に陥らないこと

過敏さがどうしても被害者意識を高めてしまうので、「傷つけられた」「否定された」と感情が高ぶることが多いです。
そんな時こそ冷静になり、頭の中から被害者意識を取り除くことを意識することです。

許す度量を持つこと

度量の狭さが、いつも問題の引き金になっていることに気付けるかどうかは大きいです。

支配すればするほど人は離れていくことに気づく

いつか裏切るという不信感があるから支配しようとするのですが、相手は信頼されていないことを敏感に感じ取っており、本当に離れていくという結果を、実は自分が招いているのです。
そのことに気づければ、関係は大きく変わっていくはずです。

どのタイプもそうですが、強い偏りが修正されれば、必ず魅力として輝き出すので、もったいない限りです。
秘めた魅力を生かして、活躍していかれることを願います。

鶯千恭子(おうち きょうこ)

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