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相手に合わせて尽くしてしまう人「依存性人格」

いつも人の顔色を窺い、機嫌を損ねないように気を使う人がいます。
自分の意見を言うのが苦手で、相手の喜ぶことを優先し、相手の喜びが自分の気持ちになることが多いのです。
『他人が喜ぶことを喜ぶ』
ここだけを取り上げると、何ら問題はなく、むしろ利他的で貢献的な人だと高く評価されますが、偏りが強くなると、対人関係において様々な問題を抱えることになります。
このタイプを依存性パーソナリティ(依存性P)といいますが、どんな特徴があるのか、整理してみたいと思います。

誰かに頼らないと生きていけない

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依存性Pの偏りが強くなると、いい人が一転し、決断力のなさや、責任を回避したいという逃げ腰の姿が顕著に現れてきます。
「献身的だけど、決められない」という自信のなさと、依存体質がこのタイプの特徴。
女性だけでなく、男性にも見られ、人のよさとサービス精神旺盛な振る舞いの中に、相手の表情を敏感に感じ取り、ご機嫌を伺う態度として現れてきます。

受容的タイプと能動的タイプ

大きく分けて2つのタイプがあるといわれています。

受容的タイプ:自立心も生活力もなく、相手の顔色をいつも気にしてご機嫌をとり、保護を引き出しながら生きようとします。
こうするしかない、これが正しいと、最もな理由で自分を納得させるものの、心はちくはぐで、腑に落ちない不全感を常に抱え、どこかおどおどしてしまいます。
自分の意思は持たず奴隷のような関係になっても、感情を押し殺し関係を維持し続けます。
自分の感情を取り戻せば、意思を持つようになり、自分で決断しなければならないことが次々とやってくるので、その負担よりも感情を押し殺す方が楽だと無意識に選択しているのです。
中には暴力を振るわれたり、経済的に搾取されても、すがって生きるしかないと思い込んでしまうこともあります。
能動的タイプ:もっと献身的なタイプで、自発的に行動し、自立してやっていく能力も高い人です。生活力も高いのに、なぜか自分一人ではやっていかれないという思い込みに囚われており、献身的に尽くしても報われない相手に、奉仕し続けてしまうのです。

相手の顔色を気にする

相手の機嫌を損ねないか気にしながら関わります。
表情や声色など小さな反応も敏感に読み取ります。

相手の意見を尊重する

同調することはあっても、反論することはまずありません。
意見を述べることもしません。
異論があっても黙るだけで、ことの成り行きに従います。

対立を避けようとする

意見のぶつかり合いを避けることが最優先され、問題の本質を明らかにして、改善に臨むということは苦手です。
リーダー的な立場であっても、多様な意見を一つにまとめることを苦手とし、振り回されたり、利用されたり、軽く見られたりしてしまいます。

断るのが苦手

「NO」を言うのが苦手なため、押しの強い相手に押し切られ、言いなりになる関係をパターンとします。
更には、他人に寄生して生きる人の餌食となり、苦しい関係から逃れられなくなることもあります。

ひとりで決められない

決断力のなさが目につきます。
自分にとって大事なことなのに、自分では決められず、大事な決断を誰かに委ねようとします。

生きづらさを感じていながら、なぜこのような関係を作ってしまうのでしょう。
その原因を探っていきたいと思います。

刷り込まれた無力感

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依存性Pの偏りが強くなるほど、育つ環境が大きく影響してきます。
緊張感の高い家庭もあれば、穏やかでいい親に恵まれたと思える家庭もありますが、共通しているのは、例外なく、親に支配されて育っているということです。

横暴な親にビクビクしながら育つ

両親のどちらかが横暴で、それに対して、もう一方は従うだけという極端な関係であったり、どちらも引かずに激しいやりとりが日常茶飯事展開される環境で育っていることもあります。

一見非の打ち所のない家庭の闇

とてもいい親に育てられたと思っている場合で、親子の仲も良く、なんでも親の言う通りに従う「いい子」で育ってきており、一見何の問題もないように見えるのですが、その裏には見えにくい問題が潜んでいます。
いい親の仮面の下に隠れた偏った価値観や、親自身が抱える未解決な問題によって、強い心理的支配を受けながら育っています。

親子関係が逆転した中で育つ

親が病弱であったり、メンタルの不安定さを抱えている場合もあります。
親子関係が逆転し、子どもが世話をする立場に立ち、小さなカウンセラーのような役割を背負わされて育っていることがあるのです。

偏りが魅力に変わると

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読んでいておわかりの通り、日本人女性にはとても多いタイプです。
一昔前であれば「理想の女性」といわれていたかもしれません。
でもそんな女性たちも、よく見ると表面的には依存的に振る舞っているように見えて、本当は精神的に自立した女性も多く、役割を分けた、一つの安定をもたらす文化として受け入れられていたようにも見えます。

ところが、時代は変わりました。
役割を分けていた活躍の場に、差がなくなってきたのです。
それでも、まだ日本は表向き控えめで、従順な女性を求める傾向が根強くありますが、依存性の強さは弊害をもたらします。

では、依存性Pの偏りが修正され、魅力として輝きだすと、どんな姿になるのでしょう。

ひょっとしたら、ストレスの多い現代においては、どっしりとした安定感を持つオアシスのような存在として、かけがえのない人となるかもしれません。

相手を気づかいながら自己主張もでき、人に尽くすことを厭わず、使命感を持って生きようとする、忍耐強さを持ちます。
相手の顔色を見過ぎて、自分の意見を曲げることはしません。
相手を傷つけないように配慮する優しさを持ちながら、不誠実なことや、間違った考え方を野放しにせず、きちんと自分の意見を述べ、行動することができます。
批判的なことをいわれて押し黙るのではなく、きちんと反論し、怒ることもします。
貢献意欲が高く、皆のために努力を惜しみません。
そして、それは自分を大切にするからこそ継続的にやり遂げることにつながる、という好循環を作り出します。

本音を言える関係が変化をもたらす

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では、どんな経験を積めば偏りが修正され、魅力を発揮するようになるのでしょう。
いくつか整理してお伝えしますね。

自分で選び自分で決める練習

支配的な親のもとで、自分を抑えてきた人に多いので、自分で選んだり、決断する力が身についていません。
何かを決めなくてはいけない場面になると、ふと不安に襲われ、間違えたらどうしようと尻込みしてしまうのです。
それは、親から「それじゃダメだ!」と厳しく咎められてきた過去の経験からくる自信のなさの名残りです。
周りに合わせることをやめ、まずは自分で決める。
選んだら、それが運命だと思って、自分の選択を大切にする練習を積んでいけばいいのです。

よい子から降りる決断

見捨てられる不安を制し、人の顔色を伺うという習慣を断つためには、いい人をやめることです。
嫌われること、否定されることに敏感なので、相手の反応を気にしてしまいますが、それを続けていくと、必ず不満や恨みがたまり、今度は自分の心や身体を蝕んでいくことになります。
もういい人はやらない!と宣言することから始めてみましょう。
きっと何かが変わり始めますよ。

怒り爆発が転機になる

不当なことに対して怒れるようになると、転機が訪れます。
「失礼だ!」「どういうつもり?」「許さない!」と声をあげた瞬間から、自分を縛り付けていた鎖が解け、それをきっかけに人生が好転していくとよくいわれています。
表面的にはニコニコしているのに、心の中では怒りが鬱積していては、必ず相手を疎ましく思うようになり、対等で心地よい関係は築けません。
このタイプは、怒りを出せたら拍手!
ちゃんと怒れた!と
自分も、そして、周りにいる人もたくさん褒めてください。

パートナーを選ぶ時

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このタイプは、パートナー選びは慎重にした方がいいです。
断れないことが人生を狂わせる最大のポイントですから、強引に押し切られた相手に対して、愛されていると思い込み、長年尽くしてきても、結局報われないという結果を招きかねません。

このタイプが惹かれるのは、頼り甲斐のある尊敬できる人か、自分がそばで支えてあげないとダメだと感じる人のどちらかだといわれています。
この相反する二つの要素を併せ持つ人には、一層魅力を感じる傾向があるということを知っておくこと、そして、冷静に相手を見極めることが大切です。

いかがだったでしょう。
パーソナリティについて、考えれば考えるほど、どれも自分の中にあると感じるのではないでしょうか?
そうなんです。
実は、どれも自分の中にある要素で、強弱のグラデーションが存在し、自分はどの特性を得意とするのか、行き過ぎて苦しみを生むのではなく、魅力として輝きを放つようにするためにはどうすれば良いのかを考える、材料にしていただけたら嬉しいです。

鶯千恭子(おうち きょうこ)

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