人を好きになる法則
人は誰でも、人から好かれたいと思うものです。
好意を持ってもらいたいと思うのは、何も恋愛関係だけではありません。知人や友人、仕事で関わる相手や、避けては通れない人間関係であればどんな関係であっても、いい関係を築いていきたいと思うのは自然なことです。
そこで今回は、人を好きになる法則を客観的にまとめてみました。恋愛関係から仕事の人間関係まで、広く役立てていただければと思います。
近接性
人に好意を抱いてもらう最も身近な条件は、単純に「距離が近い」ということがあげられます。皆さんも小学生の頃、席が近かったり家が近い子と仲良くなって、よく遊んだ思い出がありませんか?それと同じ現象です。
物理的に近いと、接触する機会が多くなります。毎日顔を合わす関係であれば、自然と打ち解けて、親しくなっていくもの。サークルや習い事、部活動や仕事関係の人と打ち解けて、親しさが増していくのはそのせいです。
わざわざ会う機会を作らなくても、例え受け身であったとしても、自然と接触する機会が増えることで、気心が知れるようになったり、恋愛感情が生まれることもあるのです。
親近性
これは、頻繁に接触することで馴染んでくる相手に好意を持ちやすくなる、というものです。別に好きだから相手を見るわけじゃなく、見る頻度が多いから好きになる、といえます。
好感度の高い有名人はCMで起用されることが多いですが、目にする機会が増えれば、それだけで好感度が上がっていきます。そして、好感を持つ人が宣伝するものは、自然と好印象を持ちやすくなる、というのがCMの狙いだからです。
また、単純に接触が多ければコミュニケーションもそれだけ多くなるので、情報量が増えます。人は、知らない人より、知っている人に好意を抱きやすいのです。なぜなら、知らない人の真意は予測不能で、不安や緊張を感じやすいからなのかもしれません。
類似性
類似性は、自分と似ている人に好意を抱くというものです。相補性といって、異なる相手に魅力を感じることもありますが、最も大きな要因としては、やはり類似性です。
価値観が似ているとか、信念や経験、立場や社会的地位、住んでいるエリアも含めて、とにかく自分と共通点をたくさん持っている人に対して、共感できることが増えるのです。つまり、これは「理解されている」「認めてもらえている」と感じやすいということ。
ところが、おもしろいことに、自分の嫌いな部分があったとしましょう。否定している部分が似ているとなれば「同族嫌悪」が起こり、反対に強い嫌悪感を抱くようになるのです。どういうわけか気に入らない…という感情が湧く相手の中に、実は大嫌いな自分を見ていることがあるのです。
転移
転移とは、過去にあった対人関係を転移させることで、好意を感じたり、反対に嫌悪感を感じたりすること。例えば、それが親との関係であったり、過去の記憶に深く刻まれた人間関係の中で、似たような要素を持つ相手に対して、その時の感情体験を思い出しやすくするのです。似ている要素を持つ相手であれば、同じような特徴を持っているのではないか、と思い込みやすくなるというわけです。
身体的魅力
身体的に魅力的な人は、好意を抱かれやすいというもの。確かに外見は第一印象として重要です。それは、外見が魅力的だと、誠実さも、知性も、きっと優れているに違いない、と思われる傾向が高いんだそうです。
一般的に、魅力的な姿を褒める人は多いです。褒められる機会が多ければ、自信が持てるようになる。そして、堂々と社会活動ができるようになることで、更なる魅力を増していく、という好循環を生みやすくなります。また、魅力的な人と一緒にいることで、周囲の人からの評価が高まると感じやすくなるという側面もあるようです。
ただ、これも面白いもので、関係性の中では、時間が経つほど外見の重要度は下がってくるというのです。第一印象で一番効果を発揮するものではあるけれど、いい関係を継続させていくためには、やっぱり中身ということなんでしょうね。
返報性
自分のことをよく評価してくれる人に対して、好意を感じるというものです。「素敵だ」といってくれる人に対して、同じように「素敵だ」と感じる傾向が高いのです。反対に、自分を嫌う人に対して好意を抱くことは少ないですよね。好意の返報性は、普段のコミュニケーションの上でも、とても重要なのです。
心理学的には、いろんな学説があるので面白いです。
確かに実感として感じるのは、私のまわりにいる人を見ても「人が好き」という人は、人から好かれる傾向を持ちます。人に興味を持つ人は、興味を持たれますし、反対に、批判が多い人は、批判されることが多い気がします。そう考えると、人間関係は呼吸のようなもので、止まることなく様々な感情をキャッチボールしているのかもしれません。そして、どんな感情を体験するか、その「量」が、人の好き嫌いに影響を与えるようです。
関係性が遠くなる時代だからこそ、人との距離を近づけて、関係を継続させる技術を磨くことが大事。円滑な人間関係を築く力は学習です。それには、何より人に興味を持ち、たくさん会うこと。そして、良いところを見つけて、好意を持つという、とてもシンプルな方法が大切なようです。
鶯千恭子(おうち きょうこ)
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